Story ID:YtQ0Tc9jO 氏(8th take)
閑静な住宅街の一角、外見はごく普通の住居の防音地下室。
Rozen Maidenのメンバー七人が新曲の作詞・作曲にとりかかっていた。
紅「ここはシャープを入れるべきよ」
銀「たしかにシャープを入れると音の繋がりは良くなるわねぇ……
けど私はニュートラルがいいわぁ」
蒼「安定させるためにはシャープがいいと思うけどニュートラルもなかなか……」
翠「ニュートラルです! これは譲れないです!」
イントロの1小節をめぐり、真剣そのものの重い談義がなされていた。
皆一様に音楽にかける情熱は激しく、1カ所にまる1週間ずっともめることも少なくない。
薔「ミソ―レ#―レ#ファ―……
ミソ―レ―レファ―」
蒼「う~ん……難しいなぁ……」
雛「かぽたすとかぽたすと~♪」
雛苺の発言に、苛立ちをはらんだ顔をしていたメンバーが一斉に目を見開いた。
銀「……あらぁ」
真紅を横目に見る水銀燈。
紅「どうやら決まりのようね」
蒼「そうみたいだね」
雛「うゆ? どうしたの~?」
本人は気づいていない様子。
紅「雛苺、ありがとう。」
銀「なかなかやるじゃない?」
蒼「うん、いいね!」
翠「その手があったですぅ! さぁさっそく始めるですぅ!」
雛苺の発言で突破口を見いだしたメンバーは、大した意見の食い違いもなくスムーズに作曲を進め、わずか4時間で新曲を作り上げてしまった。
蒼「できた!」
翠「譜面も出来たですぅ!」
紅「やっぱり曲ができあがるというのはいいものね」
雛「ヒナのパートもちゃんと入れられたの~!」
銀「雛苺、たまにはいいところ見せるじゃなぁい」
薔「4時間06分35秒……最短、記録」
紅「あまり時間はかからなかったけど、これといった欠点も見あたらないわね」
翠「えっへん! これも翠星石の才能あってのものですぅ! 感謝しやがれですぅ!」
銀「よく言うわぁ。だいたい貴女は演りたいこと演ってるだけじゃなぁい。フフフ……」
厳しいことを言いながらも、その表情に怒りや苛立ちの色は見えなかった。
と、そこへマネージャーの金糸雀が。
金「みんな~! レコーディングスタジオ、いいのが借りられたわ。 Rozen Maidenって名前出した瞬間即決だったかしら~」
顔を見合わせる6人。
蒼「へぇ~、そこって機材もスタッフも一流の……」
紅「さ、行くわよ。私に付いてらっしゃい」
銀「あらぁ真紅ぅ? 別に貴女に付いていく訳じゃないわぁ」
翠「何をもたもたしてやがるですかぁ! とっとと行くですぅ!」
雛「うゆ~、待ってなの~」
金「ローゼンメイデンいちの頭脳派、この金糸雀あってのナイスキャストかしら!」
程なくして発売されたニューシングル『天使 -Engel-』は、
病弱な少女と天使との出逢いを独特の世界観と
悲しくも鮮やかな感銘深い歌詞と明るい曲調に乗せた曲で
2位以下を50万枚以上引き離しての堂々たる1位を獲得した。
銀「まぁ当然よねぇ」
紅「売れたと言って油断は禁物よ、水銀燈」
蒼「いよいよ再来週から全国ツアーが始まるよ。
大変だろうけど、体に気をつけて頑張っていこう!」
翠「分かってるです! 腕が鳴るです!」
紅「待ち遠しいわね。今すぐ街角ゲリラライブでもしたい気分だわ」
銀「フフッ」
翠「翠星石も演りたいですぅ!」
蒼「じゃあ……行こうか!」
銀「あら、貴女が言うなんてねぇ。」
雛「うぃ~待って~なの~!」
金「あぁ~やめて~」
薔「また……ひと騒動……」
かくして街角ゲリラライブが開催された。
全国の注目の的となって週刊誌や新聞の紙面を賑わせたことは言うまでもない。
最終更新:2006年04月06日 23:24