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「『金糸雀堂』・その6」(2007/08/13 (月) 00:51:37) の最新版変更点
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<p> 『金糸雀堂』<br>
<br>
<br>
大きな草原の真ん中に小高い丘がありました。<br>
丘の頂上には大きな大きな木が一本、木の下には小さなお店がありました。<br>
お店の名前は『金糸雀堂』。<br>
<br>
今日はどんなお客さんがくるでしょう?<br>
<br>
<br>
その終わり<br>
<br>
今日は晴天。<br>
真っ青な空がどこまでも続き、見ていると吸い込まれそうです。<br>
準備をしていると、トントン・トントン、誰かが来たようです。<br>
<br>
ドアが開くと、薔薇の眼帯を付けた白と紫の女の子が沢山の荷物を持って立っていました。<br>
<br>
「「ただいま帰りました。」」<br>
「あっ、お帰りなさいかしら。」<br>
「…疲れた…」<br>
「すみませんが、お茶淹れて頂けます?」<br>
「はいはい、ただいまかしら~」<br>
<br>
急いでお茶の準備をすると大量のお茶請けと一緒に持ってきました。 <br>
<br>
「それで、久しぶりの旅行はどうだったかしら?」<br>
「…なかなか楽しかったよ…」<br>
「500年振りでしたからあちこち変わっていましたわ。」<br>
「それはなによりかしら。」<br>
「…それよりそっちは?…思い出せた?…自分が誰かを…」<br>
「…まだなんとなくって所かしら…」<br>
「あら、そのリボン。記憶に引っかかっているのですね?という事は後一押しといった所でしょうか。」<br>
<br>
そう言うと立ち上がり壁に掛かっている扉の絵に近づいて。<br>
<br>
「そこの棚からノブを1つ選んで持っていらっしゃいな。」<br>
「私の好きなこの色にするかしら。」<br>
「この絵にはめて回しなさい。」<br>
<br>
女の子は恐る恐る絵にノブを差し込み回しました。<br>
<br>
ガチャリ<br>
<br>
絵の扉の先は外に繋がっていました。<br>
草原を走る風が頬を撫でながら駆け抜けていきます。 <br>
<br>
目の前の光景にただ言葉もなく立ち尽くしていると。<br>
<br>
「後は進むだけですよ?ヒントは見つけられたのですから。」<br>
「…私は帰る事ができるかしら?」<br>
「…大丈夫、貴女だけじゃない…前にも来た男の子も…帰っていった…」<br>
「この日傘を持っていきなさいな。丁度良い風も吹いていますし、旅立ちにはもってこいですわ。」<br>
<br>
<br>
<br>
女の子はしっかりと日傘を持つと風に乗って舞い上がって行きました。<br>
次第に小さくなっていく姿を見送ると、金糸雀堂は閉店です。<br>
<br>
「行ってしまいましたね。」<br>
「…またしばらく…退屈だね…」<br>
<br>
つぶやくと看板を見上げました。<br>
そこには大きく『薔薇雪華堂』の文字がありました。<br>
<br>
…辺りは光で溢れていました。<br>
ここは一体何処でしょう?<br>
眩しさを堪えて見回すと、どうやら真っ白い部屋のようです。<br>
妙に重たい体をベッドから起こそうとしていると。<br>
<br>
ガチャリ<br>
<br>
扉が開きました。<br>
<br>
入って来た人達は自分を見ると驚いたようで、みんなが口をポカンと開けています。<br>
とても大切な人達にとても似ている人達。<br>
でも、朧気な記憶の中の人達と何かが違う人達。<br>
ふと壁の鏡を見ると、二十歳位で腰まで届く長い髪、広めのおでこが目立つ女の人が不思議そうにこちらを見返していました。<br>
<br>
首を傾げて鏡を見ていると、突然眼鏡の女の人が抱きついてきました。<br>
物凄い勢いの頬ずりでほっぺたが焦げて煙が。<br>
続いてリボンの髪飾りをした女の人が抱きついてきます。<br>
それを見ていた他の人達も抱きついて来て、もうしっちゃかめっちゃか。<br>
<br>
その騒ぎで、手から古ぼけたリボンが落ちた事に気がつきませんでした。<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
「…あ…リボンのお代…忘れちゃった…」<br>
「まあまあ、お出かけ出来ましたしサービスしておきましょ?。ほら、明日からはしっかり働きますわよ?」<br>
「…だるいから私パス。お姉ちゃんガンバ…」<br>
「…『働かざる者喰われるべし』ですわよ?」<br>
「働く、働きます!それに間違ってるし、洒落になってないから!」<br>
<br>
そう言うとパタンと扉が閉まりました。<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
おしまい</p>
<p> 『金糸雀堂』<br>
<br>
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大きな草原の真ん中に小高い丘がありました。<br>
丘の頂上には大きな大きな木が一本、木の下には小さなお店がありました。<br>
お店の名前は『金糸雀堂』。<br>
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今日はどんなお客さんがくるでしょう?<br>
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その終わり<br>
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今日は晴天。<br>
真っ青な空がどこまでも続き、見ていると吸い込まれそうです。<br>
準備をしていると、トントン・トントン、誰かが来たようです。<br>
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ドアが開くと、薔薇の眼帯を付けた白と紫の女の子が沢山の荷物を持って立っていました。<br>
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「「ただいま帰りました。」」<br>
「あっ、お帰りなさいかしら。」<br>
「…疲れた…」<br>
「すみませんが、お茶淹れて頂けます?」<br>
「はいはい、ただいまかしら~」<br>
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急いでお茶の準備をすると大量のお茶請けと一緒に持ってきました。 <br>
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「それで、久しぶりの旅行はどうだったかしら?」<br>
「…なかなか楽しかったよ…」<br>
「500年振りでしたからあちこち変わっていましたわ。」<br>
「それはなによりかしら。」<br>
「…それよりそっちは?…思い出せた?…自分が誰かを…」<br>
「…まだなんとなくって所かしら…」<br>
「あら、そのリボン。記憶に引っかかっているのですね?という事は後一押しといった所でしょうか。」<br>
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そう言うと立ち上がり壁に掛かっている扉の絵に近づいて。<br>
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「そこの棚からノブを1つ選んで持っていらっしゃいな。」<br>
「私の好きなこの色にするかしら。」<br>
「この絵にはめて回しなさい。」<br>
<br>
女の子は恐る恐る絵にノブを差し込み回しました。<br>
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ガチャリ<br>
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絵の扉の先は外に繋がっていました。<br>
草原を走る風が頬を撫でながら駆け抜けていきます。 <br>
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目の前の光景にただ言葉もなく立ち尽くしていると。<br>
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「後は進むだけですよ?ヒントは見つけられたのですから。」<br>
「…私は帰る事ができるかしら?」<br>
「…大丈夫、貴女だけじゃない…前にも来た男の子も…帰っていった…」<br>
「この日傘を持っていきなさいな。丁度良い風も吹いていますし、旅立ちにはもってこいですわ。」<br>
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女の子はしっかりと日傘を持つと風に乗って舞い上がって行きました。<br>
次第に小さくなっていく姿を見送ると、金糸雀堂は閉店です。<br>
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「行ってしまいましたね。」<br>
「…またしばらく…退屈だね…」<br>
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つぶやくと看板を見上げました。<br>
そこには大きく『薔薇雪華堂』の文字がありました。<br>
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…辺りは光で溢れていました。<br>
ここは一体何処でしょう?<br>
眩しさを堪えて見回すと、どうやら真っ白い部屋のようです。<br>
妙に重たい体をベッドから起こそうとしていると。<br>
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ガチャリ<br>
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扉が開きました。<br>
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入って来た人達は自分を見ると驚いたようで、みんなが口をポカンと開けています。<br>
とても大切な人達にとても似ている人達。<br>
でも、朧気な記憶の中の人達と何かが違う人達。<br>
ふと壁の鏡を見ると、二十歳位で腰まで届く長い髪、広めのおでこが目立つ女の人が不思議そうにこちらを見返していました。<br>
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首を傾げて鏡を見ていると、突然眼鏡の女の人が抱きついてきました。<br>
物凄い勢いの頬ずりでほっぺたが焦げて煙が。<br>
続いてリボンの髪飾りをした女の人が抱きついてきます。<br>
それを見ていた他の人達も抱きついて来て、もうしっちゃかめっちゃか。<br>
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その騒ぎで、手から古ぼけたリボンが落ちた事に気がつきませんでした。<br>
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「…あ…リボンのお代…忘れちゃった…」<br>
「まあまあ、お出かけ出来ましたしサービスしておきましょ?。ほら、明日からはしっかり働きますわよ?」<br>
「…だるいから私パス。お姉ちゃんガンバ…」<br>
「…『働かざる者喰われるべし』ですわよ?」<br>
「働く、働きます!それに間違ってるし、洒落になってないから!」<br>
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そう言うとパタンと扉が閉まりました。<br>
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おしまい</p>