裏モカ陵辱

旧校舎の悪夢


単行本6巻途中から

「ん…んぅ…」
萌香が目を覚ますと、そこは旧校舎の廃墟だった。
(私はどうして…こんなところに…)
「……!」
萌香の頭の中に、先程までの記憶が瞬時に思い出される。
「よお、お目覚めか?」
前方から声がし、萌香が目を向けると、さっきまで自分と対峙していた男
御堂とその何人かの手下が自分を見下ろしていた。
「まだ死んでいないとはバンパイアのタフさには呆れたぜ。
だが、とっさに致命傷は避けたとはいえ、オレの全力の一撃を喰らったんだ。
もう殆ど体力は残っていまい」
「く…!お前!…っつあ!」
反射的に体を力を入れて動かそうとするが、その時体に激痛がはしる。
「か…かふっ!」
それと同時に襲ってきた嘔吐感を我慢できずに、吐血した。
どうやら、内臓が損傷しているらしい。
(そうだ…さっき私は、この男の攻撃を避けようとしたが
水のせいで体が上手く動かず、避けきれなかったんだ…
それでダメージを受けて、気絶してしまっていたのか…。)
「無理はしない方がいいぜ。
いくらバンパイアとはいえ、本来なら生きているのが不思議なくらいだからな」
「…ちっ…なんだこれは…放せ!」
そしてそこで萌香は初めて、自分がさっき表のモカがされていたように
後ろ手で梯子にくくりつけられていることに気づく。
「いや、単に保険だよ。用心にはこしたことないんでな。
まあ、さっきみたいにブチ破ってもいいんだぜ?そんな力が残っているもんならな」
「…!こ、の…!」
萌香が渾身の力を込めて戒めを解こうとするが、手を縛める鎖はビクともしない。
もう殆ど力が残っていないらしい。
設置されていたシャワーはもう止まっているようだったが
これではもう、勝機は殆どないといってもよかった。
「無理みたいだな」
勝ち誇ったように言う御堂に、萌香は思わず歯を食いしばった。
「私を…殺すのか?」
「それもいいと思ったんだがな。もっと楽しいことを思いついた」
「楽しいこと、だと…?」
萌香が問うと、御堂はそれには答えず、忌々しいといった目で萌香の方を睨んだ。
「お前…さっき、また俺達の事を見下しやがったよな…?はぐれ妖「ごとき」ってな」
「…フン。本当の事を言ったまでだ。
お前達が私を人質にして月音を誘い出すようなクズだから…。
…っ!?」
自分で月音の名前を出した時、萌香は気づいた。
そう言えば辺りに月音の姿が見当たらない。
萌香の背中に嫌な汗が流れ落ちた。
「おい…月音をどうした…?あいつをどこにやったんだ!?」
そこまで言った時、御堂の腕がぶれたかと思うと、萌香の右頬に鈍痛がはしった。

 ゴッ!

「あぐっ…!」
「言葉に気をつけろよ?お前は今、そのクズに命を握られているんだぜ?」
「くっ…。月音を、どうしたかと訊いてるんだ…!」
殴られたことなんかに怯んでいる場合ではなかった。
今はとにかく月音の安否が知りたくて仕方が無かった。
そんな萌香を見て、御堂が面白そうに顔を歪める。
「いや…あいつにはうちの奴が世話になったからな…
まあ、下っ端の下っ端だが。とりあえず、落とし前は付けさせて貰ったぜ」
御堂が首で近くの手下に合図をすると、少しして旧校舎の入り口から別の手下達が入ってきた。
そのうちの一人が、手に何かを引きずりながら。
「なっ…!月、音…。月音ぇえええ!」
手下に引きずられていたもの、それはぐったりとして動かなくなった月音だった。
服も泥まみれで、さっきまでの面影は無く、まるでぼろ雑巾のようになっている
月音の変わり果てた姿を見て、萌香の全身の血液が一瞬で沸騰する。
「貴様ぁ!!殺してやる!!」
萌香が、怒りで我を忘れて御堂に飛び掛ろうとする。
が、両手を拘束されているため、それは叶わなかった。
それでも、どうにかして鎖を引きちぎろうと、悲鳴をあげる体にムチを打って、何回も何回も体に力をいれる。
しかし何度やっても結果は変わらず、鎖が千切れることはなかった。
「くそ…!くっそお!!どうして…!どうしてこんなものも壊せないんだ!」
あのお人よしの月音、表のモカの想い人である月音、そして、自分にとっても特別な存在である月音。
その月音が殺されてしまったというのに、何もできない。
そんな自分に、萌香は気が狂いそうな程腹がたった。
そしてそれは、月音を殺した張本人である目の前の男にも。
「…!!」
萌香がありったけの憎悪を込めて御堂を睨む。
「おお、怖い怖い。眼力だけで殺されそうだぜ。だが落ち着けよ。こいつはまだ死んでない」
「な、何…?本当か!?」
「ああ。それなりに痛めつけたが、まだ息をするのはやめちゃいない」
月音が生きている。
そんな、ついさっきまで当たり前だった事実に、自分でも滑稽と思うほど萌香は救われていた。
しかし、そんな喜びも束の間、次の瞬間には萌香の心に暗雲が立ち込めることになる。
「だが、これからコイツが生きるか死ぬかはお前次第、ということになるがな」
「私次第…だと?」
「さっきの話に戻すぞ?お前はまた俺達をクズ扱いしやがった。
俺達をクズ扱いした純種のお前を、この俺が殺してやるのも爽快だと思ったが…せっかく生きていたんだ。
それもそんな鎖も千切れないほど弱った状態でな…。なら別にすることがあると思ってな」
そう言うと、御堂が舐め回すように萌香の体を見た。
「…?何を、言ってるんだ?」
その視線に若干の悪寒を感じながら、御堂に問う。
すると御堂は呆れたようにして言った。
「鈍い奴だな。お前はこれから俺に犯されるんだよ」
「…な…!」
萌香は、一瞬耳を疑った。
女が戦いに敗れた末路としてこういう事が起こりえるというのは知っていたが
まさか自分にもそのような時が来るとは思わなかったからである。
しかし萌香は、そんな結末を享受するつもりなど、さらさらなかった。



「ふざけるな!誰がお前のような奴に体を許すか!」
「許さなくてもいいぜ。俺が決めたことだから、お前の意思なんか関係ない」
「フン…みくびるなよ?
例え力がなくなったって、お前のような奴に辱めを受けるくらいなら、私は死を選ぶ。
自害してでも、お前の好きになど…」
「いいのか?月音が死ぬことになるぞ?」
「…!な…なん、だと…?」
(月音が死ぬ…?何を、言ってるんだコイツは…?)
月音の名前を出されて、萌香の表情に影が差す。
「その為にこいつを生かしておいたんだ。お前なら必ずそういうと思ってな」
「お、お前の目的は私だろう!さっさと月音は解放しろ!」
「わかってないみたいだな。俺達には月音を生かしておく理由がないんだぜ?
力のないお前がこいつを守るには、黙って俺の言う通りにするしかないんだよ」
「嘗めるな…!どうして私が…」
「もっとも、こいつのことがどうなってもいいというんなら好きにすればいい。
後からこいつもあの世に送ってやる」
「…ッ!」
萌香がぎゅっと口をつぐむ。
そして、自分なりに考えを巡らせた。


もし私がここで自害したなら、月音を殺すだと…?
ハッタリだ…。
私が死んだ後にコイツ等が月音を殺したところでなんのメリットも無いはずだ。
コイツはこう言って、私をいいように扱おうとしているだけだ。
…だが確かに、さっきコイツが言ったように、このはぐれ妖達が月音を生かしておく理由は何もない。
むしろ私を弄べなかった憂さ晴らしを月音でするかもしれない。
この連中なら、それくらい平気でやる…。

…駄目だ、やはり。
月音は何があっても、無事人間界に帰さなければいけない…

萌香には、初めから選択肢など無かった。

「…私がお前の言う通りにしたら、月音の事は助けるんだな?」
「ああ、そうしてやる。俺もそこまで鬼じゃないからな」
「わかった…。私はお前の言う通りにする。だから月音は殺すな…」
「くく、よっぽどこの使い魔の事が大事みたいだな。いいだろう。お前ら、月音から離れろ」
御堂が満足そうに笑い、手下に命令する。
すると、月音の周りにいた連中が一斉にそこから離れた。
「そしてお前、この女の鎖を解いてやれ」
「い、いいんですか?御堂さん」
「ああ、この女に力が殆ど残っちゃいないのはさっき証明されたからな。
元がいくら強くても、今はどう転んでも俺には勝てない」
そして手下の一人が萌香の手の鎖を外す。
「…く…」
今の自分では、その辺のはぐれ妖に勝てるかどうかすら怪しい。
萌香は御堂の言葉通りの現状に歯噛みしながら、その男の前に立った。



「…それで、どうすればいいんだ…?」
御堂の前に立った萌香が問うと、御堂がズボンから自分の一物を取り出した。
「そうだな、まずはこれを舐めてもらおうか」
「……!!」
萌香が思わず息を飲む。
まさか萌香は、自分が生まれて初めて見る勃起した男性器というものが、目の前のような男のものだとは思いもしなかった。
そう驚くと同時に、自分がどうしてこのような男のモノを舐めなければならないのかと思うと、悔しくて涙が出そうになる。
そもそもこの男の言う通りにしたところで助かる保障はどこにもないのだ。
それならいっそのこと、イチかバチか目の前の男を倒そうとした方がいいんじゃないか、と思う。
勝率は絶望的だが、今はもうシャワーも止まっているしさっきよりは戦える。
上手くいけば月音も助け出せる…。
考えれば考えるほど、萌香にはそれが魅力的な考えに思えてくる。
だが、そこまで考えて、萌香ははっと我に帰り自分の考えを打ち消した。
(何を考えてるんだ私は…わざわざ月音を危険にさらす気か…!)
少し離れたところでぼろぼろになっている月音に目を向ける。
(…すまないな…ただの人間であるお前をこんなことに巻き込んでしまって…)
心の中が、月音に対して申し訳ない気持ちで一杯になる。
自分が関わったせいで月音を不幸にしてしまった事が、何度後悔してもしきれなかった。
しかし、過ぎてしまったことをいつまでも嘆いていても仕方が無かった。
(今、私が月音の為にできること…それはなんだ?)
自問し、さっき自分が誓ったことを思い出す。

そうだ…私はついさっき、月音をここから無事人間界に帰すと誓ったじゃないか。
少なくともこの連中は、自分が言う通りにしている間は月音には手を出さないらしい。
今は、それだけでもいい。
きっといつかチャンスがまわってくるはずだ。
たとえ助かる可能性が0に近くても、0でないのなら…
月音が助かる可能性が少しでも上がるなら、私はなんだってしよう。

 大丈夫だ月音…お前は私が守ってやる…

萌香は、覚悟を決めた。


「これを…舐めればいいんだな?」
「ああ。それで俺をイカせて貰おうか」
「…」
萌香が跪き、勃起した御堂のそれに手を添えた。
顔を近づけた瞬間、ムっと濃い雄の臭いがして思わずえずきそうになったが我慢し、それを咥え込んむ。
「ん…」
そして萌香なりに目の前の男を悦ばそうと思い、舌を滑らせた。
「んっ…んっ…」
「噛んだりしたら、その時点で月音を殺すからな」
「んは…。わかっている!」
一度、咥えていた口を離し、頭上から聞こえてきた忠告に語気を荒くして答えると
今度は舌先でペニスの先端をチロチロと舐めてみる。

ちゅ…ぴちゃ…ちゅぱ……

「おい…バンパイアが御堂さんのモノをしゃぶってるぜ。
あんなに御堂さんの事を見下してたのに、ざまあないな」
「…くっ…!」
時折周りから聞こえてくる嘲笑にも耐えながら、萌香は懸命に御堂のペニスを舐め続けた。
だがしばらく経ったところで、おかしな事に気づく。
いつまでたっても、御堂が果てる様子が無い。
(男というものは、ここに刺激を与えていたら、そのうち精液を出して終わるものではなかったのか…?)
萌香が自らの拙い性知識と現実との違いに戸惑っていると、御堂がわざとらしくあくびをして言った。
「おい…そんな眠くなるような舌使いじゃ、いつまで経ってもイケないぞ?」
「…なっ…!」
お前のやり方が下手だ、と言われて、思わず萌香の顔が赤くなる。
「し、仕方ないだろう!!やり方がよく分からないんだ!」
「こんなこともろくにできないとは、バンパイアも意外と使えないな」
「なんだと!?だいたい貴さ…っんう!?んぐううぅ!」
不当な侮辱を受けて激昂した萌香の頭をいきなり掴むと、御堂はそのまま萌香の小さな口に自らのペニスを挿入した。
ペニスの先端が喉のほうまで到達して、萌香が一瞬吐きそうになる。
「おお、こりゃいい。生暖かくて最高だぜ」
だが御堂がそんな萌香の事情など気にするはずもなく、萌香の頭を掴んだままそれを激しく前後させる。
「んぐぅ!!んんん!ぐぅ…!」
頭を動かされるたびに、喉の奥にペニスの先端があたる。
吐き気に加えて、息もまともにできず、思わず目に涙が浮かんでくる。
好き勝手やっている御堂とは違い、やられている萌香にとってはまさに地獄の苦しみだった。
「ぐぅうう!うむうぅう!…うぐ…!」
どれくらい経っただろうか。
軽い酸欠と吐き気で、萌香の意識が朦朧としてきた頃、萌香が咥えさせられているペニスが一段と固くなった。
「そろそろイキそうだ。しっかり受け止めろよ!」
そう言うと、御堂が萌香の頭をガシっと掴んで押さえ込んだ。
「んむう!!んぐ…!うぐううううぅ!!!」
ビュク!ビュク!ビュク!
頭を押さえ込まれると同時に、萌香の口内に大量の精液が発射される。
何回かペニスを振動させ終わると、御堂はやっと萌香の頭を解放した。
「!!うぅ…!!ゲホッ!!ケホッ!ケホ!うえぇ!」
「あ~あ、もったいねえな。せっかく口の中に出してやったのに」
涙目で酸素を取り込みながら、口に出された精液を吐き出している萌香に、御堂がまるで他人事のように言う。
それを聞いた萌香は、一瞬にして頭に血が上った。
「…っこの、クズが!!よくもこの私にこんな…ぁああ!!」

グイッ

御堂が、喋っている途中の萌香の髪を掴んで、力任せに引っ張り上げた。
「何回も言われないとわからないみたいだな?お前は今、そのクズ以下の存在だってな」
「こ、の…離せ!!」
髪を引っ張られながらもなお、萌香は射抜くように御堂を睨む。
すると御堂が、やれやれといった様子で言った。
「反省の色が無いな。ここでお前を痛めつけるのは簡単だが、それよりも…」
御堂が倒れている月音がいる方を向く。正確には月音の近くにいる手下の方を。
そして、ごく普通の口調でその手下に命令する。
「おい、そいつ殺せ」
その言葉を聞いて、萌香は血の気がひくのを感じた。
「…!?待て!!貴様、一体何を!?」
「何って…お前が俺の機嫌を損ねたから、月音が死ぬことになったんだ。
かわいそうだな、あいつ」
少しも感情のこもってない声で御堂が答える。
その声を聞いた萌香はぞっとする。
目の前の男は、本当に月音を殺す事なんかなんとも思ってないのだ。
そうわかった時、萌香は自分のとった行動を心底後悔した。
「や、やめろ!!…わかった…謝る!お前を不快にさせた事は謝る!だから、あいつには手を出すな!」
「謝るにしては、随分と偉そうだな?言葉使いがなっちゃいないようだが…もっと誠意を見せてもらおうか?」
「…っ!」
(この下衆が…!調子に乗りやがって…!)
萌香がギリっと歯を食いしばり、無意識のうちに目元を吊り上げる。
すると、その目が気に入らなかったのか、御堂がいらいらした口調で言う。
「なんだ、その目は?よっぽど月音を殺したいらしいな」
「!?ま、待て!」
(駄目だ…これくらいで腹を立てていてどうする…。月音の為だろう…?)
萌香はそう自分に言い聞かせると、気を落ち着かせ、やがて呟くようにして言った。
「…わ…わかり、ました…謝ります…。だから…月音には、手を出さないで、下さい…」
御堂はそんな萌香の様子を見て、満足そうに嗤った。
「…クク、やればできるじゃないか。おい、やっぱり月音は殺すな」
「…っ…」
萌香は、改めて、自分と月音の運命が目の前の男に握られているということを認識させられ
その理不尽さに、泣きたいような叫びたいような、なんともいえない気持ちになった。
しかし、萌香が気分を沈めている暇もなく、次の命令が下される。
「そうだな…次は、服を全部脱いでもらおうか?」
「…くっ…。…わかった…」
萌香にとって、それは屈辱的ではあったが、予測していたことだったので、ショックは少なかった。
言われたとおり、制服に手をかけ、ブレザーを脱ぎ、カッターシャツのボタンを外していく。
一つ服を脱ぎ捨てる度に、周りから品のない野次があがったが、萌香は聞こえないフリをして
今、最後の衣服であるショーツを脱ぎ去った。
「…これで…いいのか?」
「ほう…綺麗な体をしているじゃないか」
御堂が一糸纏わない萌香の体をまじまじと観察する。
本来、人前で肌を見せる事にはあまり抵抗のない萌香だったが、多数の男達に晒しものとして自分の体を凝視され
流石に不快感を感じずにはおれず、頬が紅潮してしまう。
萌香がしばらくその羞恥に耐えていると、突然、御堂が萌香の胸に手を触れた。
「っ!」
生理的嫌悪感を覚えて、萌香が即座に手を払うと、御堂が萌香にとって呪いの言葉とも言える言葉を吐く。
「月音がどうなってもいいのか?」
「…ッ!…好きにしろ!」
萌香が手を下ろし、再び御堂の手が萌香の胸に触れる。
むにゅ、むにゅと、形のいい胸が御堂の手によって歪んでいく。
「意外に柔らかいな。もっとゴツゴツしていると思っていたが。月音の奴には触らせたのか?」
「…貴様に答える義務はない」
ふざけた口調で出された質問にそう返すと、萌香は再び口を閉じる。
さっきから萌香は、月音の名前を出されると、なぜかおかしな気持ちになった。
月音の為ならばこそ、この状況にも甘んじてる自分だが、なんだか酷く後ろめたい気分になった。
それになぜさっき自分は…月音には触らせたことない、と言えなかったのだろう?
萌香にはそれが、どうしてもわからなかった。
そんなことを考えていると、萌香が自分の体の異変に気づいた。
「…!?」
(なんだ、これは…体が熱い…)
突然、体が汗ばみ、動悸が激しくなり、息が荒くなる。
そして、さっきまでは不快感以外何も感じなかった目の前の男の愛撫が
次第に官能的なものになっていくのを感じる。
じわ…と、萌香の全身に、胸から甘い痺れが広がっていく。
萌香は唇をきゅっと結び、その快感を自らの中へ押し込めた。


「…っ…っ」
それでもなお大きくなっていく快感に、萌香が戸惑いながらも抗っていると
御堂がわざとらしく萌香を気遣うような事を言った。
「どうした?随分と苦しそうな顔をしているじゃないか?」
「…つ…!」
「そろそろ、あの薬が効いてきたか」
「な…なん…だと…?」
萌香は、目の前の男が何を言っているかわからなかった。
すると御堂が、今萌香の体に起こってる異変のタネを明かす。
「実は、お前が気を失っている間に特別な薬を体に注射させてもらった。
それは知り合いの看護師から貰った媚薬でな…体の感度を何倍にも高めるんだ」
「く…き、さま…!」
萌香は、月音を人質にとっただけでなく、自分にこのような薬まで投与した目の前の男に改めて怒りを覚え
罵声の一つでも浴びせたくなったが、今は体の快感を抑えるだけで精一杯だった。
そして、それが御堂にもわかったのか、にやっと笑みを浮かべて言った。
「クク、その様子じゃ、効果は抜群みたいだな。バンパイアと言えども、所詮はただの女ということか」
「な、何を戯けたことを!!この私がそんな薬などに…ぅうん!!」
萌香が言い返そうとした時、御堂が既に固くなっていた萌香の乳首を摘み上げた。
「じゃあなんなんだ、これは?
薬のせいじゃないとしたらお前は、好きでもない男に体を嬲られて悦んでいる変態ということになるが…
それとも、こんな大勢に見られて興奮でもしているのか?」
御堂が萌香の乳首を玩具のように引っ張りながら言う。
「くぅ…!そ…そんなわけあるか!!いい加減、離せ!…んああ!!」
萌香は胸を触っている御堂の手を掴み、無理矢理離そうとするが、もう片方の乳首を指で弾かれて手の力が抜けてしまう。
さらにそれだけでは終わらず、御堂の指が萌香の乳首を弄んでいく。
「あっ…あっああ!!…ふぁあ!んんん!!」
摘まれたり、指で愛撫されたりする度に、萌香の脳に胸から強烈な快感が響く。
ただ乳首を指で転がされるだけで、自分では意識せずとも勝手に声が出てしまう。
まるで体が自分のものではないように。
萌香は、薬のせいとはいえ、目の前の男の愛撫に過剰に反応してしまう自分の体を憎らしく思った。
「っ…はあ…!はあ…!はあ…!」
「随分と気持ち良さそうだな?」
散々乳首を弄られて、息も絶え絶えといった様子の萌香を見て、御堂がからかうようにして言う。
「…っ!き…気持ち…よくなんか、ないっ!」
あまりの快感に、瞳を潤ませ、口を半開きにしていた萌香だったが
御堂の言葉によって我に帰り、怒りで快感を押さえ込んだ。
「離せと言っただろう!!」
そして、力任せに、御堂の手を払う。
御堂はそんな萌香の行動に、気分を害された様子もなく言った。
「そんななりで言っても説得力がないぜ?素直に言っちまえよ。気持ちよくて仕方ないです、ってな」
「ふざけるな!!私はそん…なあぁ!?」
くちゅ…
そんな淫乱ではない、と萌香が反論しようとしたが、御堂が萌香の秘所に指を這わせ、それを許さなかった。
「そんな…なんだ?下のほうもこんなに濡らしてるじゃねえか」
そして、御堂が指を萌香の秘所に侵入させると、粘性のある液体がそこから滴り落ちた。
それを見て、萌香がかあっと顔を赤くする。
「や、やめろ!!」
咄嗟に萌香が御堂の手を押さえ、手をどかそうとするがまるで効果は無く
御堂はそのまま、進入させた指を萌香の中で蠢かせる。
くちゅ…くちゅ…くちゅ…
「くあ…!やめ…ろぉ!!うあっ!…あっ…あぁ!!…くはあぁあああ!!!」
御堂の指が秘所を掻き回す度に、萌香の体に電撃的とも言える快感が走る。
もはやされるがままの状態になっていた萌香は、なんとか現状を脱しようとしたが、それは叶わなかった。
体に全く力が入らず、目の前の男の指先一つで自分の体をコントロールされてしまう。
萌香は、そんな自分がなんとも不甲斐なく、そして情けなくて仕方がなかった。
更に、そんな萌香に御堂が追い討ちをかける。


「まさか、高貴なバンパイアが、見られながら嬲られるのが好きな変態だったとは思わなかったぜ」
「く…ぅん!!だ、黙れ…!んああぁ!!黙れええええ!!!」
本来この快感は萌香自身のせいではないのだが、冷静さを失った萌香の心をえぐるには
御堂の言葉は充分すぎた。
(この私が、このような奴に嬲られるのが好き、だと…?そんな筈はない!
ましてや…私がこんな姿を下衆な連中に、見られるのが…好きなわけ…
好きな、わけ…)
だが、皮肉にも萌香がそう思えば思うほど、体の性感はどんどん高まっていった。
加えて、御堂の指の動きがさっきにまして激しくなる。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ…
「あ…ああっ…!あああぁ!!」
秘所から分泌される蜜が明らかに多くなり、萌香は自分の中で徐々に何かが大きくなっていくのを感じた。
するとその時、御堂が不意に、充血しきっていた萌香のクリトリスをきゅっとつまみ上げた。
「ひっ…!!」
その瞬間、萌香は、瞼の裏が真っ白になり何も考えられなくなる。
そして、体がひとりでにのけぞった。
「んあああああぁああああ!!!」
ビクッビクっと体を何回か痙攣させ、萌香は立っていることも叶わず地面に倒れこんだ。
「はあ…っはあ…っはあ…」
絶頂の余韻で脱力し、肩で息をする萌香をあざけ笑う声が、周りから聞こえてくる。
萌香は、あまりの羞恥に、そのまま地面に突っ伏して泣きたい気分になったが
「派手なイキっぷりだったな」
頭上で今もなお自分の羞恥を煽ろうとしている男や、自分を見世物として楽しんでいる連中に己の弱さを見せるのは
プライドが絶対に許さなかった。
怒りと悔しさを押さえて、ぎゅっと口をつぐむ。
一方で、羞恥に身を震わせる萌香を面白そうに見下ろしていた御堂が、不自然と思えるくらいの軽い口調で口を開いた。
「じゃあ、そろそろやるか」
「…!やるって…これ以上何をする気だ!!」
この男は、自分にこんな醜態を晒させただけでなく、まだ何かするつもりなのか。
そう考えただけで、萌香は腸が煮えくり返るような感覚に襲われた。
だが御堂はそんな萌香とは対照的に、顔に冷たい笑みを浮かべ言った。
「何言ってるんだお前。本番はこれからだろう?」
「なっ…!」
萌香は絶望した。
今までも散々な辱めを受けてきたが、それはまだ序章に過ぎなかったことに。
そうだ…この男は自分を犯すといった。
今から自分はこの男に純潔を奪われるのだ。
そう思うと、月音を救う為ならなんだってしてみせると覚悟を決めたはずなのに
萌香はどうしようもなく怖くなった。
「オラ、いくぞ」
御堂が萌香に手を伸ばしてくる。
「ま、待て!!」
萌香がなんとかその手から逃れようとするが、先ほどの絶頂もあって体に上手く力が入らない。
御堂はあっさり萌香を捕まえると、四つんばいの体勢をとらせた。
「頼む!それだけは…!それ以外の事ならなんでもする!だから…」
プライドも捨て、藁にもすがる思いで萌香が懇願する。
しかし、萌香の願いが聞き入れられることは無く
それどころか御堂は、必死になっている萌香を見て口元を吊り上げた。
「まさか今頃になってビビッたのか?だがどっちにしろ、そんな要求、呑むわけ無いだろう?」
御堂がニヤニヤ笑いながら言うと、萌香の腰を掴んだ。
「…っ!…嫌だ…やめろ…」
得体のしれない恐怖に襲われ、萌香が無意識のうちに首を振る。
だが御堂は、そんな萌香の言葉を軽く聞き流すと、自分のペニスを掴み、それを萌香の秘部に近づけた。

「…やめろおおおおおおおお!!」

旧校舎に、萌香の叫び声が響いた。

-悪夢の終わり、そしてへ続く。

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最終更新:2009年03月17日 23:09
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