―――もういつからになるだろう―――
些細な行き違いで澪と険悪な仲になって以来こうして梓と一線を越えてきたのは。
そう、夜伽の仲になったのは。
ついこの前まで澪と私は自他共に認める良い仲としてやってきた。
梓もそのくらいのことは分かるだろう。
けれどもこの前からそうでなくなってしまった。
顔を合わせても声もかけてくれない。
そんな状態が暫く続きとうとう私は梓に求めるようになってしまった。
お察しの通り何故梓だったのかと言えば単に「澪に似ていた」からだ。
そう、私は情けないことに梓を澪の代わりとしか思っていなかった。
梓もそれを分かってなのか私を案外素直に受け入れてくれた。
けれども私はやっぱり澪とはあの仲だ。
いずれは元通りになるのだろう。
だけれど最近になってなんだか元通りになることが恐ろしくなってきた。
確かに私は澪を愛している。
けれども何故恐ろしい、何故以前に戻りたくない。
そう、私の心はいつの間にか少しずつ梓の方へ動き始めた。
だから私は梓に言う
「愛してる」、と
けれどもどこか澪に対して言ってる、梓の澪の面影に対して言ってる
誰に言ってるのか分からない言葉。
恐らく梓に対してこんな酷い仕打ちは他に無いだろう。
けれども梓は返してくれる、一生懸命に
「私もですよ」と
でも私は気がついた。
梓は必死で堪えている感情があると、私の心は完全に澪のものであると思っているのだと。
「違うんだ」
私はそう言いたい。
私は梓を愛し始めたんだ!
でもやっぱり言えない。
結局は澪と比べると「少しは」でしかないか。
こんなことを毎晩考える。
考えたって埒が明かないのに。
考えていると梓が私の顔を心配そうに覗いてくる。
大方怪訝な顔でもしているのだろう。
だから私は微笑してこう返す。
「愛してる」、と
そして私はまた一つ重荷を増やすことになる。
最終更新:2011年09月06日 14:27