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264 :軽音部員♪:2011/06/25(土) 06:57:36

 土曜の朝は私にとってとても気分がいい。

 休日だからこそ早起きする。それは私が普段使っているベットですやすやと
 寝息を立てる、愛らしい金糸雀を観察する至高の時間のために。


 先輩たちが卒業して1年。私も結局そのあとに続いた。
 ただ、一人暮らしがしてみたかったので寮には入らなかった。

 仲良し軽音部にとって、それは恰好の木の洞となった。
 ぺちゃくちゃと小鳥たちがお菓子を啄み、他愛もない話に花を咲かせる様は
 あの頃の匂いを甦らせ、たちどころに私の胸を一杯にした。

 週の終わりの金曜日は後のない解放感から瓶を空けることが多かった。
 私はまだ飲めないが、4人の中で一番威勢のいいその人は意外にも水に弱かった。

 だからこうやって、3人が巣に帰って、1人が微睡の中に残されることも珍しくはなかった。


 カーテンを開け、それを見やる。
 年の割にはあどけない。落ち着きがなくて、三枚目だからといつも損な役を買って出る。
 でもその穏やかな顔は可愛くて恰好よくて綺麗で愛おしくて。なんだか苦しくなってくる。

 ああ、こんな顔をしていたら。いつものように遅い朝を迎える彼女に揶揄われてしまう。
 見つめているだけでいいのだけど。見つめているだけだからよくないのだけど。


 時が心を宥めてから、私は私と貴女がいつもの間柄で1日を始められるよう小鳥の頬に手をかける。
 むにむに。むにむにむに。
 何を食べたらこんなに柔らかくなるのだろう。

 すると訳の分からない呪文と共に先輩が姿を現した。



 薄く開けた目から差し込む鈍い光に挨拶をする。
 後輩が私の頬に手をかけている。ただでさえくりくりとした目をいっそう丸くして。
 ああ、兎が淋しくなったのだなと理解した時、今日という1日が始まる。


 本当は知っている。
 朝ぼらけの薄い空気の中、あの、赤い目で見つめられている。見つめられているだけ。
 酔いが速いのは本当だが、深くは眠れないから。
 2人だけの日。決まってあいつは早く起きる。早く起きるだけ。

 見つめられているだけじゃよくないのだけど。見つめられているだけだからいいのだろうか。 
 怖がっているのか。こんなことではいつものように真面目な彼女に笑われてしまう。
 ただ、私はそんなに出来た人間じゃないから、こういう時どうすればいいのか分からなくなる。

 休日になるから早寝する。それはあいつが普段使っているベットで自分を偽る私を、
 いつもの彼女が優しく世界へ引き戻す至福の時間のために。

 土曜日の朝は私にとってとても気分がいい。のだろう。





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最終更新:2011年09月06日 13:38