陽が落ち3時間あまりが経過し、夜空には黄色い月が丸く大きく浮かび
上がっていた。
ライトが照らすピッチの上にはこれから国を背負い戦う11人の侍の姿が
芝生に影を落としている。
「ニッポン!ニッポン!ニッポン!」
スタンドを埋め尽くした数万の青のユニフォームがカクテルライトに浮かぶ
スタジアムを興奮と熱狂の振動で揺らしている。
20××年、某国・某スタジアム。
ここで勝てば日本代表は念願のワールドカップ決勝進出となる大事な一戦を
迎えようとしていた。
精悍な顔つきをした侍達が並ぶピッチの上に金髪ツインテールの一人の
女性が現れる。
今までニッポンコールをしていたサポーターの間にどよめきが起こる。
「おぉ~、真紅だぁ~。スゲェ~!!」
「真紅だよ~、マジかよ!スゲェよ!」
薔薇乙女というロックバンドから今や世界のロックボーカリストとなった
真紅がマイクの前で立ち止まる。
スタンドにいる数万のサポーターが一斉に沈黙し、息を飲む。
真紅は目を閉じ大きく息を吸い込むと、ゆっくりと目を開けスタンドの上で
ひるがえる日の丸を見つめて口をあける。
「君が代ォ~は~、千代に八千代にィ~」
これから繰り広げられる熱戦を前に真紅の美しい国歌が夜空に吸い込まれる
ように流れる。
11人の青き侍達も真紅の唄に目を閉じ右手を胸に勝利への誓いを立てる。
真紅が歌い終わると静まりかえっていたスタンドから一斉に拍手と同時に
ニッポンコールがこだまする。
その約2時間後、テレビ中継をしていたアナウンサーが涙交じりの声で
伝える。
「やりました日本代表~!!」
笑顔で抱きあう侍達。それを祝福する歓声と、大きなニッポンコールが
スタジアムを包み込んでいた。
そのスタンドには日本代表のユニフォームを着た水銀燈、雛苺、翠星石、
蒼星石、金糸雀、薔薇水晶も笑顔で大勢のサポーターに雑じり大声で
ニッポンコールをしていた。
~Legend of Rozen Maiden 外伝・ワールドカップ編 完~
最終更新:2006年06月13日 00:27