「蒼星石短編34」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

蒼星石短編34 - (2008/02/06 (水) 03:28:55) の編集履歴(バックアップ)


蒼「まだ寝ないの?」

蒼「あのー、僕怖い夢を見ちゃって眠れなくなっちゃって…」

蒼「保守が済んだら今夜は…一緒に…寝て貰えない?」

蒼「駄目かな?」

蒼「ホント?」

蒼「…ありがとう、優しいから大好きだよ」

蒼「あったかい…おやすみなさい」

 





Wild Bunch!の挿絵です

 




あいつは時々一人で突っ走って、空回りしてしまうことがある。その度にそのフォローに蒼星石が駆り出されているのを僕は知っている。双子と言えど、さすがに嫌気がさしてきたのだろうか。

「君は翠星石の事をどう思っているんだい?」

「翠星石をどう思っているか?」

そんな事は特に考えたことはない。会えばいつも罵倒の嵐だし、気にしている身長の事を何かしら言ってくる。でも、時々妙に優しかったりするんだよな……。うん、よくわからん奴だ。

「そうだな……。よくわからない奴だけど、悪い奴じゃないと思う。」

僕がそう言うと、蒼星石は何故か苦笑いを浮かべた。小声でやっぱりジュン君らしいやとか言ってるが、丸聞こえだぞ。何が僕らしいんだよ。

「そうなんだ。じゃあ翠星石が君をどう思ってるかは知ってる?」

「んー。僕と同じような感じなんじゃないか?」

人の考えてる事なんてさっぱりわからない。わかる奴ってのはよっぽど人生経験があるのか、奇特な人なのかのどちらかだろう。

蒼星石は苦笑いからふっと柔らかい笑顔になった。その差異にドキッとしてしまう。蒼星石はよく男っぽいとか言われるが、全然美人の部類なのだ。 

「そっか。ジュン君がそう思ってるなら、僕がどう動いても大丈夫だよね。」

何かよくわからないが、そう思うならそうするべきなのだろう。それに蒼星石は翠星石の事にかまけてばかりで、自分の事を見ていないのだ。たまには自分が思うように動くべきなんだよ。

「そうだよね。たまには……」

今まで蒼星石とは対面しながら、石段に腰掛けていた。その腰をゆっくりと持ち上げ、ついた砂を払いながら蒼星石が立ち上がる。

これで話が終わりだと思った。僕はもう少しここに残るつもりだ。意外と居心地の良いこの場所に。

「ジュン君」

気がつけば目の前には蒼星石の細いけど、程良く引き締まった足があった。そのまま上へと目線をやる。蒼星石は僕を見つめている。

「僕はね、たぶん姉さんよりも前からずっと君がね」

僕の両頬に包み込むように手が添えられる。そこから体温が流れ込んでくるようだ。蒼星石の手は、熱があるのかと思うくらいに温かい。

「君のことが好きだったんだ」

徐々に蒼星石の整った顔が大きくなっていく。いや、近づいてきているんだ。もうお互い顔に吐息がかかる距離だ。いつになったらその手で頬を引っ張って「冗談だよ」っていつもみたいにはにかんでくれるんだ? 

しかし、僕の考えとは裏腹に蒼星石は止まらない。

──後、数ミリ

反射的に目を閉じた。と、同時に唇に柔らかい感触。とても甘美なそれに心まで溶かされそうだ。僕の唇に重なるものが、蒼星石のそれと判断するのにさして時間はかからなかった。

「ん……」

どちらのものとは言えない吐息が漏れる。それとほぼ同じくして唇が離された。いきなりの事に対応できず、早く解放してほしかったはずなのに、何故か名残惜しい。

「甘いね」

そう言って自らの唇を舐める蒼星石の姿はとても艶めかしい。そんな艶美な彼女の姿を、僕はただただ座って見ていることしか出来なかった。




【夢みる】【時間】

JUN「え~夢みる時間と掛けまして」

JUN「蒼星石と解きます」

乙女S「そのこころは」

JUN「せいざが似合います」







その後JUNは如雨露で殴られ翌日意識不明で発見された。

蒼「僕って婆臭い?(グスン)」