10 > の誕生日

「ああ、結局誰にも気付いてもらえなかった……」

いつもの帰り道を黒いオーラを出しながら歩く青年。
彼女と誕生日が近かったから、起こった偶然。
せめて、あの人達だけでも覚えていてもらいたかった。

「…………ん?」

自宅前。
隣りの家から楽しそうな談笑が聞こえる。
中では誕生会でもやっているのであろうか?

「……まあ、私には関係ないことですがね……」


―――羨ましくないと言えば嘘になる。


部屋のドアを開けて、玄関の電気を付ける。
リビングに歩を進めて行く。

「ただいま帰りま……「お誕生日おめでとう!」……え?」

テーブルにはケーキや多くの御馳走が並んでいた。
それを囲うように、胡散臭い同居人が、無愛想な師匠が、仲のいい友人が、
そして、自分の大切な相棒がいた。

「……ど、どうして?」
「俺がお前の誕生日を忘れているとでも思っていたのか?」
「まあ、彼と一芝居打っていたって話だったわけなのよね」
「はい、これは私達からのプレゼント」
「……あ、ありがとうございます、妹紅さん」
「なんだ、前から欲しがっていたゾフィー直筆のサイン色紙だぞ、嬉しくはないのか?」
「……いえ、嬉しいですよ、フォルカさん!」
「さあ、御馳走もあることだし、今日は無礼講よ!」
「「「オー!」」」

その後はどんちゃん騒ぎ。
本当に楽しい時間でした。ですが……
皆さんに一つだけ言いたい事が有るんですよ……


『………私の誕生日は……明日なんですよ――』


「10/、誕生日おめでとう!!」
「……ありがとうございます」

      完

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最終更新:2010年09月06日 12:32
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