6 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 20:53:40 ID:0f3Y8Bc.0
梓が準備を整えて部屋に入った時、律は羽毛布団に包まっていた。
容態が悪化したのだろうか。
不安に駆られた梓は問いかける。
「あの、大丈夫ですか?具合でも悪くなったんですか?」
律は朱に染まった顔を梓に向けると、
部屋の一角を指差した。
そこには、綺麗に畳まれた制服が置かれていた。
「ああ、脱いでてくれたんですね」
脱がせる事ができず、少しだけ落胆した自分に気付いた。
(もう、律先輩の為にやる事なんだからね。
下心からじゃ無いんだから)
梓はそんな自分に叱咤を浴びせてから、律に近付く。
「脱いだって言っても、下着以外だけど……」
羞恥が勝ったのか、下着は未だ装着しているらしかった。
言われて見れば、畳まれてあるのは制服のみで、
下着までは置かれていない。
「ビニール袋はもう?」
梓はベッドの傍に、湯を張った洗面ボウルを置きながら問う。
「うん、もう切り開いて、シーツの上に被せてある。
今、布団に隠れてて、見えないだろうけど」
「じゃ、始めましょうか。
布団、退けてもらっていいですか?」
律は躊躇を表情に浮かべて、梓に問い返してきた。
「その、貧相な身体だけど、笑ったりからかったりしない?」
「ええ、私だって人の事言えませんし。
それに、自分の身体の事を貧相だなんて言っちゃ駄目です。
惚れた私の立場が無いじゃないですか」
「うー、分かった……」
梓に励まされて漸く決心を固めたらしく、
律は羽毛布団を跳ね飛ばした。
梓の目に華奢な肢体が飛び込んでくる。
(綺麗……)
思わず見惚れてしまった。
撓るような曲線が、
細長い首筋から括れた腹部を通り浮き出た腰骨へと至る体のラインに現れている。
細く白い脚は片方が下着を隠すように曲げられ、扇情的な雰囲気を律に添えていた。
そして視線を戻すと、浮き出た鎖骨が目に飛び込む。
そのすぐ下には、微かな膨らみを主張する胸部と、それを覆う白い下着。
梓は恍惚と眺め耽った。
「ちょっ、梓ぁ。そんなジロジロ見られると、恥ずかしいかも……」
律の控えめな抗議を受けて、梓は我に返った。
「ごめんなさい。ちょっと見惚れちゃって」
「ばっ、そんな大したもんじゃないだろ?」
「いえ、綺麗ですよ。すぐ始めたいんですが……その」
梓は自分の胸を指差して、続けた。
「ブラジャー、外してもらっていいですか?
そこも拭きたいですし、何より着けてると」
「周囲を拭く時に邪魔、だよね」
律は背に手を回すと、一際赤く頬を染めて動きを止めた。
梓は律の羞恥を察し、先回りして言う。
「あ、脱ぐトコ見られてると恥ずかしいですか?
なら、顔背けてますけど」
「いや、胸見られる事自体が恥ずかしくて、
何かこう自分じゃ踏ん切りつかないってゆーか。
それに、恋人居るのに自分で外しちゃうって、何か惨めで」
律はそこまで言うと、梓にとって思いがけない依頼を口にした。
「だから、梓が外してくれる?」
「あ、はい」
梓は緊張に震える手を律の背へと回す。
この精神状態では相当手間取るのでは無いかと案じたが、
自分でも予想していないくらい簡単にホックが外れた。
だから、心の準備も無いまま律の胸を見る事になった。
7 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 20:55:17 ID:0f3Y8Bc.0
ブラジャーが外れて、梓の視界は唐突に律の胸を映した。
小振りながらも形の整った乳房と、その先端を彩る薄桃色の突起。
衝撃的な瞬間に、梓は一瞬、心臓が止まったかと思った。
少なくとも、呼吸は止まっていた。
「可愛い」
呼吸を取り戻した梓の第一声は、それだった。
小振りながらも形の整った乳房と、その先端を彩る薄桃色の突起。
愛くるしい律の胸に吸い寄せられそうになるが、
身体を拭く目的を思い起こして情欲をどうにか封じる。
「ごめんなさい、つい見入っちゃいました。
それで、下も?」
ブラジャーを脇に除けて、自然な調子で律に問いかける。
「あ、いや。下は着けたままでどうかなー、って。
そこはまぁ、今日はいいかな、って」
律は顔を背けて続けた。
「それにさ、ほら。さっきトイレ行ったばっかじゃん?
それで、その……小さい方だったけど、それでも……
匂いとか染みとか……気になるっていうか」
「でも……デリケートな部分ですから、逆に清潔にしておかないと」
律の気持ちは分かるが、衛生的な観点も見過ごせなかった。
「うーん、それはそうなんだけど……」
「ていうか、下着こそ替えたいですよね?
なら綺麗にしておかないと、あまり意味が無いっていうか」
梓の正論を受けて、律も態度を軟化させた。
「分かったよ、梓。
恥ずかしいけど、梓になら……」
頬を染めて笑みを零す梓の表情には、素直な喜びが溢れている。
”梓になら”という言葉の前では、表情を繕う事など到底不可能だった。
「そう言ってもらえると、恋人冥利に尽きます。
ちなみに、まだ脱がせませんからご安心を。
先に全身拭いてから、そこは拭きます。
そこを晒す時間は最小限で済ませますから」
羞恥に喘ぐ律へと向ける、せめてもの配慮だった。
「ん、ありがと」
「いえ。身体が冷えるといけないので、そろそろ始めますね」
梓は洗面ボウルにタオルを浸しながら言った。
(それにしても今の律先輩、本当にしおらしいな)
律の控えめな態度を見る事は、今回が初めてではない。
今までも梓は幾度か見てきた。
その状況は常に、律がデリケートな内面を晒す時だった。
それは普段快活に振舞う律が抱えている、繊細な一面。
それに触れる度、律に対する愛しさが増していった。
今律が晒しているものは、内面ではなく身体という外面ではある。
だが律にとって繊細な要素である事に変わりは無い。
(新たに触れる、律先輩のデリケートな一面。
それを晒してくれたのは素直に嬉しい。
だから、大事にしよう。律先輩の事、ずっとずっと大事にしよう。
ずっと守っていこう)
梓は誓いを立てつつ、力強くタオルを絞った。
水面を打つ水滴の音が聞こえなくなるまで絞ってから、
律の首筋に宛がう。
「熱かったりしたら言って下さいね」
「ん、大丈夫だよ。気持ちいい温度」
我慢している様子は見受けられず、
律の言葉はそのまま受け取っていいようだった。
梓は優しく首周りを擦ると、左手で律の背を支えて上半身だけ浮かせる。
律は意図を察したのか、寝かせていた体位を起こして正座してくれた。
「ありがとうございます」
お礼を述べると、背中にタオルを這わせて擦った。
「あ、痛かったら遠慮無く言って下さいね」
痛みを生じないように擦る強さを調節してはいるが、一応声をかけておいた。
「んーん、痛くないよ。
摩擦が気持ちいいくらい」
実際、律の声は寛いでいた。
8 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 20:57:07 ID:0f3Y8Bc.0
「それは良かったです」
律の好みに合う強さを提供できている事に自信を深めつつ、
梓は作業を続けた。
背中が終わると、次は両腕だった。
二の腕や腋を中心に拭くと、再びタオルを湯に浸して絞った。
「次は、前を失礼しますね」
一言断ってから、鎖骨をタオルでなぞってゆく。
そのまま、控えめな膨らみを主張する胸部へとタオルを移す。
デリケートな部分に移ったせいか、律の表情に緊張が走った。
乳房から円を描くように拭いていき、先端をタオルで包む。
律の表情から緊張を感じ取っていた梓の動作は、優しく穏やかなものだった。
「んっ」
それでも乳首を拭く際には、律の口から切なげな吐息が漏れていた。
声を出した事を恥じ入ったのか、律は顔を薄紅に染めて背けた。
「あ、ごめんなさい。力、入れちゃいましたか?」
「いや、気にしなくていいよ。梓は悪くない。
私が妙に意識しちゃって、それで敏感になっちゃってるだけだからさ」
律の声は言葉が進むにつれ小さくなってゆき、
最後には消え入るような大きさになっていた。
それでも耳を傾けて聞き取った梓は、赤面を抑える事に苦労した。
(敏感って……。律先輩、私の理性をあまり虐めないで下さい)
理性を保つ事にも苦労しつつ、梓は問いかける。
「あ、いえ。あの、もう片方は避けといた方がいいですか?
腹部に移ったほうが?」
律は首を振った。
「いや、折角だから、甘えたい。全部、綺麗に拭いて欲しい。
……梓が嫌なら、別にいいけど」
梓は慌てて言葉を返す。
「嫌だなんてとんでもありませんっ。
やらせて頂きますっ」
梓はもう片方の乳房も、同じように拭いた。
律は声を堪えるように唇をきつく結び、眉間に険を走らせていた。
(声を我慢してる律先輩、可愛いよぉ……)
耐えるようないじらしい表情が、堪らなく愛しかった。
表情に堪える意思を漲らせていても、
先端を拭く際には律の口から切なげな吐息が漏れ出ていた。
乳首へと伝わる刺激に、耐えられなかったのだろう。
梓の顔色が再び赤く変じそうになるが、何とか堪える。
律は自分の吐息が艶かしいものである事を自覚しているらしく、
拭き終わった後で言い訳のように口にした。
「やっぱり、少しは変な息出ちゃうよな。
私達、恋人なんだし、恋人に触られれば少しは、ね。
うん、普通の事だし。
だから……」
律は潤んだ瞳で上目に梓を捉え、懇願するような声で言葉を続けた。
「私のこと、えっちな先輩だと思ったら嫌だからな」
梓は今度こそ赤面した。
扇情的な律の表情と言葉を受けて、
昂ぶる感情が顔色に齎す影響を抑え切れなくなったのだ。
(可愛いっ、可愛過ぎるよ。
風邪治りかけが相手じゃなかったら、
そして身体を拭くって言う目的が無かったのなら、絶対に私の理性は飛んでた)
梓は改めて目的を思い起こして、胸中に滾る情欲を追い払った。
「つ、次行きますよ」
赤面した気まずさからか言葉が幾分吃音気味になったが、行動は素早かった。
すぐに律の腹部にタオルを宛がい、摩るように拭いた。
柔らかい場所とあって相当に力は緩めているが、
それでも臍を拭いた際には律の口から吐息が漏れた。
「ごめんなさい。ちょっと強かったですか?」
梓はタオルを湯に浸しながら問いかけた。
「いや、力は弱かったけど、お臍だったから」
「そこは避けた方が良かったですよね」
「いや、綺麗にしておかなきゃいけないところだし、
自分じゃ手心加えやすい場所だし。
有難いよ」
律は微笑みながら、梓への礼を付け加えていた。
9 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 20:58:47 ID:0f3Y8Bc.0
「そう言われると恐縮です。
次は脚ですね」
律からの礼を得て梓は胸を撫で下ろしつつ、視線を脚に向けた。
正座という今の姿勢では拭けない場所である。
「ん、体勢変えた方がいいよな。
どうする?」
律は問いの形を取って、姿勢の指示を催促してきた。
「仰向けに寝転がってもらっていいですか?」
「了解」
律は言われたとおりに仰向けに身体を倒すと、
下着を両手で隠すように覆った。
可愛らしい姿勢ではあるが、同時に情欲を誘う姿勢でもあった。
実際、梓の視線は釘付けられていた。
その視線を受けて逆に扇情的な姿勢であると気付いたのか、
慌てたように両手を退けながら言った。
「って、どうせ見られるし。さっきも少しはショーツ見られたし。
意味無いよね。」
(そんな事無い。意味はあった、可愛らしくも蠱惑的な姿勢だったから。
例えば、デリケートゾーンを手で覆わせたまま、脚を持ち上げたりしたら……)
梓は再び頭に擡げる劣情を抑えながら、律に言葉を返した。
「いえ、とっても可愛らしかったので、私の精神衛生上意味はありましたよ」
「か、可愛らしくなんかねーし」
「可愛いですし。何たって、私のカノジョなんですから」
「反論封じる反則的な殺し文句……」
「では続けますね」
梓は律の右足を持ち上げると、脚の付け根から丹念に拭いていった。
太腿、膝、脛、脹脛とゆっくり下ってゆく。
アキレス腱の辺りまで拭くと、次は左足も同様に拭いていった。
「擽ったいかもしれませんが。
もし、我慢できなくなったら言って下さいね」
そう断ってから、左足の甲にタオルを這わせた。
次に踵を拭いて、いよいよ足の裏側へとタオルを進ませる。
土踏まずを拭いた時、律は擽ったそうな表情を浮かべていたが声は出さなかった。
最後に指も、股に至るまで丹念に拭いてやった。
右足も同様に拭いてから、タオルを再び湯に浸す。
「擽ったかったですか?」
「我慢できない程じゃ無かったよ」
「それは良かったです」
梓はタオルを絞ったところで、律が潤んだ瞳を向けている事に気付いた。
その理由は、問うまでもなく分かっていた。
未だ拭いていない部位は、下着によって隠されている部分だけだ。
即ち、これから律は最もデリケートな部分を晒す事になる。
先程その部位こそ清潔にしておくべきだと主張した梓だったが、
律の気弱な視線を受けて心も揺らいだ。
「あの……どうしても恥ずかしいようでしたら、
そこは省いてもう終わらせますけど。
あっ、勿論清潔にしておくべき場所ですよ?
ですから、律先輩が拭き終わるまで、廊下に出てます」
律は首を振った。
「梓を廊下で待たせておくなんて、できないよ。
それに……」
律は口籠もって視線を漂わせていたが、
意を決したように視線を梓に戻して続けた。
「梓に……拭いて欲しいとか……思っちゃってるし……甘えたいって……」
言った後で羞恥に耐えかねるように、両手で顔を覆って呻く。
「って、何言ってんだよ、私。
ごめんな、我侭だよな?梓だって、そんなとこ拭きたく無いよな?
ごめんな、ごめん……」
「そんな事ありませんっ」
梓の叫びが、律の謝罪を遮った。
深夜である事を思い出し、梓は幾分か声の大きさを落として続けた。
「嫌じゃありません。寧ろ嬉しいくらいです。
大切な場所を私に拭かせてくれるなんて、恋人冥利に尽きます。
だから、もし恥ずかしくて耐えられないのでなければ、拭かせて下さい」
梓は素直な思いを口にしていた。
拭きたい、けれども律が羞恥に耐えられないなら我慢する、と。
10 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 21:00:29 ID:0f3Y8Bc.0
律は顔から両手を退けて、梓を見つめてきた。
梓が想像していた通り、その顔は赤く彩られている。
「恥ずかしいけど……でも、嫌じゃないから。
お願いしたい。
それに……遅かれ早かれ、どうせ何時の日か見せる事になるんだから」
律は慌てて付け足した。
「あ、いや。変な意味じゃなくて……って、どう考えても変な意味か。
その……忘れてくれ」
梓は思った。
自分の顔は今、律に負けず劣らず赤く染まっているだろう、と。
「も、もうっ。忘れられませんよっ。
……でも、嬉しいです。そういう風に思っていてくれて」
梓は紅潮を隠さずに笑むと、律の下着に手をかけた。
「私が……脱がしますか?それとも自分で?」
「ごめん、自分じゃその勇気出なくて。
梓ぁ、甘えて悪いけど、お願いしちゃっていい?」
恥らう律の初々しさが可愛らしかった。
普段ならば揶揄していただろう。
律がジュリエットを演じると知った時、笑ったように。
「ええ、任せて下さい」
だが今は揶揄せずに受けた。
律の性のヴェールを開くに相応しい、厳かな雰囲気を大切にしたかったから。
返答を受けた律は、腰を浮かせてくれた。
梓が下着を下ろし易いように、との配慮だろう。
腰だけ浮かすその姿勢は楽ではない。
律に無用の負担を掛けない為にも、躊躇っている時間など無かった。
梓は下着へかけていた手に力を込めて、一息に下ろした。
「綺麗……」
”それ”を一目見た瞬間、梓は意図せず言葉を漏らしていた。
意識していないが故の、素直な感想だった。
陰毛が無い故に、”それ”は赤裸々な姿を梓に晒している。
その衝撃的で強烈な情景に思考すら忘れていた梓だったが、
耳に律が問いかけてくる声が届いて我に返った。
「匂ったりしない?ショーツ、内側が黄色くなってたりしない?」
先程トイレに行った事を余程気にしているのか、
その声は震えていた。
「ええ、全く」
興奮冷めやらぬまま、梓は短く答えた。
声が震えて呼吸もままならず、気の利いた言葉など放てそうも無かった。
梓は仔細に眺め回したい衝動を抑えて、タオルを手に取った。
治りかけの身を冷えさせる、裸体の時間は少ない方が良いと判断したのだ。
加えて、律を羞恥に悶えさせる時間を少なくしてやりたかった。
律の身体的な負担と精神的な負担、
双方へ向けた配慮の念で梓は自分の欲望を抑え込む。
梓の配慮とは裏腹に、律は問いを続けてきていた。
「私の……変じゃない?」
「さっきも言ったじゃないですか、綺麗、って。
変じゃありません。とても美しくて、蠱惑に満ちています」
「でも……毛が生えてないし……。やっぱり変、だよね?」
「そんな事無いと思いますけど。体型も体格も、人それぞれですし」
「梓は……梓は、生えてるの?」
律の声は遠慮がちだった。
「まぁ、少しは……」
律の言葉を借りれば、遅かれ早かれどうせ何時の日か見せる事になる。
だから梓は有るものを無いと答えるような事はしなかった。
代わりに、律が劣等感を抱かないように付け加えて言う。
「でも、無駄毛の手入れって面倒ですよ?
私はそれ程でも無いですけど。
それに、無いお陰で拭き易くなってるんです。助かりますよ。
後ですね、私以外の人になんて見せないんですから、
私が良いと言えばそれでいいじゃないですか」
律は安堵したようだった。
「そうだな。梓にしか見せないもんね」
「そういう事です」
11 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 21:02:08 ID:0f3Y8Bc.0
梓は首肯と共に言葉を返すと、タオルを性器に宛がう。
これ以上話を延ばして、律の身体を冷やしたく無かった。
触れている間、律は敏感な様子を見せた。
梓が力を加えるたび、荒々しくも艶やかな呼吸が律の口元を彩る。
タオルに擦られた陰唇は、襞を蠕動させるように形を変じた。
梓の指が内部に少しでも入ろうものなら、
律の身は痙攣したように小刻みに震えた。
それら律の見せる反応は、梓の情欲を昂ぶらせて理性を試す。
梓の理性を見舞う試練は、律の反応だけではない。
タオル越しに伝わってくる律の陰唇の柔らかい感触も、
梓の理性を直撃する。
迸る劣情に理性を嬲られながらも、梓はどうにか行為を完了する。
「前は終わりました。次はお尻ですね」
安堵の一息を吐きながら、梓は言った。
臀部ならば性器に比べて理性が楽になるだろうと、
その判断が齎した安堵だった。
「分かった。後ろ向けばいいんだね?」
律も安堵したようだった。
未だ表情は上気しているが、呼吸は幾分穏やかになって声も落ち着いている。
彼女にしても、性器よりも臀部の方が晒す羞恥が薄いのだろう。
「ええ。少し浮かせてくれると、拭き易くなって助かります」
「了解」
律はうつ伏せになると、膝を支えに腰を浮かせた。
その姿勢を見て、梓は自分の安堵が尚早だった事を悟った。
突き出された臀部の齎す情景もまた、梓の理性を試すように聳えている。
足の間に覗く絶景も、梓の劣情を誘って已まない。
梓は既に磨耗している理性に鞭打って、形の良い二つの丘にタオルを這わせた。
滑らかな肌の上、タオルは滑るような軽やかさで動く。
起伏ある臀部のうち、隆起した二つを拭いた後はいよいよその狭間の窪みへと移った。
梓の劣情に加勢するような、可愛らしい薄桃色にタオルを被せる。
その部分にタオルが触れた際、律の口から甘い吐息が漏れていた。
それは性器を拭いた際に比べて穏やかな反応であり、律の安堵を示す変化だった。
対して、梓は未だ安堵には至っていない。
律の性的な魅力は、梓を捉え続けている。
梓に安堵が訪れたのは、拭き終わって視点を逸らす事ができた時だった。
大きく息を吐きながら、梓は告げる。
「終わりましたー」
緊張が抜けた梓は、酷く疲れている自分に気付いた。
その疲労の大部分は肉体的な労働が齎したものではなく、
精神的な磨耗に依るものであった。
「ありがと、梓っ」
だが律の礼を受けた途端、疲弊は消え去り活力が漲った。
無邪気な笑みを浮かべている律に倣い、梓も微笑みながら言葉を返す。
「いえ、お力になれて良かったです」
梓の言葉が終わらぬ内に、律は早くも下着の装着にかかっていた。
名残惜しそうな視線をデリケートゾーンに送りかけるが、
梓は踏みとどまって片付けに徹した。
「じゃあ私、これら片付けて来ますんで。
その間に着替えてて下さい」
タオルや洗面ボウルを指し示しながら言う。
「ん、置いておけば、私が後で片付けるけど?」
「他はともかく、流石に湯が張ってある洗面ボウル放置は危険ですよ。
零したら大変です」
室内に零した水の処理は、困難が付き纏う。
また、片付けまでを含めて律の手助けだと、梓は思っている。
「そっか。じゃ、甘えるね」
それは気張りたい梓にとって、歓心を喚起する言葉だった。
「ええ。濡れたタオルは、洗濯機に入れますか?」
「場所分かる?」
「浴室の近くにあったんで、通りかかりました」
「じゃ、お願い」
「律先輩のエキスが沁み込んでるんで、本当は持って帰りたいんですけど」
半ば本音ではあったが、冗談めかして梓は言う。
12 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 21:03:49 ID:0f3Y8Bc.0
「だ、駄目だよっ。汚いよ」
「流石に冗談です。目の前に律先輩が居るので、それで充分ですから。
でも一つ訂正させて下さい。汚くありません。とっても綺麗でした」
律は恥らうように視線を逸らした。
梓はそれを機に、洗面ボウルやタオルを持って部屋から一旦出た。
元あった場所に洗面ボウルを片付け、
タオルを洗濯機に放り込んでから部屋に戻ると、律は既に着替えを済ませていた。
「お疲れ様」
部屋に戻った梓を律は労ってくれた。
「いえ。律先輩、可愛いネグリジェですね」
被服のセンスを褒めると、律は嬉しそうに笑んだ。
「さんきゅっ。梓の私服も、前見たけど可愛かったよ」
「あ、それはどうも……ありがとうございます」
学外で律と会う時は、服には気を遣っている。
その努力を褒められれば、梓も悪い気はしない。
律に倣うように、笑みを零した。
「あのさ……話変わるけど……一つ、訊いてもいいかな?」
笑みから一転、律は恥らうような表情を浮かべて遠慮がちに口を開いた。
「何ですか?」
律は躊躇う素振りを見せた後、やはり遠慮がちに問うてきた。
「その……私の裸見たじゃん?
それで梓……その、少しは興奮とか、した?」
正直に答えるべきか、誤魔化すべきか。
梓は少し迷った末、口を開く。
「はい……少し……えっちな気分に、なっちゃってました。
ごめんなさい、律先輩の身体を拭いて、さっぱりさせる事が目的なのに。
なのに……発情しちゃうなんて……」
身体を拭く事は、律に対する献身の思いから申し出た。
にも関わらず劣情に塗れてしまった己を恥じての、告白だった。
「あーずさっ」
呼びかける律の声は優しく、そして顔には笑みが浮かんでいた。
「謝らなくていいよ。寧ろ嬉しいし、正直言うと……安心もしてる。
決死の思いで裸晒したのに、
恋人の梓が興奮もしてくれないんじゃ逆に悲しいし。
特に私は……ほら、澪とかと違って、胸大きくないしさ。
唯みたいに、お尻や腿がムッチリしてるわけでもない。
だから……正直言うと、不安だったんだ。梓が無反応だったらどうしよう、って。
裸晒すの渋ってた理由も、恥ずかしいからだけじゃなくって、
その不安もあったからだし」
梓は救われた思いだった。
恥じていた劣情を、律が肯定してくれたのだから。
(恥じる必要なんて無いんだ。
例えこんな状況下でも、下心が差し挟まれるのは恥ずべき事じゃないんだ。
だって、それだけ好きなんだもん。
看病の一環であっても、
好きな人の裸を見てえっちな気分になるのは悪くないって事なんだね。
ありがとう、律先輩)
梓は律に抱きついた。
「わっ、梓っ」
「大好きです、律先輩っ。
本当は私、辛くて切なかったんですよ?
だって、大好きな律先輩のえっちな姿が眼前にあるのに、悪戯できないんだもん。
だから……」
梓は頬を染め、律の耳元で囁いた。
「早く風邪治してくださいね」
「おまっ」
律は恥らう素振りを再び見せつつも、抱き返してくれた。
思い返せば『律の抱擁をもっと受けていたい』という願いも、
身体を拭く提案に至った動機であった。
梓は律の体温を感じながら、願いが叶った至福に再び満たされていた。
13 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 21:05:39 ID:0f3Y8Bc.0
*
暫く抱き合って満足した梓は、律の拘束を解いてバッグを手繰り寄せた。
「律先輩、お腹空きませんか?」
「ん、そういえば食欲も戻ってきたし、少しは空いたかな。
梓は?空いてるなら、何か作ってこようか?」
律の申し出を梓は断る。
味気無いビスケットよりも、律の手料理の方が魅力的ではある。
だが病み上がりの律に働かせたくは無かった。
「いえ、風邪はまだ治りかけでしょうから、自愛して下さい。
実は食べ物あるんですよ。
と言っても、ビスケットですが」
律は素直に喜んだようだった。
「ん、食欲戻ってきたとはいえ、胃はまだ本調子じゃ無いし丁度いいな。
有難く頂くよ」
「じゃあ、どうぞ」
律は梓から受け取ったビスケットの封を開けた。
しかしそれを口には運ばず、梓を見つめて問いかけてきた。
「梓の分は?」
「私は大丈夫ですよ。お腹、大して空いてませんし」
実際には胃が空腹を訴えていたが、
律に全て食べさせようと敢えて強がって見せる。
「嘘は駄目だよ、梓。
お前何も食べてないだろ?
それでお腹空かないわけ無いんだからさ」
律はゴミ箱に視線を向けながら言った。
そこに容器が捨てられていない、という事実から推理したのだろう。
「でも律先輩、病み上がりなんですから。
栄養は無いでしょうけど、せめてエネルギーは摂って下さいよ」
「だーめ。それで梓が体調崩したら、私まで悪影響でるからな。
私って精神面の不調が身体に出やすいからさ」
「流石にこの程度で体調崩したりはしませんけど」
「こらこら、先輩の言う事はちゃんと聞くもんだぞー」
「後輩ではなく恋人として、ここに居ます」
反抗する心算は無かったが、そこだけは譲れなかった。
「実はさ、その恋人としての頼みなんだよね。
一緒に食べて欲しいって言うのは」
律はビスケットを摘むと、半分程口に咥えて顔を突き出してきた。
梓はすぐにその意図を察する。
「律先輩、それはずるいです。でも」
律の柔らかな唇の誘惑には抗い難かった。
「頂きます」
梓も口を寄せて、ビスケットを咥え込む。
二人の唇が触れ合い、咀嚼音が交じり合う。
一枚食べ終わると、また一枚、次の一枚と、
接吻と共に二人でビスケットを食べ尽くした。
14 :軽音部員♪:2011/05/22(日) 21:07:23 ID:0f3Y8Bc.0
「本当に律先輩が一人で食べても良かったのに。
今更ですけど」
「んー、ちょっと変わった趣向のキスもしてみたかったし。
梓の健康も気になったし、何より一緒に食べたかったんだよね。
二人で分かち合いたかった、っていうか。
あ、いや、元々は梓の物だったんだから、
こういう物言いは図々しいかもしれないけど」
「図々しいだなんて。
律先輩が私を気遣ってくれて、嬉しいですよ」
本当は健康を気遣われた事よりも、
”分かち合い”という言葉に喜びを感じていた。
一体的な不可分関係のメリットである、
些細なものでも二人で分かち合う強い連帯を実感できたのだから。
「ところでさ、これからどうする?
寝るにしても起きてるにしても、中途半端な時間なんだよね。
起きててもやる事ないし、登校の時間まではちょっと長い。
でも寝たら寝たで、遅刻しそうなんだよね」
「寝ましょう」
梓は即答して、言葉を続ける。
「律先輩、風邪が治りかけなんですから、睡眠は取らないと駄目です。
律先輩の身体を冷やさぬよう、私が抱き枕になってあげますから」
「でも、梓に風邪移さない?」
「私は健康ですから、治りかけ程度の風邪だったら移りませんよ。
それに、移ったら移ったでいいんです。
ほら、私達は……何処までも一緒でしょ?二人でなら、落ちていけるでしょ?
風邪ですら、律先輩と分かち合えるのなら嬉しいです」
「でも私は梓には幸福で、健康で居て欲しいから。
だから、移さないように努力するよ」
梓は律に抱き寄せられた。
その姿勢のまま、共にベッドへ倒れこむ。
(共倒れであっても、律先輩となら天国。本当にそうだよね)
リモコンで灯りを落とした律が、梓の耳元に囁きかけてきた。
「でも、今から寝ると寝坊しそうな時間だよな」
「私が起こしますよ。……起きれたら、ですが」
「もし……寝坊したら……そのまま学校休んじゃおっか?
それで、明日は二人でずっと居ようか?」
「いいですね、それ。もし私が寝坊したら、ですけどね」
そうは言いつつも、律が提案した段階で既に梓は決めていた。
──寝過ごす事を。
「了解。んじゃ、おやすみ梓」
律は目を瞑った。
程無くして、律から穏やかな寝息が聞こえてくる。
梓は抱かれた姿勢のまま、律の耳元に唇を寄せて囁いた。
「起きたら……悪い事、いーっぱいしようね。律っ」
<FIN>
最終更新:2011年09月06日 12:42