凛「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
紡がれる呪文。
満たされる魔力。
これより六度目の戦いへと挑む彼女が、その準備として行なう儀式。
思い描くは赤い外套、断ち切れぬ縁は赤い宝石。
かつて共に戦いし、赤き錬鉄の英霊と再び合間見えんが為に。
凛「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
確かな手ごたえ。
そう、彼女の持つ『丸い』赤玉につながれた縁により、
いまだ存在しえぬ未来の英霊が、彼女の元に現れる。
ツインテールに纏めた長い茶の髪。
身を包む白い外套。
その手に握られるは白と金の杖。
……どう見ても目的の人物ではありませんありがとうございました。
ニコなのは「……遂に見つけた、この泥棒猫」
凛「……な、何のこと?」
ニコなのは「とぼけなくてもいいよ、全部知ってるんだから」
凛「……本気で心当たりが無いんだけど……」
ニコなのは「そう、わたしの恋人も相棒もポジションも何もかも奪っておいてまだ解らないんだ」
凛「ちょ、人聞きの悪い事言わないでよ!」
レイハ『……取り込み中申し訳ありませんが凛、この魔力反応から推測するに彼女はマスターのようです」
凛「は? 貴女のマスターって……彼女、どう見ても小学生には見えないんだけど」
レイハ『どうやら凛の研究にあった平行世界の存在と推測されます』
ニコなのは「少し頭、冷やそうか」
遠坂邸、半壊。
うっかり何時もの宝石と間違えてレイハさんを胸に召喚に望んだ凛ということで。
おまけ:
石床に落ちたのは、波打つ頭髪を持つ男の体。
未だにヒクヒクと動いているので命に別状はないようではあるが……
???「よりによってこの最低男との縁で呼ばれるとは思っておらんかったけど、これは千載一隅のチャンスや」
???「リィンとリィン2、この夜天の主を差し置いて二人ともgetした泥棒猫にはお灸を据えんと……」
黒き翼に黄金の杖を携えた人影はそうつぶやくと、彼女を呼び出したマスターの事など知らず、外へと飛び立った。
最終更新:2009年04月19日 17:28