ちょっと長いのを書きます
思いっきり作者の趣味の下書いたものですがお許しください
律「てつどうしょうか!」梓
―――鉄道唱歌とは、今から111年前1900年に大和田建樹が作曲した歌である。
内容は「地理教育」と銘打っているだけあり、汽車で巡る各地の名産、歴史、情景などを紹介していく歌である。しかしまた旅人の心も歌われているのではないのだろうか―――
律サイド
一 汽笛一聲新橋を
はや我汽車は離れたり
愛宕の山に入りのこる
月を旅路の友として
こんな憂鬱な旅の始まりなんてあっただろうか。
梓「律先輩、好きです。」
あんなことさえ言われなければな。
私は世の常識というべきだろうか、いや、利己的に体面というのを気にしすぎたのか。
随分酷い言葉で振ってしまった。
正直後悔している。けれども今は答える勇気も無い。
だからこうしてただ電車に身を任せていろいろなところへ行ってみるのだ。
「月を旅路の友として・・・だっけな」
どこかで聞いたことのある歌詞
恐らく本来とは全然違う意味で今の私にぴったりな言葉だ。
梓サイド
一 汽車は烟(けむり)を噴き立てゝ
今ぞ上野を出でゝゆく
ゆくへは何(いず)く陸奥の
青森までも一飛に
「律先輩はズルすぎます・・・」
恋をするのは異性だけ、かつてはそれが当たり前だと考えていました。
けれども不思議なものです。一度想い始めるとそんなかつての常識なんてすぐにどこかへいってしまうものです。
けれどもあの先輩の隣にはいつも素敵な幼馴染がいる、このままでは私はすぐに遠い存在になってしまう。
そんな焦りから先輩にとうとう告白しました。
けれども先輩は
律「え・・・? 冗談だよな?」
梓「違います。これは本気です。」
律「そっ・・・そんなの駄目だって。周りに笑われるって・・・」
この後律先輩が何を言っていたか覚えていません。
ただ分かったのは私はフられたということでした。
よくドラマである、荒んだ女性が旅に出る。
そんあこと一生無縁だと思っていましたがまさかこの年で経験することになるとは思っていませんでした。
行く先は青森です。
672 :軽音部員♪:2011/10/27(木) 02:40:37 ID:xMA5Yyek0
律サイド
五 鶴見神奈川あとにして
ゆけば横濱ステーシヨン
湊を見れば百舟(ももふね)の
煙は空をこがすまで
駅を降りて見渡せばもうそこは海である。
「やっぱ海は広いなー」
そんな独り言を呟きながら見る海はいやなくらいに美しいものであった。
行き交う船を見ながらここに船って何隻ぐらい居るのかなと考えていると現実も厭な記憶も忘れそうだった。けれども
「あ、時間だ」
僅かばかりに残った私の時間間隔が現実へと私を引き戻していく。
梓サイド
六 末は銚子の海に入る
板東太郎の名も高し
みよや白帆の絶間なく
のぼればくだる賑を
利根川の大きな流れを見ていると私の悩みなんてちっぽけだなあ
なんて思えるわけもなく
「律先輩ぃ・・・」
未だにこの想いは私の大部分を占めている
律サイド
一一 支線をあとに立ちかへり
わたる相模の馬入川
海水浴に名を得たる
大磯みえて波すゞし
涼しげな波が車窓を流れていく。
窓を開けることができればさぞ気持ちいいのだろうな。
思ってみれば海水浴なんて合宿以来だっけな。
あの時だっけ「やってやるです!」なんて梓が言ったのは。
あの梓は可愛かったな・・・え?
「いやいや違う、おかしーし」
これは恋愛感情なんかじゃない、唯が梓を可愛がるようなものだと自分をやや強引に納得させた。
梓サイド
七 次に來るは古河間々田
兩手ひろげて我汽車を
萬歳と呼ぶ子供あり
おもへば今日は日曜か
車窓を流れていく風景を見ているとこちらに手を振ってくる小さな子がいた。
その小さな手は千切れてしまいそうなぐらいにこちらに手を振ってくる。
そう、今の私にとっては痛すぎるくらい無邪気に。
あのなんの悩みもなかったころに戻りたいななんて思ってみてもやっぱり浮かぶのは律先輩
「先輩、責任取ってくださいよ」
風邪が辛すぎて眠れないので書いてみたです
現在続きも書いています 今日明日には全部投下できるかと思います。
少しばかり説明しますと律は第1集「東海道編」で梓は第3集「奥州・磐城編」です。
ややこしくてすみません。
設定は呼んでの通り梓は律と澪ちゃんが意識しあって急がないとマズいと判断したわけですが実際は律は
女同士なんてありえないなんて思っていたっていう設定です
そしてお互い荒んでしまって旅に出てみる。ありがちな設定ではありますがやってみたかった内容なので堪忍してください。
674 :軽音部員♪:2011/10/27(木) 16:20:14 ID:RblR.nNo0
頭が回らないけど続きデス
律サイド
一四 はるかにみえし富士の嶺は
はや我そばに来りたり
雪の冠雲の帶
いつもけだかき姿にて
車窓を眺めていると黒い壁のようなもので視界が覆われる。
そう、富士山が見えてきた。
やっぱり日本で一番高い山というだけあって山裾の幅もとても広い。
「私もこんな風であったらな。」
私がもっとどっしり構えた人間であったら梓にはもっと良い答えを出せたであろう。
いや、いまの器の小ささではそもそも付き合ってしまうという選択そのものが罪かもしれない。
梓サイド
一二 日光見ずは結構と
いふなといひし諺も
おもひしらるゝ宮の様
花か紅葉か金襴か
一三 東照宮の壯麗も
三代廟の高大も
みるまに一日日ぐらしの
陽明門は是かとよ
日光が近づいてきた。
この際だからあの東照宮も見ておこう。
少しは気晴らしになるかもしれない。
「日光を見ずに結構と言うな・・・だっけ」
そんな諺があった気がする。
同意の諺はナポリをみて死ねだったっけ。
「小鳥遊」ってかいて「たかなし」っていうらしいけどここではねこなしかな。
眠り猫の表裏を見ているとふと思い出されるのが
「にゃーって言ってみて」
どうしてこんなところでも思い出さなければならないんですか。
律先輩。
律サイド
一八 鳥の羽音におどろきし
平家の話は昔にて
今は汽車ゆく富士川を
下るは身延の歸り舟
富士川の戦いなんてのがあったなと勉強に疎い私でも思い出した。
水鳥の羽音を敵がやってきたと思って平家が逃げ帰ったんだっけ。
最近では水鳥の羽音が敵襲の前兆だと察知したから多少混乱したってのが事実らしいんだっけ。
昔は「平家ってアホだなー」なんて思っていたけど今は私が水鳥の羽音程度で驚いてしまいそうだ。
何時もの明るいやや強引な私はどこへ行ってしまったのか。
梓サイド
一八 秋風吹くと詠じたる
關所の跡は此ところ
會津の兵を官軍の
討ちし維新の古戰場
かつてこの白河は会津の幕府軍と新政府軍との戦場になったんだっけ。
会津の人達はその後も長らくは国賊扱いで今でも差別する人が居るらしい。
そんな彼らの哀れな身の上を見ているとなんだか自分が惨めになってくる。
どうしてたった一人の人にフラれたぐらいでここまで悲しまなければならないのか。
なんだかさらに悲しい気持ちになりつつも電車は進んで行きます。
律サイド
二一 駿州一の大都會
静岡いでゝ阿部川を
わたればこゝぞ宇津の谷の
山きりぬきし洞の道
静岡と言えばお茶だな。
そんな程度の認識で駅を降りて適当にお茶を飲めるところを探していく。
はは、やっぱり私は何処へ行ってもHTTなんだなと思いつつ飲むお茶の美味さ。
そして苦さから思い出される梓の言葉。
やっぱりまだこの気分整理しきれてないな。
686 :軽音部員♪:2011/10/28(金) 00:17:02 ID:xm6KgTyU0
続きだー
梓サイド
二四 長岡おりて飯坂の
湯治にまはる人もあり
越河こして白石は
はや陸前の國と聞く
飯坂といったら温泉です。
確か奥州三名湯は秋保と鳴子とここだったはずです。
飯坂温泉は湯治客も多いそうです。
私のこの恋煩いも治るといいのですが・・・
けれどもやっぱり頭をよぎるのは「先輩と来たかった」というこの想い
それは無理なんだと自分を納得させて湯船につかると気持ちいい。
温泉ってやっぱり偉大だな。
年寄り臭いかもしれないけれどしばし心を癒してくれる。
律サイド
二七 琴ひく風の濱松も
菜種に蝶の舞坂も
うしろに走る愉快さを
うたふか磯の波のこゑ
電車って思っていたより速いんだなと改めて実感させられる。
今時飛行機や新幹線があるから在来線って用済みって言う人もいるけれどやっぱり電車は速い。まるで私のドラムみたいに。
二九 右は入海しづかにて
空には富士の雪しろし
左は遠州洋ちかく
山なす波ぞ碎けちる
暫くすると右手には生み、左手には富士山。
日本の中でもなかなか贅沢な風景なんだろうなと思っていると豊橋で乗り換えというアナウンスが聞こえてきた。
私と梓はもうこんなに離れてしまったんだな。
梓サイド
二七 東北一の都會とて
其名しられし仙臺市
伊達政宗の築きたる
城に師團は置かれたり
仙台へ着きました。
仙台と言えば伊達政宗に青葉城に七夕祭りです。
普段ならいろんなところを見て回れるのに今は少しそんな気がしません。
けれども私は変わるんです!カムバック私!
そんなことを思いつつ牛タン弁当を頬張っていました。
律サイド
三四 名たかき金の鯱は
名古屋の城の光なり
地震のはなしまだ消えぬ
岐阜の鵜飼も見てゆかん
名古屋っていったらアレだアレ
味噌カツときしめんとしゃちほこと・・・あとは何だっけ
そしてこんな鬱みたいな状態から脱するにはやっぱり食事だ食事!
味噌カツを求めて私は降りて街へと繰り出した。
梓サイド
三〇 多賀の碑ほどちかき
岩切おりて乘りかふる
汽車は鹽竈千賀の浦
いざ船よせよ松島に
松島をがっかり名所なんて言ったのは誰なんでしょう。
私には全くそんな風に見えませんでした。
そしてあのちょっぴり怖い隙間の広い橋を渡るとなんだか身が引き締まるようでした。
三一 汽車に乘りても松島の
話かしまし鹿島臺
小牛田は神の宮ちかく
新田は沼のけしきよし
電車に乗りとうとう私は決めました。
律先輩を忘れ、新たな道を行くのだと。
ここからは楽しい旅になりそうです!
687 :軽音部員♪:2011/10/28(金) 00:19:13 ID:xm6KgTyU0
律サイド
三七 山はうしろに立ち去りて
前に来るは琵琶の海
ほとりに沿ひし米原は
北陸道の分岐線
名古屋からまた電車にのってどれくらい経ったっけな
気がついたら周りは山と畑。
ああ滋賀県に入ったのか。
暫くすると次は米原らしい。
「しかし毎回乗換駅で新幹線への乗り換えを勧めてくるな・・・」
そんなことを言った矢先に横を新幹線が流れていった。
「急ぐときはこれに限るな。」
梓サイド
三三 阿部の貞任義家の
戰ありし衣川
金色堂を見る人は
こゝにておりよ平泉
平泉といえば教科書で出てきた・・・えーっとそう、平泉です。
平泉中尊寺金色堂です。
かつて松尾芭蕉も訪れたんですよね。(実際は金色堂は見なかったんだっけ)
えーっと誰が奉られているんでしたっけ・・・
確認確認っと
律サイド
三八 彦根に立てる井伊の城
草津にひさぐ姥が餅
かはる名所も名物も
旅の徒然のうさはらし
彦根城っていったらあの猫だよなあ・・・猫・・・猫・・・梓・・・?
「ああーどうして梓のことばっかり」
もしかして私は・・・いや、そんなことは無い、断じて無い、私は普通の女子大生!
さて草津と言えば姥が餅・・・ってさっき初めて聞いたんだがな。
これが案外美味しい。唯たちに買って帰るか。
梓サイド
四〇 勇む笛の音いそぐ人
汽車は着きけり青森に
むかしは陸路廿日道
今は鐵道一晝夜
早いもので電車はあっというまに青森です
昔は東京から徒歩で20日かかったらしいので鉄道って凄いですね。
今ではさらに新幹線も通っていますしね。
四一 津輕の瀬戸を中にして
凾館までは二十四里
ゆきかふ船の煙にも
國のさかえは知られけり
津軽海峡は思っていたよりもはるかに広く
「この下をトンネルが通ってるんだ・・・」
思わず声にだした位です。
とりあえず泊まる所を探すです!
688 :軽音部員♪:2011/10/28(金) 00:24:22 ID:xm6KgTyU0
律サイド
四六 東寺の塔を左にて
とまれば七條ステーシヨン
京都々々とよびたつる
驛夫のこゑも勇ましや
もうすぐ京都だというアナウンスを聞いていると車窓からいかにも京都!な建物が見えてきた。
京都って寺ばっかだと思ってたらビルだらけだなーなんて思っていると長い京都駅のホームに到着した。
「本当は京都も見て周りたいんだけどなー」
今日の宿は神戸にとっている。
理由はなんとなくだ。
ということでまた進む。
梓サイド
~~~~~~~~~~
「律先輩、好きです。」
律「え・・・冗談だよな・・・」
「いえ、これは本当です!」
律「あ・・・あのな・・・実はな」
律「私も梓のことが好きだ!」
「えっ・・・!」
今日、私、中野梓は律先輩という彼女・・・いや、彼氏?いややっぱり彼女?
なんやかんやで私達は目出度く結ばれたのです!
きっと私は今世界一幸せな女子高生です!
~~~~~~~~~
律サイド
六〇 大阪いでゝ右左
菜種ならざる畑もなし
神崎川のながれのみ
淺黄にゆくぞ美しき
「や・・・やっと大阪・・・。」
神戸なんてあっという間だと思っていたら関西に入ってから異様に時間が掛かってる気がする・・・いや、実際はそんなことないんだろうけど
「あ~私にしては珍しく・・・なんてことないけど予約しなきゃよかったああ。」
六二 神戸は五港の一つにて
あつまる汽船のかずかずは
海の西より東より
瀬戸内がよひも交じりたり
「や・・・やっと着いた・・・」
六五 おもへば夢か時のまに
五十三次はしりきて
神戸のやどに身をおくも
人に翼の汽車の恩
「人に翼の汽車の恩だっけ・・・わたしゃ疲れたぞー」
他愛も無い独り言を呟きながら宿へ向かう。
明日はどうしよう。
691 :軽音部員♪:2011/10/28(金) 00:33:03 ID:xm6KgTyU0
梓サイド
~~~~~~~~~~~
「ん・・・」パチッ
夢だった。
「そ・・・そんな」ポロッ
「そんなあああああ」ボロボロ
律先輩は夢の中でもずるいです。
あんなに魅力的で、そう私を泣かせるぐらいに。
結局そのあとも泣き続けて気がついたらまた寝ていました。
律サイド
宿についた。
疲れたのでさっさと風呂に入ってリラックスしているといろいろなことが思い浮かんでくる。
疲れという飾りで隠れていたいろんなことが。
もちろん梓のことも。
「やっぱり私は梓の想いに答えるべきなのかなあ」
独り言を呟く。もちろん誰も答えるわけが無い。
「あー分からない!」
考えるのが面倒になったので私はベッドに横たわった。
~~~~~~~~~
あれから何時間経ったのか。
私は目が覚めた。外はまだ薄暗い。
「梓・・・」
ふと口をついてでたのは私を思い慕ってくれている後輩の名前
「梓っ・・・!」
何故かは分からない。けれども私は突然とある使命感に駆られた。
後輩の想い応えるという使命に。
梓サイド
四二 汽車のりかへて弘前に
あそぶも旅の樂しみよ
店にならぶは津輕塗
空に立てるは津輕富士
四三 歸りは線路の道かへて
海際づたひ進まんと
仙臺すぎて馬市の
岩沼よりぞ分れゆく
「昨日せっかく律先輩のことを忘れようと思ったのに・・・」
まさか夢に出てくるとは思っていませんでした。
やはり私は諦めの悪い子供なのでしょうか。
とにかく電車に乗って気を紛らわせます。
四四 道は磐城をつらぬきて
常陸にかゝる磐城線
ながめはてなき海原は
亞米利加までやつゞくらん
海はやっぱり広くて吸い込まれそうなくらいでした。
そしてここを超えればアメリカやヨーロッパが待っているのです。
思えばこの前までは私は音楽だけに恋をしていました。
そんなときに現れたのが律先輩でした。
最初はこんな先輩ダメだなと思っていました。
けれどもあのなんともいえない緩さで助けられたりあくまでいい加減ですが部長の名に恥じない部長さんだと思うようになりました。
そして気がついたらこの様です。
何時も目に入るのは律先輩、そして澪先輩
正直澪先輩にはずっと敵わないと思っていました。
けれども卒業という節目に悪い言い方をすればその節目に付け込んで
私は律先輩に告白したのでした。
けれども今となっては告白せずに胸のうちにとどめておくべきだったのか
それともこれで正解だったのか
私には分かりません。
693 :軽音部員♪:2011/10/28(金) 00:53:23 ID:xm6KgTyU0
四八 しばしばくゞるトン子ルを
出てはながむる浦の波
岩には休む鴎あり
沖には渡る白帆あり
海を眺めていてもやっぱり気分は晴れません。
想うのは律先輩のことばかり。
「あ、カモメ」
けれどもあの可愛らしいカモメだけは少し私の心を癒してくれたでしょうか。
五三 あひて別れて別れては
またあふ海と磯の松
磯原すぎて高萩に
假るや旅寢の高枕
この辺りはずっと海と松原の情景が交差するようです。
暗い色の海は私の心を暗くしてしまいます。
「はぁ・・・律先輩・・・。」
叶わないと知っているのに願ってしまうことほど悲しいことはありません。
律サイド
私は夜が明けるのが遅いとばかりに宿を後にした。
本当は他のところを巡るのに使おうと思っていた資金を全て新幹線の券売機に突っ込み切符を買うと尻に火がついたかのように新幹線へと走る。
「待ってろ、梓!」
梓サイド
五七 つれだつ旅の友部より
わかるゝ道は小山線
石岡よりは歌によむ
志筑の田井も程ちかし
友部という地名を聞くとつい思い浮かべてしまうのは友達、そう、純や憂。
彼女たちを連れてきた方がよかったのかなと思ってみるのですが「大人の女」になりたかったのでしょうか。行くときには自分のプライドがそれを許しませんでした。
律サイド
そういえば梓って今どこに居るのか。
デッキへ出て唯に電話を掛けてみる。
すると
唯「あ、あずにゃんならねー、えーっとどこだっけ、そうそう、東北へ行ったよー」
「は!?」
唯「今日帰ってくるみたいだけどー」
「そうか。わかった」
唯「上野駅だよりっちゃん」
「んなぐらいわかっとるわー」
しかしまたなんで東北に・・・
ドラマの未亡人かなんかかよ・・・
梓サイド
五九 雲井の空に耳二つ
立てたる駒の如くにて
みゆる高嶺は男體と
女體そびゆる筑波山
海と別れてどれくらい経ったのでしょうか。
「あれが筑波山だったっけ・・・」
二つの山が聳えるそれは正しく「馬の耳」のようでした。
695 :軽音部員♪:2011/10/28(金) 01:03:55 ID:xm6KgTyU0
律サイド
まだかまだかと思ってみても今乗ってるのは新幹線。
これより早い乗り物は飛行機しかない。
「あずさーーーーーー!」
梓サイド
六二 車輪のめぐり速(すみやか)に
千住大橋右に見て
環の端の限なく
ふたゝびもどる田端驛
鉄道が速いということは素晴らしいことなのですが今の私にとっては辛いです。
ちゃんと律先輩のことを忘れて変える予定だったのがもう田端駅です。
「ついさっき出たと思ったのに・・・」
もうすぐ上野です。
この電車を降りたらその瞬間から現実にまた戻らなければなりません。
どうか・・・どうかもう少し遅く走ってください・・・。
律サイド
上野駅になんとか到着した。
えーっと梓は在来線らしいからこのホームか!?
恐らくと思うホームに向かう
「どうか居てくれ!梓!」
梓サイド
アナウンスが上野の到着を告げる。
律先輩への想いを忘れ物としてこの電車に置いて行きたいけれどそれは出来なかった。
殆どの人が降りてやっと私はホームへと降り立った。
律サイド
あれから何本か電車を待った。
来ない。
もう帰ってしまったのか。
それとも検討違いか。
唯や澪に連絡してみても繋がらないという。
一体どうしちまったんだよ・・・
696 :軽音部員♪:2011/10/28(金) 01:22:52 ID:xm6KgTyU0
六三 むかしは鬼の住家とて
人のおそれし陸奥の
はてまでゆきて時の間に
かへる事こそめでたけれ
人が皆降りた電車が走り出す。
ふとホームの端を見る
すると人ごみの中に彼女は居た。
「あ・・・梓!」
梓は帰ってきた。
梓サイド
ホームは混雑しててやかましい。
けれども聞こえた。
あの先輩の、あのいつもの声で。
律「あ・・・梓!」
どういうことか分かりませんでした。
けれどもあの先輩はドラムと同じように凄い速さでこっちにやってきて。
律「梓~心配したんだぞ~!」
唯先輩のように私を抱きしめました。
「先輩、どうしてですかっ!」
律「何がだ~」
「あんなに女同士はムリって言ってたのにっ」
「私は先輩のことを忘れようとしたのにっ!」ポロポロ
律「まあ聞けよ」
「あんな風に言ったのはいまでも申し訳なく思っている。」
「私は世間体ばかり気にして梓の想いに真面目に向き合おうとしなかった」
「だから私も旅に出てみた。」
「そうしたらさ、理由はわかんないけど梓の想いに真面目に向き合おう。そう思った。」
「それでさ、梓は私にとっての大事な後輩だ。」
「だから言う。梓、どうか私の傍に居てくれ。」
「梓の考えているような恋愛感情じゃないかもしれないけれども梓はやっぱり大事なんだ。」
「だから頼む・・・!」
「・・・・・・」
「そんなのずるいです・・・」
律「駄目か・・・?」
「許しません」
「だからその罪滅ぼしとして」
「永久に私の傍に居てください」
「そして」
「もう一回強く抱いてください」
律「梓・・・!」ダキッ
「先輩・・・」
六四 祝へ人々鐵道の
開けし時に逢へる身を
上野の山もひゞくまで
鐵道唱歌の聲(こえ)立てゝ
おわり
皆様、終点までのご乗車有難う御座いました。
今回は鉄道唱歌の詩に律梓を乗せてみた訳ですが如何でしょうか。
勢いだけで書いた節もあり煮詰めが足りないとは想いますがお楽しみいただければ幸い戸存じます。
―――鉄道は今日もどこかで幸せや悲しみを乗せて走って行く
そしてそういう感情や人の出会いがまた新たな旅を生むのでは無いでしょうか。そう、この二人のように―――
- 素晴らしかったです。
律梓には此れからも永久に幸せでいて欲しい。
-- (名無しさん) 2012-02-15 04:58:40
最終更新:2011年12月17日 02:40