◆06. 【海との別れ】
『宝島』。
ついに探し求めていたナントの財宝に辿り着いたイシュトヴァーン。
しかし気づいた時にはナント島は
多数の官船によって包囲されていた。
ラドゥの部下の海賊が裏切り、
権力者である"赤い伯爵"インチェスの
船団を呼び寄せていたのだ。
そしてナント島で、財宝の魔力に狂わされた男たちにより、
財宝を巡る凄惨な殺し合いが始まる。
誰も彼もが血塗れになって斃れてゆく中、
イシュトは人間の慾望の醜さに嫌気がさし、
混乱に乗じて、取るものも取らずにただ1人小舟で逃げ出す。
再び何もかも失った彼は、何日も漂流して
やっと陸地にたどり着くと、海賊を廃業し、
陸に上がったカッパ同然となって各地を放浪する事になる。
…というストーリーである。
『ロマサガ』でも、ホークが決闘のためマスク島に赴くと
ブッチャーの裏切りに遇い、バファル帝国の官船に
島を包囲され、一斉攻撃されるというイベントが起こる。
この血で血を洗う海戦の中で、ホークは帰るべき港も
部下の船員も船も全てを失い、アロン島に辿り着く。
その後は陸に上がったカッパ同然に各地を放浪する事になる。
このあたりの話は、1990年に発売された
グイン・サーガ33巻『モンゴールの復活』に似たような展開がある。
海賊を廃業した後、赤い街道の盗賊団の首領となったイシュトヴァーン。
彼は水上離宮に囚われたアムネリスを救出し、
彼女を旗印として兵隊を集め、クムとの戦争に勝利して
失われたモンゴール公国を復興させる。
イシュトヴァーンはモンゴールの左府将軍に取り立てられるが、
自分たちも出世できると考えていた部下の盗賊団は
森の中で野営していたところ、裏切りに遇い、
モンゴールの官軍に取り囲まれて皆殺しの憂き目に遇う。
ただ一人だけその場から逃げ延びる…という話だ。
『ベルセルク』の鷹の団壊滅の話の元ネタでもある。
ホークの話はこれで終了し、次の主人公・グレイ編に移る。
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最終更新:2020年04月19日 21:37