「……叩いてください」
はらり、と何かが脱ぎ捨てられる音。
それがスカートだと理解した時、6/は、目の前の光景が信じられなくなった。
彼女は―――ミクは、自分と同じように優勝を目指していたはずだ。
目標が同じもの同士一応は協力関係を結んでいたが、隙あらば相手の尻を叩いてやろうという、決して気の許せるものではなかったはずだ。
それなのになぜ。
なぜ彼女は、こんな、優勝を捨てるようなことを……
「あなたはあと一人、誰かの尻を叩けば優勝できますよね?だから、私を……」
「な、何を言っているんだ、ミク!それじゃあお前は……」
「時間がありません!」
ミクは強い口調で、6/の言葉を遮った。
「……早くしないと、ここに阿部さんがやって来るんですよ!?あの人の尻カウントはあなたと同じ……あと一度叩けば彼の優勝が決まってしまう。
そして彼はその性癖上、あなたの尻を叩き---そして叩くどころでは済まない行為をするでしょう。
そうなったら貴方は優勝できない!このまま、二人揃って死ぬんですか!?」
つう、と何かがミクの上着を濡らす。
何だ、と思った。
そして、6/は気付く。
涙だ。
ミクは、泣いていた。
「私は、馬鹿ですね……」
うるんだその瞳は、まるで恋する少女のように。
「……貴方とはただの共犯者のつもりだったのに、いつの間にか---」
---私は、貴方に死んでほしくないと思うようになっていました。
その言葉は、声にはならなかった。
しかし、6/には、届いていた。
6/の心に、何かが満ちる。
それは悲しみ?怒り?戸惑い?
否、……このボーカロイドに対する、深い愛情。
「……ミク……」
生き残るんだ。
自分のために、そして何よりミクのために。
「……ごめん、ありがとう……」
気付けば、6/は泣いていた。
涙で滲む視線の先には、ミクのむき出しになった尻がある。
6/はミク、と小さくつぶやきながら、そのこぶしを白い肌向かって振りおろしたーーー
七期6/「とりあえず書いてみたぞ」
カオスミク「なんですかこれええええええええええええ!いやああああああ!」
最終更新:2009年08月30日 21:53