恋と友情(律side)

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&bold(){408 俺律 -律side-(1/2) [sage] Date:2009/06/14(日) 01:30:47  ID:7E221XLh Be:}

頭がボーっとする。
学園祭の前に風邪を引くなんて、私らしくない失態だ。
ただ寝てるだけの時間は退屈だけど、熱のせいで何も考えられない。

…いや、何も考えたくない、が正しいか。

階段を上がってくる足音が聞こえる。
この足音は澪…じゃない。
私が足音で判別できる、もう一人の人間。

コンコン
俺「律、入るぞ。」
律「あんたかよ。何しに来たの?」

小学生の頃からの幼馴染で、中学の時のバンドメンバー。
私の数少ない”男友達”の一人だ。

俺「病人の部屋にギターの練習しに来るヤツはいねえよ。ほら、ポカリ飲め。」
律「…ありがと。」

このタイミングでコイツがお見舞いに来るなんて。
こんなドロドロした気持ちになってる私を、コイツには見られたくない。

俺「で、どうしたんだ?」
律「ん…何が?」
俺「澪と何かあったんだろ?」
律「な、何でわかるんだよ!?」

…何でコイツはこういうところだけ鋭いんだ。
他の事はてんで鈍感なバカの癖に。

俺「で、何があったんだよ。」
律「澪が、クラスの女子と仲良くしてるのが気に入らなくてさ、
  ちょっかいをかけても、いつもみたいなノリで返してくれなくなって、
  なんか私だけが空回りしてて、バカみたいでさ…。」
俺「全く、何やってんだよ高校生にもなって…」

律「私だってそんなこと分かってるよ!!」

思わず叫んでしまう。やっぱ私、最低だ。
何でこんなに素直になれないんだろう。コイツにも、澪にも。

俺「あー、悪かった。でもさ、ホントは嬉しいんだろ?」
律「…何が。」
俺「澪に新しい友達が出来たことだよ。それに…」
律「…それに?」
俺「それでも、澪にとって一番大切な友達が律であることは変わらない。
  それを一番分かってるのは、お前なんじゃないのか?」 


&bold(){411 俺律 -律side-(2/2)  [sage] Date:2009/06/14(日) 01:32:47  ID:7E221XLh Be:}

…何で、何で全部分かってくれるんだよ。
コイツも澪も、素直になれないはずの私を、素直にしてくれる。
コイツの穏やかな声の前じゃ、嘘もつけない。強がりも言えない。

…ダメだ、顔を見たときから、ずっと我慢してたのに。
自然と、涙が、零れてくる。

律「………そう…だよな。…それ、なのに、私、
  澪に、ひどいこと…言っちゃって…っ」
俺「泣くなよ。澪だったら絶対分かってくれるから。」
律「…っ、ごめん…」
俺「ほら、鼻かめよ。澪はまだ来てないんだろ?
  澪が来るまでに泣き止んどかないと、また心配させちまうぞ?」
律「うん……ありがとう。もう大丈夫。」
俺「そっか、よかった。でも、さっきノックしたのが俺じゃなくて
  澪だったら、今頃澪の前で泣き喚いてたかもな(笑)」
律「ふふっ、それはないって分かってたよ。澪だったら足音で分かるもん。」

本当は、あんたの足音も分かるんだけどね。
悔しいから、絶対に言ってやらない。

俺「…そっか。そうだったな。」
律「…話聞いてくれてありがと。助かったよ。」
俺「いいっていいって。それより早く風邪治して、澪とちゃんと仲直りして、
  学園祭の練習、頑張れよ。」
律「うん、あんたもね。今年もあんたの高校と同じ日になっちゃったんだよな。」
俺「そうだな。俺のギターを聞かせられなくて残念だよ」
律「それは私のセリフだよ。私のドラム、あの頃より断然上手くなってるんだからな。」
俺「ほー、それはそれは、聞ける日が楽しみだな。」
律「約束、忘れてないだろうな?私たちとあんたのバンドは…」
俺「いつかフジロックで対バンする、だろ?」
律「ちゃんと分かってんじゃん。私たちの前で変な演奏するなよ」
俺「言ってろ。…じゃ、そろそろ帰るな。お大事に。」
律「うん、ありがと。」

…本当は、もう少しそばにいて欲しい。その一言がどうしても言えない。
澪になら………”友達”になら、言えるんだけどな。

また、一人になった部屋。何の声も音もしない、しーんとした部屋。
ボーっとしてると、アイツの優しさを思い出して、また涙が止まらなくなった。
アイツが持ってきてくれたポカリで、水分補給しなきゃ。


いつかのフジロックの時までには、私の気持ちに気付いてくれるかな。 

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