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Story  ID:EcvFvZQx0 氏(280th take)
Illust 845 氏
「あ…」

髪の毛が揺れた。それはゆっくりと落ちて、右肩にかかった。
けれどもそのことに気づくには、蒼星石の声を待つ必要があった。

「リボンが切れたみたいだね」
「…そのようね」
「切れるなんて相当年季はいったリボンですね。それにしても真紅も髪の毛長いですぅ」

真紅は切れたリボンを拾い上げる。薄汚れた、簡素なそれは、中央から綺麗に切れていた。
翠星石は椅子を持ってくると、真紅をそこに座らせる。

「とりあえず一本にまとめとくですよ」
「ええ、ありがとう」
「リボンか…」
「蒼星石も結いたいのですか?」
「いや、そういうわけじゃないよ。ただ、今まで結った記憶がないなぁって思ってね」
「ヒナのリボン使ってみるといいの!」
「え、ええ? でもそれ髪飾り的な…」
「それは面白そうね。してみてはどう?」
「し、真紅も何を言ってるんだい!」
「翠星石がやってあげるですぅ~」
「ああ、ちょっと待って…アッー!」

真紅のリボンをまとめあげるや否や、蒼星石の元に駆けつける翠星石。
雛苺も高速でかけよっていくと、ベースが降ろされる間もなく手は伸ばされた。

そして数分の後…。

Illust 845 氏

「まぁ」
「ですぅ」
「なのぉ!」
「あらぁ? 間違えたわぁ」
「いや、水銀燈…行かないでよ…」

遅れてスタジオにやってきて引き返した水銀燈を、慌てて呼び戻す。
その後は当然、いつものように嘲るような声で笑っていた。
蒼星石は顔でお茶を淹れられそうにしている。

「いいんじゃなぁい? 次はスカートねぇ」
「翠星石のを今度着てみるですーぅ」
「蒼星石、すっごい似合ってるのよ!」
「その線で行ってみるのも良いのではなくて?」
「そ、そうかな…? うーん、どうなんだろうね…」
「アンコールの衣装とかで、どうです? 翠星石がコーディネイトするですよぉ」
「いやぁ、いきなりそれは…。とにかく、もう外して良いかな? いや、良いよね? むしろもう外すよ!」
「これは明日が楽しみね…」

蒼星石がたどたどしい手つきでリボンを外した。雛苺はやや不服そうにそれを受け取る。
そして、練習開始のテンションが響き始めた頃、薔薇水晶がようやくあらわれた。

「遅刻よぉ~」
「プフーッ! めくそはなくそを笑うですぅ」
「殺すわよ?」
「イィッヒッヒ、怖ぁーいですぅー」
「かつらむきが止まらなくて…気がついたら実も削いでた。そうしたら、こんな時間になってた…。
 ごめんね。でも、みんなも遅かった? まだウォーミングアップの段階みたいだけど」
「リボンの話をしてたのよー」
「そうねwやっぱり、リボンを買いに行くべきよ!」
「真紅がね! 真紅がだよ!」

蒼星石は元気に叫んだ。他メンバーは笑っているが、薔薇水晶にはよく解らない。

「リボン?」
「え、ええ、新しいものも欲しくて…最近は店頭に行ってはいないから、どんなものがあるのかも解らないけれど」
「…いい店、知ってるよ」
「あら、本当? よかったら教えて頂戴」
「うん…練習終わったら行こう。結構、傍だから」
「傍に…? それは気がつかなかったのだわ…蒼星石も行くでしょう?」
「もうどうにでもして…」

                    *

練習が終わり、メンバー全員はリボンを買いに(半数は冷やかしに)向かった。
やがて薔薇水晶は、ビル二階部へ至る細いドアを開く。店の名前が目に入った。

「…? 薔薇水晶、本当にここにリボンがあるというの?」
「うん。個人のところのほうが、いいもの有ったりするよ。店員とも仲良いから、安心して」
「そ、そう…」

角度のきつい階段を登り、やや横長の戸を開く。
薔薇水晶は、店員と挨拶をすると、早速リボンのもとへと真紅を導いた。

「リボンはもともとシンセのメカニックだったから、単体となるとそんなに種類はないけどね。
手を出しやすいのは、うーん、この辺かな? 安いし」
「あ、あの、薔薇水晶、これは一体…?」
「? リボンだよ。リボンコントローラ」

「そっちじゃないかしらwwwwww」
「金糸雀、いたの!?」
「お約束かしらー!!」

(おしまい)




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最終更新:2008年01月22日 00:18
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