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Story ID:zOptExS00 氏(14th take)

「GrandFather~記憶の欠片~」
Lyrics ID:zOptExS00 氏(14th take)

ガラス越しに見える人々が笑顔で手を振っていく。真紅と水銀燈も
手を振る。某スタジオで行われているラジオの公開番組に特別ゲストと
して真紅と水銀燈が出演していた。
「今回のシングルMySelfのカップリング曲はローゼンとしては珍しい
感じの曲ですね」と質問を受ける。
「まぁ、いろいろ思い浮かぶ事があって作ったのよぉ、ねぇ真紅ぅ」
「そうね、今回のアジアツアーが終わりみんなで遊びに行った南の
島でこの曲は生まれたのだわ」テーブルに出された紅茶を口に運び
ながら真紅は静かにコメントしだした。
アジアツアーが終わった後は1週間のOFFが待っていた。当初はヨーロッパ
に行き各ミュージシャンのライブを見たり買い物をしようと計画していたが
突然翠星石が「OFFは南の島で巨大な魚を釣るですぅ」と言い出し無理やり
メンバー分のチケットを用意してしまった。なぜ釣りなのか?蒼星石いわく
「昨日TVで役者の00さんが大きな魚を釣る番組を見ていた」
とのことであった。行き先はミクロネシアのとあるリゾート地に決定した。


「さぁ、早速巨大魚をゲットしにいくですよッ」とホテルに着くなり
翠星石が「わ、私は行かないもん!」と嫌がる薔薇水晶の手を引っ張り
桟橋の方へ消えていった。雛苺たちははしゃぎながらプールで泳いでいる。
「ちょっと水銀燈、貴方は車、運転できたわよね?」とカメラを手にした
真紅が日本語で書かれた観光案内パンフレットを持った水銀燈に聞く。
「できるわよぉ、カメラなんか持って何処にいきたの真紅ぅ?」
「この島なら夏に出すシングルのジャケットの写真が取れるかもと思ってね」
「いいわよ、どうせ暇だしぃ」とホテルのロビーでレンタルカーを用意
してもらった。行き先はパンフレットに書かれた絶景ポイントを回ること
にした。海が一望できる岬、白い砂浜にたたずむヤシの木々・・。
「どうもありきたりのリゾート風景ね、もっとマイナーな場所に行くのだわ」
真紅の言葉どおり雑誌などで見慣れた風景だ。水銀燈は思いつくまま
ハンドルを切った。しばらく車を走らせる水銀燈と真紅。
「ちっ、ここが何処か解らないわ真紅」どうやら道に迷ったみたいである。
パンフレットや地図をみても解らない完全に迷ってしまった。小さな漁村に
到着する2人。「ここで道を教えてもらうのだわ」ふと見ると小高い丘に
一人の老人がベンチに座り海を見ていた。水銀燈が老人に英語で道を尋ねる。
「お嬢さん達は・・ニッポンから来たのかい?」少し聞き取りにくいが老人
は日本語を話した。

異国の地で老人の口からでる日本語に困惑した真紅と水銀燈。だが60年
前の大きな戦争のときにこの地に来た日本人に教わったことを老人はカタ
コトの日本語で話し出した。
「ワタシ、ニッポン人と共に戦った、桜田少尉・・友達」彼がまだ10代
の時に世界を巻き込んだ戦に彼も飛び込んだのであった。
「みんな良く・・戦ったよ、そしてあの砂浜でみんな死んでしまった」
と老人が指差す砂浜を見る真紅と水銀燈。そこは優しく打ち寄せる青い
波に戯れ笑顔を見せる恋人達や子供の姿が見えた。
「ワタシはニッポンの人、スキです」と言い真紅、水銀燈と笑顔で握手した。
最後に老人が道を教えてくれ2人が車の中からお礼の言葉と手を振ると
老人は杖をつきながらベンチから立ち上がり手を振り返す。杖を持つ方の
足は膝から下が無いことを始めて真紅と水銀燈は気付いた。

道はすぐに解ったものの車内の2人は複雑な気持ちでフロントガラス越し
に見える小さな入り江を見つめていた。水銀燈がその入り江で車を止める。
そこからは傾いた太陽が海に溶けるように沈むのがよく見える小さな
入り江だった。
「真紅ぅなんだか私、いまなんとなくメロディーが浮かんで来たんだけど」
「ええ、そうね水銀燈、私も胸の中から言葉が出てくるようなのだわ」

~東京 某スタジオ~


「GrandFather~記憶の欠片~」
Lyrics:真紅 Music:水銀燈 

深いブルーに囲まれた この島で さ迷う歴史の断片 
風達が吹き抜ける あの岬 様々な記憶が漂う 
錆びた高射砲の 遥かかなた 穏やかな夏が生まれていく 
沈んだ艦船(船)に 寄り添う 鮮やかな魚の群れ 
日焼けした老人が語りかける 片言の日本語で 
1945 私の知らない 祖父の夢が交差した この海 
1945 私の知らない 兵士の涙が滲んだ この空 
緩やかな 空が包むこの大地に 息吹く小さな花達 
私が生まれる前から この島 この海は時間を刻み 
落ちた飛行機に 絡む夏草 健やかな朝が訪れ 
朽ちた砲弾跡に スコールの水溜り 静かな夜が下りてくる 
夜空を滑ってく 流星達が ゆっくりと記憶を風化させてくよ 
1945 私の知らない 人々の情熱が 沈んだ この海 
1945 私の知らない 記憶の欠片が 落ちた この空

薔薇水晶の小さく悲しいピアノのイントロから始まるこの
曲がスタジオ内で流れ出すと真紅、水銀燈も静かに目を閉じてみた・・・
太陽が半分ほど入り江から見える太平洋に沈むと空は濃い青と薄紫の
コンストラストが広がって行った。沖合いの海流を渡って来た潮風が
真紅と水銀燈のほほを優しくなでていく・・・
曲が終わると2人は目を開けガラス越しに見える人波を見て手を振る。
「あれ?」真紅と水銀燈は同時に見た感じがしたが、それは幻なのか
そうであったのかは解らない、だが2人が一瞬かいま見たのは日焼けし
笑顔で手を振るあの優しい老人の姿であった・・・。


最終更新:2006年04月06日 23:15