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Story  ID:gvuwikpr0 氏(19th take)
夜遅く。何の予定も入っていない・・・そのはずスタジオ。
月影がの人影の上を滑る。

それはまるでライブ会場。紺色に澱む部屋の影と白を引き立たせる薄紫のスポットライト。


いや、光は何色にも染まらない。薔薇水晶が一人佇んでいるだけだった。


彼女の武器は「鍵盤」――――右手にピアノ、左手はシンセキーボード。
足元にも二組の鍵盤ペダル。そして数々のシンセ、エフェクター・・・。


一人っきりのライブが始まる――






首をゆったりと揺らす。そのオーラは右手へ――コードをそっと叩く。
それは彼女の鼓動。ゆったりと重く、ほんの少しの孤独。

エフェクターでこの陰鬱な伴奏を止めどなくループさせつつ、左足で少しずつオーケストラを加えていく。

音風景は緩やかな輪郭に異世界の扉を重ね、少しずつオールを漕ぐ。


不思議な声が中心に影を――ひゅいいいいいと掠れるような電子音。


それはオンドマルトノ。右手が虚空をすうっひょいと上っていく。左手はくいるくいると円を描く。
この一人バンドのボーカルは彼だ。そして彼女は指揮者だ。





オーケストラが落ち着いたころ。声は天へと昇って見えなくなった。

そして、右足は低音をゆったりとささえ、右手はシンセパッドをコツコツと叩き起こす。
左利きのオーケストラだ――いや、彼女の存在が一つのオーケストラだ。

オンドマルトノよりも素早く波打つ存在。ノブを倒し、ゲインをひねり―としきり無く宙を舞う。

波に音は無い。うねりだ、うねりだけが胸に沈む。


そして最高潮を向かえるころ―――









彼女はまた、一人であることに気づく。





参考:radiohead:ピラミッドソング
     ttp://www.youtube.com/watch?v=0y62MWBcE0E&search=radiohead 


最終更新:2006年04月28日 13:45