(俺が離れていた間、皆はどうしてたかな……)
などと考えながら、ライダーロワ国の存在する特撮板から、漫画ロワ国の存在するラウンジクラシック板へと駆ける男が一人。
彼はライダーロワ国のしたらば――議論を行う施設のことである――管理人にして、ライダーロワ筆頭書き手。名は仮面ライダー書き手。
仮面ライダー書き手が結構な距離――板一覧の『文化タグ』から『案内』タグまで――を走ると、やっとのことでラウンジクラシック板へと足を踏み入れることが出来た。
瞬間、彼が腰に巻いていたベルト『カイザドライバー』が霧散し、続いて全身を覆う黒いプロテクターも霧散する。
すると身長百九十センチ近く、体重九十キロ以上の筋骨隆々な体系も、少しずつ変化していく。
スレ検索を終えて漫画ロワ国に入ろうとした頃には、少し腹の出た中年男性のような体型となっていた。
中年男性のような体型に、全身にゆったりとした黒い服を纏い、刃物を仕込んだ黒い帽子を被った仮面ライダー書き手――いや、今の彼の名は、仮面ライダー書き手では無い。
漫画ロワのしたらば管理人にして、漫画ロワ最古参書き手集団『最古の四人』が一人――ドットーレ。
「暫くぶりだな、みんな。帰ってきたぜ。己(おれ)がいない間に停滞したかもしれないが――」
漫画ロワ国に入ったドットーレが、そこにいた書き手達へと言葉を投げる。
ドットーレは少し前から元々活動していたライダーロワ国平定のために、漫画ロワ国から姿を消していたのだ。
かつて漫画ロワ国は、かつてのしたらば管理人の悪政により荒れた時期があったし、過疎の危機に晒された時期もあった。
故に、ドットーレはライダーロワ国にて仮面ライダー書き手として活動している間も、漫画ロワ国が停滞してやいないか気に留めていた。
だから『俺がいない間に停滞したかもしれないが、これから頑張ろう』と、声をかけようとした。
しかしドットーレは思わず、言葉を飲み込んだ。
彼の視界に広がったのは、すっかり盛況となった漫画ロワ国の姿だった。
「へ?」
意図せずともドットーレの口から零れたのは、情けない言葉。
盛況ロワ国の仲間入りなど……あまりに予想外な事態だった。
去る前も結構賑わっていたが、ここまでではなかった。
混乱しながらも、wiki――国のこれまでの歴史を纏めた場――管理人のフランシーヌを探し出し、声をかける。
「フランシーヌ様!」
「……ん? あー、ドットーレか、久しぶりだな。
ライダーロワ国の噂は聞いているぞ、凄かったらしいじゃないか。百キロバイトオーバーだったか? まあ、私は仮面ライダー知らないけど」
「フランシーヌ様!なんと有難き御言葉! ……で久々に戻ってきたのですが、なんでまたこんなに盛況に?」
ドットーレより投げかけられた疑問に、フランシーヌは数分ほど考えるような仕草をした後。
ピキーンと閃いたような効果音とともに、目を見開く。
「エースっていたじゃん? 彼がコンスタントに投下してくれてねー。他のみんなも、彼に触発されたみたい」
その答えを聞いて、ドットーレはフランシーヌに一礼。
すぐさま、他の書き手を見て回る。
(……ッ!
『Freaks』Ⅱに『一瞬のからくりサーカス』。『涙を拭いて』に『絡み合う思惑、散る命』。『スカイハイ』に『揺らいでいく未完成の『メモリー』 』。
『激突! ラオウ対範馬勇次郎!! ……特別ゲスト坂田銀時』に『大乱戦』。『――――降臨』。『魔女狩り』。『もうメロディに身を任せてしまえ』。
そして、『薔薇獄乙女』、『戦闘潮流』、『遥かなる正義にかけて』、『地獄の季節』………………はははハは)
ドットーレは自分がいない間に漫画ロワ国に投下されたものを見つけると、どこかあらぬ方向へ焦点の合わない視線を投げる。
そしてついには、堪えきれなくなった笑い声が零れ出す。
「クはははははは……は! クはッ!! ハははははハははッ!!!」
そのまま数分ほどイカレたような笑い声を上げ続けると、急に静かになる。
そして誰にともなく口を開く。
「まさかいない間にこんなに面白い事になっていたとはなァ。面白い、心底笑えるぜッ!
いいだろうッ! ライダーロワ国平定で疲れているが、すぐに己も参戦してやろうッ! フランシーヌ様を笑わせるのは、この己だッ!!!」
そう宣言したドットーレの顔には、『いい笑顔』が浮かんでいた。
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↑ いい笑顔の図
最終更新:2009年04月19日 23:51