Story ID:d6Qr+lg10 氏(324th take)
「星明かり・・・綺麗なもんだね」
草木も眠る丑三つ時。
翠星石、蒼星石、薔薇水晶の3人は、メンバーの打ち合わせが深夜まであったがために、揃って街を歩いていた。
夜の都会に女3人と言うのも危険だが、心配した槐が車で来てくれる事になっている。
「こんな都会なのに、明るい・・・」
「うーん、別に明るくはないような・・・もっとも、間違いなくいつもより綺麗だとは思うですぅ」
普段は、ビルの光によって遮られている星の輝き。
しかし、実際は夜空の綺麗な田舎町同様に輝いているはずである。
「・・・夜空、かぁ・・・」
こんな夜中でもクラクションの鳴り響く都会だと、足元を照らすとまでは行かない。
しかし、普段より明るく輝くそれは心理的に十分な効果をもたらしていた。
「・・・綺麗だなぁ・・・。
今度、星みたいな曲作ってみたいなぁ」
「薔薇水晶だと、いつの間にか脱線してそうですぅ」
「いや、普通に作るつもりなんだけど・・・」
普段ならこの一言も当てにならないのだが、今回は大丈夫そうだ。
元から「曲に関して」だったら俄然信憑性も高くなる。
「・・・そう言えば、僕達の名前にも入ってるね」
「・・・あっ」
名前の星に意味があるのかは分からない。例えば、真紅は完全に色を体現した名前だし・・・。
そもそも、この名前どうやって決めたんだ?まぁ、それは置いておこう。
誰とも知らぬ、「お父様」とでも呼ぶような存在が決めたのかもしれないし。
「ここ数年、色にしか目が行ってなかったですぅ・・・」
意外な所にも星は輝いているんだなー・・・そんな感じの事を、夜空を見て考えこむ。
「・・・よし、この3人で一曲作ってみる、ってのはどうかな?星をテーマにして」
「あっ、面白そうですぅ!」
翠星石が、後先考えずに迷わず乗っ掛かった。
「・・・うん、今度の休みに一曲書いてみる・・・」
「お、期待しておくよ!」
そう、即興バンドのメンバーに蒼星石が威勢良く声を掛けた。
「・・・それにしても」
「・・・どうかした?」
「ロックバンドなのに、ロマンチックに輝く星ってのも変な話かもしれないですぅ」
「・・・じゃあどうする?」
「・・・キラキラ系の音色を使いまくるとか・・・」
「何だろ、それだとテクノになりがちだから・・・無理矢理にギター混ぜてもいいかな。
それだと真紅か水銀燈に手伝って貰う必要が出てくるけど・・・」
「いっそ叩き落として自分のもの!そんな激しいモチーフはどうですぅ?」
「・・・ズルして落としていただきかしらー・・・」
「そんな無茶な!いや、それよりも折角だから・・・」
その10分後。
えらくテンションの低くなった3人がそこにいた。
「・・・何か疲れた・・・」
こんな状況だ、10分でも軽い知恵熱が生じる。
迎えの車の中で3人揃って座席に完全にもたれ掛かっている。
「・・・やっぱ普通に行かない?さっきの綺麗なイメージで」
「うーん、でも何か落ち着かないですぅ・・・。
星で何かは作りたいけど・・・」
「・・・だったら2つ作らない?単純だけど・・・」
助手席の薔薇水晶から、もう普通に作らせてオーラ全開の提案が飛ぶ。
「・・・うーん、何かはっきりしないような・・・」
どうも、きっちり一つに決めたいらしい。
「・・・2つどころか、実際は100個でも足りないかもね」
不意に、蒼星石が呟いた。
「へ?」
「・・・星って何個あったっけ。
第一、僕達の時点で既に星は1つじゃないからね」
翠星石と、蒼星石。
「・・・蒼星石には敵わないですぅ」
了解のサインが出た。
(おしまい)
最終更新:2008年05月30日 00:04