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<p>【恋愛百景】真紅探偵事務所<br>
再終話~イタリアという土地で~</p>
<p> </p>
<p><br>
「マスター、こっちですか?」<br>
「あー、そっちそっち」<br>
私がイタリアに来てから早一ヵ月<br>
私は…只今カフェの開店作業を手伝っています<br>
ま、それが私がイタリアに来た一つ目の理由なんですけどね<br>
事の発端は二ヵ月前、幼馴染みであるマスターから<br>
「イタリアで店を構えたいんだ。協力してくれないか?」<br>
こう言われたからです<br>
あと一つは…<br>
おや、お客さんの様ですね<br>
「ごきげんよう。ワトソン君」<br>
「…真紅」<br>
そこには恐ろしいまでの笑顔の真紅が居ました<br>
「ワトソン君…どうして急に私のもとから去ったの?」<br>
「真紅…」<br>
因みに今は近くのカフェ<br>
周りはなんだかほんわかした雰囲気ですが、こっちはとてもピリピリしてます<br>
「真紅、まずは急に貴女のもとから去った事を謝ります」<br>
「良いわ。別に気にしていないもの」<br>
「すいません…」<br>
「で、どうして?」<br>
「それは…」<br>
私は真紅に理由を話しました<br>
ええ、そりゃあ勿論涼しい顔した真紅でしたが話が終わる頃には…<br>
「ワトソン君!」<br>
「はい? ッブッ!」<br>
気付いたら殴り飛ばされていました<br>
「ワトソン君…貴方…見損なったのだわ!」<br>
遠のいていく意識…<br>
徐々に自分がやった事に対して後悔の念が駆け巡ります<br>
「見損なったのだわ!」<br>
彼女の言葉が胸に刺さる<br>
私は…</p>
<p>中学生の時、クラスで浮いていた彼女に「一緒に事件を解決しましょうよ」<br>
そう言ったのがそもそもの始まりでした<br>
最初はまぁアレでしたが、社会人になる頃には彼女はもう立派な探偵でした<br>
そして、この探偵事務所が出来た時、私は彼女に一つの誓いをたてました<br>
「私は、真紅と共に探偵を続けていく事をここに誓います」<br>
誓い…やっぱり真紅はその事を怒っているんでしょうね<br>
本来の『仕事』を放棄して海外に行った事を</p>
<p>「真紅に…謝らなくちゃあなりませんね…」</p>
<p><br>
「真紅」<br>
「あら、まだなにか用?」<br>
「申し訳ありませんでした!」<br>
「…ッ…ワトソン君」<br>
「私は…私は……うっ…」<br>
「もう…分ったのだわ…」<br>
真紅が私を抱き締める。何故だろう…とても…安心できる<br>
やっぱり…私には…真紅しか居ないんですね<br>
「真紅…聞いて下さい」<br>
そして私は…また彼女に誓いを立てた<br>
今度は彼女を守る事を</p>
<p><br>
「今となっては良い思い出なのだわ」<br>
「そうですね」<br>
私は今、真紅と共にイタリアに住んでいる<br>
「全く、謝るにも言葉にならないんじゃどうしようも無いのだわ」<br>
「もうそれを言わないで下さいよ」<br>
因みに今はイタリアでカフェを開いています<br>
そう…私がイタリアに行った時に仕事していた…あのカフェに…<br>
あの後、マスターからこのお店を任されたんです。ご祝儀代わりだと言っていました</p>
<p><br>
「いやしかし…面白いお店ですね」<br>
「そうですか?」<br>
「『幸せ』というものが伝わって来ますよ」<br>
「そうですかね」<br>
「ふふ…では、お勘定はここに置いておきますよ」<br>
「いいえ、これはサービスですよ」<br>
「良いんですか?」<br>
「ええ」<br>
「ディモールトグラーツェ」</p>
<p> </p>
<p>「私は真紅。誇り高き真紅探偵事務所の所長であり、幸せな貴方のお姫様よ」</p>
<p>真紅探偵事務所・完</p>