蒼「まだ寝ないの?」
蒼「あのー、僕怖い夢を見ちゃって眠れなくなっちゃって…」
蒼「保守が済んだら今夜は…一緒に…寝て貰えない?」
蒼「駄目かな?」
蒼「ホント?」
蒼「…ありがとう、優しいから大好きだよ」
蒼「あったかい…おやすみなさい」
☆
※Wild Bunch!の挿絵です
あいつは時々一人で突っ走って、空回りしてしまうことがある。その度にそのフォローに蒼星石が駆り出されているのを僕は知っている。双子と言えど、さすがに嫌気がさしてきたのだろうか。
「君は翠星石の事をどう思っているんだい?」
「翠星石をどう思っているか?」
そんな事は特に考えたことはない。会えばいつも罵倒の嵐だし、気にしている身長の事を何かしら言ってくる。でも、時々妙に優しかったりするんだよな……。うん、よくわからん奴だ。
「そうだな……。よくわからない奴だけど、悪い奴じゃないと思う。」
僕がそう言うと、蒼星石は何故か苦笑いを浮かべた。小声でやっぱりジュン君らしいやとか言ってるが、丸聞こえだぞ。何が僕らしいんだよ。
「そうなんだ。じゃあ翠星石が君をどう思ってるかは知ってる?」
「んー。僕と同じような感じなんじゃないか?」
人の考えてる事なんてさっぱりわからない。わかる奴ってのはよっぽど人生経験があるのか、奇特な人なのかのどちらかだろう。
蒼星石は苦笑いからふっと柔らかい笑顔になった。その差異にドキッとしてしまう。蒼星石はよく男っぽいとか言われるが、全然美人の部類なのだ。
「そっか。ジュン君がそう思ってるなら、僕がどう動いても大丈夫だよね。」
何かよくわからないが、そう思うならそうするべきなのだろう。それに蒼星石は翠星石の事にかまけてばかりで、自分の事を見ていないのだ。たまには自分が思うように動くべきなんだよ。
「そうだよね。たまには……」
今まで蒼星石とは対面しながら、石段に腰掛けていた。その腰をゆっくりと持ち上げ、ついた砂を払いながら蒼星石が立ち上がる。
これで話が終わりだと思った。僕はもう少しここに残るつもりだ。意外と居心地の良いこの場所に。
「ジュン君」
気がつけば目の前には蒼星石の細いけど、程良く引き締まった足があった。そのまま上へと目線をやる。蒼星石は僕を見つめている。
「僕はね、たぶん姉さんよりも前からずっと君がね」
僕の両頬に包み込むように手が添えられる。そこから体温が流れ込んでくるようだ。蒼星石の手は、熱があるのかと思うくらいに温かい。
「君のことが好きだったんだ」
徐々に蒼星石の整った顔が大きくなっていく。いや、近づいてきているんだ。もうお互い顔に吐息がかかる距離だ。いつになったらその手で頬を引っ張って「冗談だよ」っていつもみたいにはにかんでくれるんだ?
しかし、僕の考えとは裏腹に蒼星石は止まらない。
──後、数ミリ
反射的に目を閉じた。と、同時に唇に柔らかい感触。とても甘美なそれに心まで溶かされそうだ。僕の唇に重なるものが、蒼星石のそれと判断するのにさして時間はかからなかった。
「ん……」
どちらのものとは言えない吐息が漏れる。それとほぼ同じくして唇が離された。いきなりの事に対応できず、早く解放してほしかったはずなのに、何故か名残惜しい。
「甘いね」
そう言って自らの唇を舐める蒼星石の姿はとても艶めかしい。そんな艶美な彼女の姿を、僕はただただ座って見ていることしか出来なかった。
【夢みる】【時間】
JUN「え~夢みる時間と掛けまして」
JUN「蒼星石と解きます」
乙女S「そのこころは」
JUN「せいざが似合います」
その後JUNは如雨露で殴られ翌日意識不明で発見された。
蒼「僕って婆臭い?(グスン)」
ある日 偶然
「なにか、ご用ですか?」
街角で出会った ボーイッシュな女の子
「芸能プロダクションの・・・白崎さん?」
澄んだオッドアイが 胡散臭そうに 名刺と僕の顔を行き来する
「え?ぼくがアイドルデビュー?じょ、冗談でしょう?無理です。できません!」
分かってないんだね 自分がどれほど魅力的か そんなにも可愛いのに
「そんな・・・ぼくなんか駄目ですよ」
なるほど その自信のなさ どうやら何か根の深いコンプレックスがあるらしい
「だって・・・他の子と比べても女の子っぽくないし・・・魅力ないもの」
どうだろうね 僕にチャンスをくれないだろうか
「え?」
僕に任せて 一年で君をトップアイドルに育ててあげるから
【THE IDOLM@IDEN ~Lapislazuri Stern~】 近日公開
な / ______
ぁ 訳/  ̄ヽ
ぁな / \
ぁ い レ/ ┴┴┴┴┴| \
ぁ じ / ノ ヽ | ヽ
ぁ ゃ> ―( 。)-( 。)-| |
んぁ > ⌒ ハ⌒ | /
!ぁ> __ノ_( U )ヽ .|/
ん |ヽエエエェフ | |
\ | ヽ ヽ | | |
√\ ヽ ヽエェェイ|/
\ `ー― /ヽ
「………」
何故、はっきりと断らなかったのだろう。
気が付けば、事務所らしき所の、とある部屋の椅子に座っていた。
「遅くなってしまって、すいませんね」
「はぁ……」
全ての始まりはこの人だ。
小さな眼鏡をかけていて、兎の様な紅い瞳を持つ「白崎」さん。
…なんとなく、雰囲気が兎っぽい様な。
「あの…、ほ、本当にアイドルなんて、無理ですってば……」
「大丈夫ですよ。貴方なら、すぐトップ入りは容易いでしょう。…もう少し自信を持ってみたらどうです?」
「そ、そう言われても……」
アイドル。
僕が知る限り、テレビに出たり、コンサートとかで歌ったりする芸能人。
見てる人を笑顔にしたりする、容姿端麗な人。
そんな感じだと、僕は認識している。
僕には何一つ当てはまらないし、全く真逆な存在と言っても、過言では無いだろう。
「自信とかそういう問題じゃなくて、そんないきなり、アイドルになるとか言われても…!」
「……貴方は何故、そこまで拒否するんです?」
「……え?」
「「出来る訳無い」って、決めつけてませんか?そんなの、なってみなければ誰も分かりません。勿論、貴方自身も」
普通は、出来ないと思ってしまう事。
…誰がそんな事決めた?
何故出来ないと言い切れる?
それに何故、僕は此処にいるのだろう。
本当に嫌なら、勝手に帰れば良いじゃないか。
この人に止める権利なんて無い。
……じゃあ、何故…?
「貴方は何処かで、望んでいるのではないですか?変わりたい、と…」
「…変わり、たい…」
否定できない。
確かに、今の自分は好きじゃない。
変わりたいと思った事が無いなんて言えば、嘘になる。
無自覚に求めていたのかもしれない。
自分自身を変える、大きなキッカケを。
「何もそれは、アイドルデビューだけではありませんよ。でも貴方は、気付かぬ内に何度も変わるタイミングを逃している」
「変わる…タイミング?」
「今も、変わるその時なんですよ。…さぁ、選びなさい。貴方はどちらの扉を開きますか?」
「……僕は……」
―――――
一年後
「ねーねー、今日発売した「キッカケ」のCD買ったー?」
「勿論買ったー!これ歌ってる子チョー可愛いよね!」
「可愛いよねー!たしか「Lapis」だっけ?」
「確か一年前にデビューしたんだよね。あ~、Lapisのサイン欲しいなー」
CDジャケットには、翠紅の瞳の少女が笑顔で写っていた。
ジ「う~ん、髪切りすぎたかなぁ?」
蒼「あぁ、またすぐ生えてくるからいいじゃないか。」
ジ「はは、それもそっか。」
ジョキン…
ベ「ぐ…ぐおぉ……俺のディックがぁ…」
蒼「また生えてくるからいいじゃない…か」
ジ「ねぇよ。」