パロロワ版『蜘蛛の糸』

ある日のこと。
極楽を治める螺旋王様は、ふとちょっとした気まぐれから極楽の蓮池から下を眺めました。
そこから見えるは地獄の底の血の池地獄。
ここまで落ちて来る罪人はさまざまな地獄を体感させられているため、泣声を出す力さえなくなっているものです。

「HARRY! HARRY! HARRY! 逃げ出さないでもっと襲い掛かって来い鬼ども!」
「ヒー! 勘弁ダマー!」
「脆弱な奴らめ! 
 鬼を名乗る以上この俺との闘争から逃れるということは許さんッッ!!!」

たぶん。
さて、血の池地獄に浮かんでいる罪人達の間にTASという者がいます。
TASと云う男は、人を殺すためにいろいろ悪事を働いた大罪人です。
それでもたった一つ、善い事として蜘蛛を殺さずに助けてやったことがある……
ということはもちろんありません。TASは全部スピンジャンプで踏み潰しています。
しかし彼のスピンジャンプが紡ぐ螺旋を思い出した螺旋王は、
極楽の蜘蛛の糸を下にある地獄の底へまっすぐにそれを下ろしました。
スピードを求めるTASのこと、一瞬と待たずにそれに気付いたのは当然です。

「ショートカットか……一本の糸さえあれば最短で地獄から脱出できるな」

言うやいなや、TASはその糸を上り始め……るのではなく、水面ジャンプで近くの針山へと飛び上がりました。
そのまま針山を蹴って糸に捕まり、糸が揺れる勢いを利用して近くの針山を蹴る……
スーパーマリオ64をプレイしたTASならカベキック程度は余裕です。しかし。

「まだ糸を上れるほど余力のある奴がいたかッ!!!」
「ふふ、実に面白い。実に愛すべき馬鹿だ」

周囲の鬼をあらかた制圧した罪人どもが、TASに目を付けました。
いきなり銃を乱射されたもののそこはTAS、カベキックの角度を変えることで回避します。
しかしこれでいくらか下ってしまった上に、罪人の一人までもが糸を上って襲い掛かって来ました。

「ならば!」

再び跳び上がるTAS。
未だ飛んでくる銃弾をスピンジャンプで踏みつけて足場とし、罪人の攻撃を回避。
そのまま戻ってきて罪人を踏みつけます。

「その程度の攻撃でこの俺を倒せると思うなッ!」

しぶとい罪人に舌打ちをしながら、TASはいったん戻って糸にしがみつきました。
しかしその瞬間、いきなり糸がぷっつりと切れてしまいます。
思わず上を見上げるTAS、そこにいたのは……

「……グリフィス!!」

糸を切ったグリフィスが、剣をかざして極楽から覗き込んでいる姿でした。
いつの間にやら鬼を懐柔してタケコプターと石ころ帽子を譲り受けたグリフィスが、
戦っている隙を突いて一足先に上りきっていたのです。
いくらTASと言えども飛びつく糸がなければどうしようもありません。再び血の池地獄に落下していきました。
さて、極楽にたどり着いたグリフィスですが、そこにはもう螺旋王の姿はありません。
なぜなら、螺旋王はグリフィスが上がってきたのを見るや、とっとと逃げ出してしまっていたからでした。
こうして、極楽はグリフィスが治めるようになったそうです。どんとはれ。

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最終更新:2009年04月19日 17:25
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