これは2008年7月19日(土曜日)20:30~21:30の間に起こった出来事である。
かつては30分はかけていた入浴を僅か10分で済ますと、冷房をかけておいた自分の部屋に私は勢いよく入った。暑さから解放され、全身に寒気を感じさせるほどの冷風が私を包み込んでくれる。・・・・・・のはずだが、今日は何故か風が来ない。むしろモヤッとした熱気が私を襲いかかる。私を裏切ったその熱気は私の部屋を猛暑へと作り上げていた。
せっかくさっぱりしたのに、これでは入る前以上に汗が出るよ・・・
こうして、私対冷房の対決が始まった。まず風速を変えてみる。しかし何も効果はない。続いて、設定温度を変えてみる。しかし何も効果はない。冷房はニヤニヤしながら私の様子を伺っている。
「おかしいなぁ、どうしてだろう」
実はフィルターが詰まっていただけなのだが、模試で疲れ果てた私の頭にそんな事が気付く程の余分な機能は生きていなかった。結局私は冷房から流れる僅かな風を自分の方向へ向けることで冷房に伏する。窓を開けろよと皆さんは思うだろうが、私の部屋は風通しが悪く、余程のことがない限り、窓を開けても風が来ない。今日もその例の風が来ない日であった。
まだ玄関の方が涼しい部屋の中、必勝と書かれた○進の団扇をパタパタと扇ぎながら、今日で三日目になるその名も「英語長文一日一題」とか言う守れそうにない目標をなんとか守ろうと一人黙々と取り組む。普段からよく言われており、意識し始めているのだが、ここで自分の英語力の無さ、さらに日本語訳の時には国語力の無さを痛感させられる。そして今日は壊れた冷房というジョーカーを出され、私の体力の限界はすでに近づいていた。
「なんじゃこりゃあ」
また日本語訳につまりそこでとうとうダウンし、私はベッドに転がり込んだ。暑い部屋の中、何故かベッドは冷たく、優しく迎えてくれた。それと同時に私は急に体中が疲れを訴えていることにようやく気付き、同時に私の意識はすぐに消えようとした。ところがである。意識が無くなっていく中、窓際から奇妙な音が聞こえ始めた。
ドン・・・ドン・・・ドンドン・・・
その奇妙な音に私は再び意識を起こし、なんだろうと思い、カーテンを開けてみた。するとそこには、小さな打ち上げ花火が上がっており、色とりどりの炎が円を描いていた。今日は隣町のM市U町で花火大会があったのだ。
「はわぁ~、たまや~」
思わず歓声を上げてしまい、私は花火に見とれてしまう。どのくらいたったのだろうか、宙に舞う幻想を一人静かに眺めていた。そして、最後の一つが消えた頃、私は晴々とした気分になった。
「さて、リターンマッチと行きますか」
私はもう一度机に向かい、猛暑の部屋の中、英語を続けることにした。
最終更新:2008年11月07日 15:07