医師の逮捕のどこに問題があるのか

「医師の逮捕のどこに問題があるのか」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

医師の逮捕のどこに問題があるのか - (2008/07/19 (土) 22:34:17) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

**福島大野病院事件 -医療事故は誰にでもわかるミスと同じ専門家が見てもミスとみるかどうかわからないものがたくさんあります。ある有名な監督の胃癌の手術を腹腔鏡で7時間もかけてやったというのも医療ミスと見る外科専門医もあります。そのような長い臨床経験のある専門家でも判断が分かれる難しい問題に、学生の医師国家試験のあんちょく本に書いていることを根拠に逮捕、起訴するという馬鹿なことをした福島県の警察、検事。それがネットで全国の産科医に知らされ震え上がらせたことが、今年の全国の産科医が逃げ出し始めた最大の原因。第一線の産科医はそう思っています。 -福島の事件は「最善を尽くしたが結果として助けることができなかった」と考えられる事件だと思います。少なくとも現場で働く医師のほとんどがそう考えています。&br()それをあのように大々的にテレビで中継しながら逮捕し、なおかつマスコミは医師を一方的に叩きました。&br()以前から産科・小児科は激務が続いていて、限界が近づいていましたが、とどめを刺された感があります。 -あの逮捕・起訴で一番問題だとおいらが思うのは、医者から見て検察の説明が納得いかないことです。つまり、「こんなことをしたのでは刑事責任を問われるのは仕方ない」とか、「こういったことさえしなければ、少なくとも刑事責任は問われないな」という感覚を持たせることに全く成功していない。 -この事件について異常でありまた失望させられたのは 1)一年半も前の事例であり、その先生が逃亡のおそれもないのに外来診察中に、警察が報道機関を引き連れて手錠をかけて連行したこと。 2)またそのタイミングとしてはその先生の奥様の臨月で、復讐的な色合いが強いこと、 2)その先生は院長にはこの症例についての報告をし、異常死として報告しなかった責任は院長にあるにもかかわらず、院長は不問にされていること。また、院長も「私はやめろといった」などと責任逃れに終始していること。 3)そしてなにより、その病院で年間200例以上のお産、70例近くの帝王切開をたった一人で行ってきて、地域に対し多大な貢献をしてきた方であるにもかかわらず、住民の中から嘆願運動が起こっていないこと、などです。  -逮捕の前に事故調査委員会のようなものが過失ありとしているんですよね。(保険会社から遺族に金がいくように、そのようにしたと推測(憶測?)されています。内容がトンデモであることも多くの医師に検証されています) -日本産婦人科学会・平成17年度第9回常務理事会議事録(平成18年3月10日)&br()佐藤章幹事の説明&br()「・・・調査委員会を立ち上げた。その冒頭に、委員長と病院局の担当者がこれは今後こういう事件が再び起きないようにすること、非を認めて家族に対する補償の開始を早くしたいということが目的であるので、そのつもりで報告書を書いてくれとのことであった。」 http://www.jsog.or.jp/about_us/minutes/pdf/GIJIROKU/h17_09joumu.pdf **医者の意識の問題なのか -エリート層の使命感が希薄になっていることが根本原因ではないかと思います。&br()そのエリートの使命感と対になるのが名誉というものに対する人々の価値観です。&br()エリートは金銭面でそれほど報いられなくても、とても困難な仕事であっても、自分にしかできないことを精一杯やる。そして周りはそれに金銭面や特権で報いることはできなくても尊敬し尊重するというような考え方が薄れてしまったのが原因だと思っています。 -医師に向かって精神論を語るなど、この手の問題点の解決には百害あって一利もなしでしょう。 **逮捕時の判断の適正化の必要性 -医師の場合は起訴された時点で実質的に廃業に近いものがあります。マスコミの騒ぎ方が他の事例、例えば交通事故などとは比べものになりません。裁判の結果が無罪でも、もうその医者は終わっています。 -「必ず過失ありと認定されるものだけ捜査・起訴すべきである」という命題は、捜査機関が追求すべきものではありますが、完全には実現できないものでもあります。「必ず予後が良好になるように手術すべきである」という要求と同じで、それが望ましいけれども、現実には無理です。かといって、捜査(手術)をしないわけにもいきません。
**福島大野病院事件 -医療事故は誰にでもわかるミスと同じ専門家が見てもミスとみるかどうかわからないものがたくさんあります。ある有名な監督の胃癌の手術を腹腔鏡で7時間もかけてやったというのも医療ミスと見る外科専門医もあります。そのような長い臨床経験のある専門家でも判断が分かれる難しい問題に、学生の医師国家試験のあんちょく本に書いていることを根拠に逮捕、起訴するという馬鹿なことをした福島県の警察、検事。それがネットで全国の産科医に知らされ震え上がらせたことが、今年の全国の産科医が逃げ出し始めた最大の原因。第一線の産科医はそう思っています。 -福島の事件は「最善を尽くしたが結果として助けることができなかった」と考えられる事件だと思います。少なくとも現場で働く医師のほとんどがそう考えています。&br()それをあのように大々的にテレビで中継しながら逮捕し、なおかつマスコミは医師を一方的に叩きました。&br()以前から産科・小児科は激務が続いていて、限界が近づいていましたが、とどめを刺された感があります。 -あの逮捕・起訴で一番問題だとおいらが思うのは、医者から見て検察の説明が納得いかないことです。つまり、「こんなことをしたのでは刑事責任を問われるのは仕方ない」とか、「こういったことさえしなければ、少なくとも刑事責任は問われないな」という感覚を持たせることに全く成功していない。 -この事件について異常でありまた失望させられたのは 1)一年半も前の事例であり、その先生が逃亡のおそれもないのに外来診察中に、警察が報道機関を引き連れて手錠をかけて連行したこと。 2)またそのタイミングとしてはその先生の奥様の臨月で、復讐的な色合いが強いこと、 2)その先生は院長にはこの症例についての報告をし、異常死として報告しなかった責任は院長にあるにもかかわらず、院長は不問にされていること。また、院長も「私はやめろといった」などと責任逃れに終始していること。 3)そしてなにより、その病院で年間200例以上のお産、70例近くの帝王切開をたった一人で行ってきて、地域に対し多大な貢献をしてきた方であるにもかかわらず、住民の中から嘆願運動が起こっていないこと、などです。  -逮捕の前に事故調査委員会のようなものが過失ありとしているんですよね。(保険会社から遺族に金がいくように、そのようにしたと推測(憶測?)されています。内容がトンデモであることも多くの医師に検証されています) -日本産婦人科学会・平成17年度第9回常務理事会議事録(平成18年3月10日)&br()佐藤章幹事の説明&br()「ご遺族が非常に怒り心頭に達しており、我々も刑事事件になるとは思わなかったので、県の病院局が中心となって早くご遺族に民事で補償したいということで先ず調査委員会を立ち上げた。その冒頭に委員長と病院局の担当者がこれは今後こういう事件が再び起きないようにすることと、非を認めて家族に対する補償の開始を早くしたいということが目的であるので、そのつもりで報告書を書いてくれとのことであった。・・・そのような経緯があり、警察は後からこの報告書を読み刑事事件にしたと解釈しているし、警察もそのように言っている」 http://www.jsog.or.jp/about_us/minutes/pdf/GIJIROKU/h17_09joumu.pdf **医者の意識の問題なのか -エリート層の使命感が希薄になっていることが根本原因ではないかと思います。&br()そのエリートの使命感と対になるのが名誉というものに対する人々の価値観です。&br()エリートは金銭面でそれほど報いられなくても、とても困難な仕事であっても、自分にしかできないことを精一杯やる。そして周りはそれに金銭面や特権で報いることはできなくても尊敬し尊重するというような考え方が薄れてしまったのが原因だと思っています。 -医師に向かって精神論を語るなど、この手の問題点の解決には百害あって一利もなしでしょう。 **逮捕時の判断の適正化の必要性 -医師の場合は起訴された時点で実質的に廃業に近いものがあります。マスコミの騒ぎ方が他の事例、例えば交通事故などとは比べものになりません。裁判の結果が無罪でも、もうその医者は終わっています。 -「必ず過失ありと認定されるものだけ捜査・起訴すべきである」という命題は、捜査機関が追求すべきものではありますが、完全には実現できないものでもあります。「必ず予後が良好になるように手術すべきである」という要求と同じで、それが望ましいけれども、現実には無理です。かといって、捜査(手術)をしないわけにもいきません。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: