「・・・寒い」
「冬だからな」
「・・・煮込んで?」
「なんか違わないか、それ?」
「じゃあ・・炒めて?」
「・・・無視?」
「しかとかな?」
他愛もない会話。
そこに広がる2人の世界。
別に、何もない。
「・・・オチは?」
「無い」
でも、2人の間には確かに広がる世界。
「・・・もうすぐクリスマス」
「そうだね」
「・・・プレゼント、何がいい?」
「薔薇水晶」
「・・・大胆」
「たまにはね」
「・・・じゃあ私は、リング」
「なんだか超現実的だなw」
「・・・たまにはね」
彼は、こんなわけのわからない私のことを好いてくれている。もしかしたら彼の方がわけのわからない人間なのかも。
「・・・ねぇ、好き?」
「うん、チャーハンはね」
「・・・むぅ」
「薔薇水晶は?」
「・・・シューマイ」
「いい答えだ」
「・・・でも、ジュンのほうがもっと好き」
「そらどーもw」
「・・・ジュンは?」
「チャーハンの方が好きって言ったら?」
「・・・拉致って一晩寝かさない」
「じゃあその方がいいかもw」
「・・・そんなMキャラだった?」
「いや、30分もすれば立場逆転するし」
「・・・今日はなんでそんなシュールなの?」
「わからない」
「・・・言うと思った」
「でも、好きだよ?」
「・・・何が?」
「薔薇水晶のこと」
「・・・やっぱり改めて言われると恥ずかしいかも」
「なんだよw」
今日も、バカみたいな会話が続く。
そんな日常を私とジュンはこよなく愛していた。
お互いを、愛するかのごとく。
「・・・柔らかい」
「夏の日差しとはまったくもって違うからね」
「・・・うん、でも寒いかも」
「じゃあ暖めてあげる」
「・・・ぎゅー」
「タン」
「・・・怒るよ?」
「ごめんごめんw」
「・・・今日は、どこ行く?」
「薔薇水晶が行きたい所ならどこでも」
「・・・じゃあ、クルマでどっかいこ?」
彼の愛車、ロードスターで。
でも、パワーウインドウぐらいついててもいいんじゃないの?
「・・・クラシックカー」
「うるせぇw」
「・・・でも、ちっこくてかわいいから好き」
幌を閉じれば、狭い空間が広がり、2人の距離感は最高に縮まる。
でも・・・
「・・・今日は屋根開けて?」
「お、めずらしい」
「・・・なんとなく」
幌を開けると、言葉にできないくらいの爽快感。
風と戯れる、って言ったらいいのかな?
「・・・気持ちいいね」
「うん、最高」
「・・・ジュンが運転してるからだよ?」
「そらどーも」
今日は、星のきれいな場所に連れて行ってもらった。
「・・・奇麗」
「だね」
「・・・クルマから見る星ってなんかすごく奇麗に見える」
「オープンカーの特権だからな」
「・・・ありがと」
「ん?別に何もしてないけど?」
嘘ばっかり。
今まで彼は私にどれくらいのことをしてくれたことか。
もう、言葉で表せないくらい。
「・・・ねぇジュン?」
「何?」
「・・・大好き」
「僕も」
「・・・キスしよ?」
「うん」
誰も、2人の世界には入れない。
と言うか、誰もいないんだけど。
「・・・メリークリスマス」
「メリークリスマス、はいコレ」
彼が手渡してくれた、小さな箱。
「・・・開けていい?」
「ダメって言っ・・・開けてるしw」
「・・・にひひw」
中身は、リングだった。
彼は私がいつ言ったかすら覚えてない言葉を記憶に刻み込んでくれていた。
「それ、右に付けるやつだから」
「・・・?」
「1つしか、ないからな」
「・・・うん」
「いつになるか分かんないど」
「・・・」
「これからも一緒にいてください」
「・・・喜んで」
シュールな彼氏は、3年後シュールな夫になった。
3年後のクリスマスに。
「・・・幸せ」
「僕も」
「・・・ねぇ、あなた?」
「何だよw寒気したわw」
「・・・むぅ」
「あなたって言われると照れるよ、さすがにw」
「・・・にひ♪」
私は今も、幸せ。