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~一升庵にて~
何時になく緊張した面持ちで、一升庵を代表するメンバーが集まっていた
酔っぱらい代表のおっさん、同じく酒をこよなく愛する青年
人の持つ多面性を体現する男、そして言わずもがなの女将である

女将 「さて…集まって貰ったのは他でもありません
    さるVIPなお客様への対応のことです」

VIP、この言葉に、誰もが耳を疑った
知識人、著名人、大金持ち…総じて言えば『エライヒト』とも言えるVIP

それ程の人物が一升庵を訪れるとは…
『『『そんな店じゃない』』』
集まった三人に驚愕が広がってゆく…

興奮や疑問が好奇心に変わる頃を見計らって女将はさらに声をあげた

「彼らを迎え撃つためにどうするか、それが今回の争点です」…と

迎え撃つ!?
VIPという人間に対するにあたって、最もかけ離れていると思える単語に、
再び混乱が起きる

そんな中で、一升庵の第二の長とも言うべき我琉魔(がるま)さんが口を開く


我琉魔「…女将、貴方は一体何を考えている?」

考えて当然の疑問である
VIPを何故迎え撃たねばならないのか、何故自分たちが駆り出されるのか、
自分たちに、何故そんな話を聞かせるのか

女将 「いえ…その…どんな話しだったのか忘れたんですが」


どうも女将はモジモジとしながらうつむいてどうも歯切れが良くない

シュトライザ「…女将、大丈夫ですか?」
ランド「せやせや、顔色よくあれへんで?」
我琉魔「…言いにくいことなのか?」

…彼らの心配で踏ん切りが付いたのか、女将はさっと顔を上げ、彼らにこうのたまった

女将 「どう言ったのか覚えてないんですが、ウチは合い言葉で鍵が開き、
    高圧電流をドアに流しているとか…他にも色々仕掛けてあるって…
    要は忍者屋敷みたいなものだと思われちゃったんですよ~~~(泣」

三人 『『『な、なんだってーーーーー』』』




泣いている女将をなだめすかして話を聞いたところ
町内会でお茶会を主催するほどのグループの長と話をする機会があり

まぁ飲んで食って騒いだんだと(酔っぱらい二人がこの辺りで恨めしげに女将を見ていたがまぁ余談です

そしてその宴席で、店自慢になり、何故か店を要塞の様なものだとのたまってしまったのだという

しかし、物理的に奇襲作戦に向いているとか
多人数対少人数でも戦いやすいなど色々な利点のある店舗(何)だが、

【基本は】あくまで客商売である以上、
凶悪な罠など仕掛けられるノウハウなどあるはずもなく
途方に暮れて居るのだという…

そして今回の招集に相成ったわけだ…

女将 「どうしましょ~~(シクシク」

我琉魔『女将キザかわゆすくま~ …おっとと、今は硬派なのだ硬派』
ついついかつての奔放さが脳裏によぎった彼と

ランド『珍しい…女将の泣き顔が見れるとは…今日も気持ちよく酔えそうだ』
酒の肴ぐらいに思いつつも、心配はしている酔っぱらいと

シュトライザ『むー…どうすれば…』
真剣に問題に取り組もうとする青年

まとめ役とも言える女将が混乱の極にあり、
三名共に自己の世界の中に浸っているので他の二名の事は全く考慮せず、罠を仕掛け始めたのです(何

玄関に電流を仕掛けた者が居れば、その扉の先に落とし穴を掘る者がおり
さらに、扉が開いた瞬間に射かけるようにボウガンを設置したりと、

罠というものの考え方を無視した、仕掛けた当人達でも外に出られなくなったほどの一大要塞へと
一升庵は変貌したのでした…

そして、混乱の極から脱した女将は状況を一目見るなり…

女将 「な、な、な、何をして居るんですかぁぁぁぁ!?」

絶叫を上げたが、まぁ過ぎたことはどうしようもないのであった。



ランド「VIPとやらが来るまでの一日、二日やったらどーっちゅことおまへんやろ?」
我琉魔「保存食ぐらい用意してあるはずです」
シュトライザ「お腹すきました~」

脳天気な三人組が口々に空腹を叫ぶ
自儘な連中だと思いながらも、自分のために何かしようと必死になったことを思い返し
女将は微笑みながらこう言うのだった

女将 「仕方ないですね~ でも食費は皆さん持ちですよ」

三人 「「「エーーーーーー」」」

非難の声を上げつつも、彼らの顔は微笑みを浮かべていた、
彼女の顔から、苦悶の色が取れたことを知って…

そしてまだ見ぬ「お客様」へどんな応対しようか考えていたのだった…



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最終更新:2006年12月10日 23:36