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【庭師またはゲームマスター】シドニー
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 これは2周年イベント本番編ではなく「予告編」です。本番は「次回」です。
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# この大会はただのフリートーナメントです。
# これを読まなくても、イベント自体は楽しめるようにします。
# ガンダムを初めとする様々な作品の同人ゲームであるMSTactics上でのみ
# 通用するネタ・独自設定で満ちておりますが、原作を貶める意図はありません。
# また、文中に一部の登録者さまを連想させる設定がございますが・・・友好の証ってことで勘弁してくだされ(汗
# 文字数制限があるので、ちゃんとした挨拶は本番編ということで(^^;

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通路は薄暗く、一直線に続いている。
もうずいぶん歩いたはずだが、通路の果ては見えてこない。
黒を基調とした壁面は光源がはっきりせず、それ自体がほんのり光っているようでもある。
なぜか足元がおぼつかない感覚を覚える。
睡眠は十分とった。気分は悪くないはずだ。

前を行く女性の白衣がぼうっと浮かび上がっていた。
美人だった。確か。
だが・・・この「ちょうど良い」薄暗がりなら、誰もが美しく見えるのかもしれない。
結局、人は想像力の生き物だ。自分が見たいものを対象に投影する。

女性はある扉の前で立ち止まった。続いて中へ入る。
ブリーフィングルームのようだったが、それにしては暗すぎる。
彼女は一角を指差した。オープンスペースにテーブルと椅子がある。

「ごめんなさい。ミーティングルームが開いてなかったから」
今日は休養日のはずだ。なぜ突然呼び出されたのか。
彼女は笑った。
「おめでとうございます。あなたは合格しました」
その言葉が理解できるまで、しばらく時間を要した。

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「登録者」あるいは「ランカー」という言葉をご存知だろうか。
この何の変哲もない一般名詞が、この世界では大きな意味を持つ。

その説明の前に、世界を取り巻く状況を先に話しておこう。
恐らく、その方が理解が早まると思われるからだ。

現在、我々人類の生存圏はほぼ太陽系全域に広がっている。
地球連邦が解体する以前、月軌道外延部で発展が止まっていたわけだが、
これは量的、質的、2つの意味での成長期だったとも言える。
地球連邦解体後、各コロニー群の抑圧されたエネルギーが解放された結果、
ごく短期間のうちに木星まで到達した事実がそれを示している。

火星のテラフォーミングが最終段階に到達したというニュースは記憶に新しい。
また、エウロパ、カリスト、といった木星の主要な衛星、
また、例外的に早くから開発が進められていたタイタン(土星の衛星)の
テラフォームも半ばまで進められている。

土星以降は宇宙ステーションを拠点とした観測・資源回収が主な活動であり、
その従事人口は170万人を超えている。

太陽系外の観測は、DSSDを初めとした各種機関、団体が行っており、
それなりの成果は上がっているようだが、
最大の関心事である「人類以外の知的生命体の発見」には繋がっていない。

そうした状況下での「エイリアン」の襲来は青天の霹靂だった。
これについては詳しく述べるつもりはない。
君たちの方が多くを知っているだろう。

          -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

地球は宗主権を失って以来、政治的には混乱が続いている。
なぜあれほど強力(と思われた)地球連邦が崩壊したのか。

一般的には、ジオン公国の開発した新兵器(MS:モビルスーツ)による所が大きいとされている。
ジオン独立戦争とも、1年戦争とも呼ばれる戦いにおいて、
MSが圧倒的な力を示したことは事実である。
もちろん、その前提として、無線通信を無効化する各種技術が飛躍的に進歩していた点はいうまでもない。

歴史上「想像を絶する新兵器」なるものが戦争の勝敗を決した例はほとんどない。
連邦政府が人型兵器を戦場に投入できたなら、戦争の結果はまったく違うものになっていただろう。
事実、開発は進められていた。量産体制も整い、まさにロールアウト寸前だったという。
だからこそ、緒戦の圧倒的な敗北にもかかわらず、連邦政府は降伏しなかったのだ。

だが、反撃の狼煙を上げる前夜、軍需産業を担っていた企業群がいっせいに反旗を翻した。

結果は君たちの知り通りだ。
自らの作り上げた最強の矛の威力を、連邦は身をもって証明した。
これはうわさに過ぎないが・・・企業蜂起の第一報を受けたとき、
政府首脳はすでに逃亡しており、軍司令部ももぬけの殻だったという。

むしろ局地的には、連邦軍(の残党)は頑張ったといえるだろう。
未だに、旧式兵器や企業から鹵獲した人型兵器でゲリラ戦をする地方軍もある。

この類を見ない企業蜂起については諸説あり、一般的にも見解が割れている。
後ろでジオン公国が手を引いていたのは間違いないようだ。
月面統治機構の姿も見え隠れしているが、アナハイムグループの関与は不明である。

連邦政府は崩壊し、地球は慢性的な内戦状態へ突入した。
旧行政単位の「国」レベルでまとまった多くの地域は企業によって制圧されたが、
一部は同等の戦力を有し、小競り合いを続けている。
(地球連邦に所属しながら秘密裏に人型機動兵器を開発し、
 連邦へ一切その事実を伝えなかった組織も存在するようだ。
 規模は小さいながら、巨大企業ですら無視できない組織も数多い)

土地と資源を確保した企業はより肥大化し、企業間での争いにまで発展している。
統治の実権を握った企業群はそれこそが「パックスエコノミカ」だと称揚するが。
GAグループ、レイレナード、ミラージュ、クロームなど、名前を挙げればきりがない。
これらは好戦的な企業だ。己の権益の拡大のためなら、武力を当然行使してくる。
また、人型兵器の汎用化が最も進んでいるのもこのグループである。
主力だったMTを改良し、CoredMTの発展系として「Armored Core構想」を打ち立てている。

          -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

脱線するが、私の国も、その他多くの小国と同じように、とある企業の「執行部」に制圧された。
「実行部隊」「強制介入班」などなど、企業によって呼び名は違うが、
軍事力で問題を解決する点において、軍隊となんら変わらない。

ミラージュ社の侵攻は早かった。
ジオン公国から極秘にMSの情報提供を受け、
人型兵器の開発に着手していたが、ついに間に合わなかった。
いや、筐(ハコ)は出来ていた。
ジオン公国が誇るエース級パイロット部隊か、AE社の誇るマンマシンI/Fモジュールがあれば、
あるいは互角以上の戦いが出来たかもしれない。
だが、我々にはどちらもも欠けていた。

          -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

月を拠点とするアナハイムグループは、地球には関与せずとの方針を掲げているが、
太陽系全域に影響力をもっており、当然地上にも関連企業はいくつも存在する。

AE社をMS(広義の人型兵器と言う意味で)の開発を行う
会社だと思っている人が多いように思う。
間違ってはいないが、社名にもあるように、その本質はエレクトロニクス分野にある。

なぜアナハイム製のMSが強力か、
また、利害を超えてでも情報を提供し、フィードバックを必要とせざるを得ないか。

操縦系をつかさどるマンマシンI/Fモジュールが優れているからだ。
詳しく触れると本が1冊書けてしまうから簡潔に述べるにとどめる。

例えば、機体が湿地にいるとする。
足場はゆるい。うまく機体をコントロールできなければ、前進もままならず、ずぶずぶと沈んでしまうだろう。
旧来の操縦系であれば、機体の自重を把握した上で、センサー(あれば)の計測結果を目視確認し、
半信半疑で次の一歩を踏み出すことになる。
熟練した乗り手であれば、数多くの経験から「直観的に」クリアできるかもしれないが、
そうなるまでに新人パイロット候補生は100分の1に減っていることだろう。

ここでもし、フットペダルを踏む感覚が、
自分の足の裏で湿地帯を捉えていると感じることが出来たらどうだろうか。
不安定な足場でバランスを保つ機体の微細な揺れが、
コックピット(あるいはシート)の揺れとして体感できたらとしたら。
また、機体の脚を踏み出しておろすという動作が、自分の脚の感覚通りに追随したとしたら。
さほど熟練していない乗り手でも、まさに「直観的に」操縦が出来るだろう。
(裏を返すと、身体能力の高い者、つまり「体の操縦」に長けたものが
 MS乗りとしても高い適性を示すというデータにも繋がる。
 ゆえに、少年と言える年齢にして天才的な操縦を披露する者もいるわけだ)

この人と機体とを繋ぐインタフェース技術においてAE社は他を圧倒しているのである。
また、この技術の登場と人型兵器の隆盛が時を同じくしているのは必然である。
ゆえに、同社の最高機密であり、機体をばらすと同時に
このブラックボックスも解体されるように設計されているという。
一般には「自己複製する極小AIシステム」と形容されることが多いが、
これだけでは意味不明であり、正体はまったく分からない。

ただ組み上げただけの人型兵器は、旧式戦車にも劣る鉄くずってことだ。
ちなみに、ジオン公国の機体は、この技術で劣るとも言われいている。
(それにもかかわらず、エースとして名をはせた者はほとんどジオン軍人だ)

          -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

話を戻そう。
ジオン公国は「独立戦争」を「国家解体戦争」に導いた後、沈黙を続けている。
着々と軍備を拡張していると目されているが、情報の操作・管理に長けており、
流布している内情が実情を表しているとは思えない。
三派(四派?)に分かれて内紛が続いているだとか、
独立戦争で死亡したと言われていた公王の四男坊が生きており、ランカーとして活躍しているだとか、
根も葉もないうわさには事欠かない。

同じくコロニーの雄として「プラント」の存在も挙げられるだろう。
遺伝子操作によって作り出されたコーディネイターと呼ばれる人々が治めている。
どちらかと言うと理知的な人々であり、無益な流血は好まない。だが、決して平和主義ではない。
また、あらゆる意味において優秀な人々が多いがゆえ、
潜在的な敵として警戒されているのも事実である。

他にも数多くの組織があり、まさに百花繚乱という様相を呈しているが、
このくらいにしておこう。

          -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

ランカーである。

宇宙人襲来」の際に結成された"MANIA"と呼ばれる組織が公表する、登録者の順位表に載る者のことだ。
「何の順位か」と一言で説明することは難しい。だが、君も見たことはあるだろう。
そして、彼らの戦闘記録を見て唖然としたことだろう。
同じ人間とは思えない。いや、もしかすると、同じ種族ではないのかもしれない。

この時代、どんな場所でも紛争はあり、武力を必要としている組織は多い。
需要があれば供給が発生する。
傭兵という身分でMS乗りとなって、様々な依頼を遂行する者たち。
傭兵斡旋機関はいくつも存在するが、そうした組織に所属することなく、独立で活動を行うものもいる。

"MANIA"は斡旋機関ではない。
ただ、登録者の活動をモニタリングするだけだ。
もちろんモニターされる内容は、戦闘や任務も含まれる。
その結果をランキングにし、公表する。

一応管理者は存在している。
現在は同じランカーによって非営利で運営されているという。

利点はいくつかある。
それ自体がエンターテイメントになるという点。

一般人はランカーの超人的な戦闘記録を見て驚き、興奮する。
トップランカー同士の死闘や新人の成長記録だけではない。
「"騎士王"は先週サイド6の機動部隊やりあったようだ」とか、
「今度の新規ランカーは引退したはずのXXらしい。楽しいヤツが舞い戻ってくれた」とか、
「"女将"の元に強力ランカーが集まって来てるようだ。祭りに乗り遅れるなよ」とか。

結果として巨額の金が動くビジネスになる。
短期間のうちに、最高のエンターテイメントとしての地位を築いた。
通常、人型兵器は個人で購入のできる金額ではない。
だが、人気のあるランカーは、ただそれだけで
一生かかっても使い切れない報酬を得ることができる。

個人でも、社会的影響力を発揮できる点。
カリスマとして政治的指導者に転進した例もある。

傭兵であっても、金銭目的ではなく、独自の価値観に基づいて行動しているもの。
高度な操縦技術で最新MSの評価試験を行うもの
企業から機体を提供され、広告塔としての活動を行うもの。
人体実験の被験者として研究所と契約を行うもの。
何者にもとらわれない真の自由人。
格納庫に国家予算に匹敵する資産価値の機体をならべ、個人的な私兵集団を抱えるもの。

様々なランカーがいる。
最後は実力あるものだけが残る。
多くの者がランカーとなり、そして消えていった。

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彼女の説明は終わった。
軍学校で教鞭をとっていた私にはある意味常識ともいえる内容だ。
その一部に、誇張あるいは意図的な誤りが含まれていることも。

それは相手もわかっているはずだ。だから、これは儀式なのだ。
「目は大丈夫ですか?」
ああ。ようやく慣れてきた。
それで、私はこれからどうなる?
「まずは『登録』を済ませてください。すでに契約がある場合、そちらで詳細をお聞きになるのがよいでしょう」
      • そんなものはないな。
「では、グローバルコーテックスをご紹介いたします」

中立を謳う傭兵斡旋機関だ。そこを通して"MANIA"へ登録することになる。
まず1機機体を支給される。
旧式ではあるが、腕が試される機体だという。
つまり・・・それが実質的な最初のテストってわけだ。
這い上がっていけるかどうか。

特別な能力があるわけでもなく、成したい未来があるわけでもない。
だが、激動を始めたこの世界がどうなっていくか、その行く末を確かめずに死ねるものか。

施設のエントランスへ出るのは1ヶ月ぶりだった。
人口の光とはいえ、昼過ぎの陽はまだまぶしかったが、正常な反応の範囲内だ。
眼球の機能が戻りつつあることを感じる。
ようやく「下界」へ降りる準備が整った、というわけだ。

そういえば、「太陽系一有名な禿」先生にはついに会わなかったな。
「所長はお忙しい身ですから。生きていればいつかお会いすることもあるでしょう」
不吉でもなんでもなく、それは単純な事実なのだろう。

別れを告げようとした時、彼女の名前を知らなかったことに気づいた。
さりげなく胸元のプレートに目を落とす。
「Human Talent Development Laboratory
 Salvage & Recovery Devision ...」
人類能力開発研究所。だが、いまでも"NT研究所"の方が通りがいい。

最後に、相変わらず訛りのある英語で彼女はこう告げた。

      "Welcome to the world..."

いい響きだ。理由はどうあれ。
背後で扉が閉まる音を聞き、私は前に歩き出した。
最終更新:2007年10月10日 17:35