(BR230/05/phase:06) 騎乗士の国
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漆黒とネコミミ、2人が立ち去って……
「ふうん……あの調子だと、こっちに気付いてましたね……」
ずるり、と音を立てて、影が持ち上がる。ゆっくりとそれは形を成すと、メイド服を着た少女となった。
「まあ、元から噛ませカエルとかませヒトデでしたし、あまり気にいたしませんが……
まったく新しいベルトを持ったのがネコミミさんなんて。しかもゼクト系のベルトときましたか」
少女の後ろの影から、さらに一つの怪人の影が立ち上がり、形を成していく。
「グランザイラスさん、いかがしました?」
「今が、絶好の好機だというのに何故行かない! 今こそあいつらを八つ裂きにしてやる!」
2速歩行の、蒼い恐竜とも言うべき姿で、牙の生えた口の端から火がちろちろと漏れている。
彼こそは、この国のテロリストの首魁であり、最強の怪人と名高いグランザイラス。
厳密に言うと、テロリストは一つに纏め上げられているわけではない。各地が小さいコミュニティを作って活動してる。
だが、コミュニティ同士の上下間の力差は絶対として存在する。自分より上のコミュニティに逆らえばどうなるか?
当然、自分たちが人々にやっているように、気に食わないという理由で蹂躙されるのだ。
そういう形態で、ピラミッド上に存在するテロリスト組織で、最強最悪のコミュニティに属し、その中でまた最強の存在。
それが、グランザイラス。
過去、ギャグ将軍のいた国において、彼女よりも上の立場にあった皇帝直属の部隊で最強だった戦士である。
並みの将軍では片手でなぎ払うその強さは、テロリストとなった今ではライダー国の恐怖の代名詞だ。
「やめてください、漆黒姫は殺しちゃいけません。LS国に引き渡す契約になっているはずです!
それに貴方は知らないでしょうけど漆黒姫といたのは、アニロワ国の有名な将軍で、しかも今はベルトを持っているですよ?」
慌ててグランザイラスをなだめるメイド服の女性。グランザイラスの体にしがみ付くが、軽量な女性など軽々引きずるグランザイラス。
「知ったことか! いま追わずにいつ追うのだ!」
「ちょ、ちょっと待って!私は『鳳凰』をこんな場所で呼びだしたら色々まずいですし、今はあなたしかいないんですよー!?」
「もともと最強の俺に仲間などいらん! それに、お前らの技術はありがたいが、俺の行動を縛るならいらんわ!」
強引に彼女を引き剥がし、怒鳴りつけるグランザイラスの威圧的な態度にしょげる女性。
「うう……なんで私がこんな脳筋バカの自制役なんですかー……「転」様の側に戻りたい……」
そんな女性の小言には耳を傾けず、ズンズン進むグランザイラス。
はふう、とため息をつくと、メイド服のスカートの中をごそごそと漁り、一本の白いベルトを取り出した。
「ええと……「結」から貰った『ライダーベルトの使い方説明書~腹の底から叫んでみよう~』だとこれは……」
カチカチとベルトから取り外した子機に番号を打ち込んでいく女性。
騎乗士の国に伝わる4本の魔具がある。
前大戦、内乱からそのうち4つが起動し、現在使われているのは、誰もが知るところだろう。
1つは、伝説では7人ライダーイヌイ・タクミが一番愛用したといわれ、将軍流されが使っているファイズギア。
1つは、クサカ。タクミを名乗る邪悪が使い、勇者テンドウを灰化させたという、ドットーレこと仮面ライダー書き手の使用してるカイザギア。
1つは、一説には太陽の王子すら使用したと伝わっており、様々な人の手に渡り現在危険性もあり誰も使っていないデルタギア。
1つは、伝説のイヌイ・タクミが唯一、邪神
ドラスを押さえることに成功し、帝王のベルトと呼ばれるオーガギア。
だが、実は5本目が存在したのだ。
4本のベルト伝説の、さらに基礎となる逸話を紐解くと、5本目のベルトが存在していたと言われていた。
曰く、結局中の人の存在感が薄い。
曰く、結局噛ませ。
曰く、なんで空戦型なのに高層建築物の中に入るんだよ。
そう逸話に書かれたベルト……その名は、サイガ。
何故、彼女がこれを持っているか?
……実は、「結」が騎乗士の国を起こした時に、起動前の5本のうちの1本をそっと持ち出していたのだ。
ライダー国のでは4本のベルトしか伝わっていないのは、そのためである。
今回、騎乗士の国に侵入する「闇その1」のため、「結」はこれを渡したのだ。
「えーと……「闇その2」……じゃない、サイガ、変身!」
ベルトにナンバーを打ち込み、子機をベルトにはめ込む。すると、女性――「闇その2」の姿は黒から白へと変わる。
そこにいるのは、ブルーメタルのラインと、純白の装甲をまとう騎士だった。
おもむろに、トンファーに、エネルギーを溜める。もちろん、「結」から貰った取説をひたすらチラ見しながら。
勢いよく走り出したかのが狙うのは――
もちろん、グランザイラス。
「いい加減、頭ちょっと冷やして! くださぁぁぁああい!!」
その殺気を感じ、上段から振り上げられたトンファーを見て、上方を防御するグランザイラス。
「必殺!………
∧_∧ トンファーキ~ック!」
_( ´Д`)
/ ) ドゴォォォ _ /
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「ぐ……ふう」
そんな言葉を残してくず折れるグランザイラス。
そんなグランザイラスを見て、我に帰ったように彼を揺する「闇その1」
「す……すいませんすいませんすいません!!
『鳳凰』がダイレクトモーションシステムで、私蹴りしか使わないから、ついトンファーもっても足が出ちゃいました!!」
ちなみに、しばらくグランザイラスはおきなかったおかげで、漆黒とネコミミが無事だったのは言うまでもない。
最終更新:2009年04月24日 21:40