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Story  60’好き 氏
ここはローゼンメイデンが所属する事務所。例の事件で事務所にはひっきりなしに電話がかかっていた。

「はい、はい…その件については何も…はい…、すみません、はい」
「…はぁ~疲れました。今日だけで42件ですよぉ」
「うん、Youお疲れ~。まったく…あのコたちも変な事件に巻き込まれたもんだYo!
ま、いまさらしょーがないけどね。よしっ、ちょっと出てくるから後のことYou頼んだYo」
「え…しかし社長…」
「なんだい?ひょっとしてMeに指図するのかYo」
「い、いいえ、どうぞ社長、お気をつけて」

そのとき秘書ののりは見た。槐社長のいつもは笑顔のやさしい(?)目が、
ほんの一瞬恐ろしく鋭かったことに…。

                    ***

「…うん、うん。じゃいつものトコでYou待っててYo」

妙に派手な携帯をしまった槐は、10人中10人が振り向くド派手なアロハシャツの格好のまま街中を闊歩していた。道中若者が面白がって写メに撮られても全く気にしない。

「♪~」

そして出て行くとき唯一手に持ったスーツケースを振り回すようにふらふらとやっぱり歩いていた。

と、槐は何かを思い出したかのように近くのトイレへと向かった。
そしてしばらくして、トイレから登場した人物を、誰が先ほど入った変なオッサンだと気づいただろうか。

真夏と言うのに真っ黒の革ジャンにサングラス、髪型はさすがに変わっていないがその姿は「マトリックス」の主人公のような、いつもの槐とは別の意味で危険なナリをしていた。
まるで、マフィアの巣窟へ赴くような、不気味な雰囲気をかもし出していた。

                    ***

都心からそこそこ離れたある場所。
夏の盛りと言うのに、その区域だけまるで曇りの日のような澱んだ空気が満たされていた。
それはおそらく、打ち捨てられ、廃墟と化した教会があるせいだろう。
聖なる場所だってゆえに、不気味さも倍増される。

「……」

槐はなんのためらいもなく、淡々と廃墟のなかへと入っていった。

くすんだステンドガラスと、老朽化した壁の隙間からのみ、太陽の灯が差している。
先客が、既にいた。

「Hellowローゼン。いつも早いね」
「お前が遅刻するだけだろうが、槐…まぁ、久しぶりだな」

磔にされたキリストの下に立っていたのは、槐と同じように全身黒で固めた男、
サングラスは同じだが、こちらはロングコートという徹底ぶりだった。

「それで、何の用だ?まぁ大体想像つくが…」
「そう、自称Youの娘たち、ローゼンメイデンについてだYo。ニュース見た?」
「ああ…雛苺がさらわれそうになって、真紅が怪我したっていう…S・H・I・T」

ガン、とローゼンが壁を叩いた。叩いた部分が崩れ、光が差す。

「おいおい、Youここを壊す気かYo。落ち着けYo。…とにかく、警察やかなり
デンジャラスな組織が彼女らを守ってるとはいえ、これ以上彼女らが傷つくのはMeにもYouにも困ったことだろ?」

そういって、槐とローゼンは同時に煙草を出す。
槐のジッポライターの音が響き、二つの赤い点が浮かび上がる。

煙草の煙が宙を舞って、消えた。

「…なぁ、アンタどこまで分かってんだ。俺にはどーもヤヴァイ連中が絡んでる様にしか思えねぇんだが…」
「長い説明はYou嫌いだろ?」
「かわいい娘たちが関わるなら別さ…それよりも、だ」
「なんだYo」
「おまえさん…“わかってて”ここまで来たのか?それとも“気づかずに”来たのか?」
「“わかってる”に決まってるYo」
「そうか…」

刹那。長いすの陰から彼らと同じ黒の男が飛び出す。
手には棒のようなものが握られ、それはローゼンへと向けられていた。

「死ね――ッ!!」
「そんなねむっちまうようなのろい動きでこのローゼンが倒せるかァーーーーーッ!?」

棒が振り下ろされる瞬間、ローゼンによるカウンターの右エルボーによって
黒スーツの男は5mほど吹っ飛んだ。

ローゼンは半ば意識を失った男の胸倉を掴み、強引に引き上げる。

「てめぇか俺の大事な娘をキズつけたクサレ脳みそはァ――ッ!!どこのもんだァーッ答えろおおおぉぉぉッ!!!」
「…ローゼン」
「なんだ槐。奴に同情するのかてめぇ?」
「Weは二人とも“気づかず”のほうだったみたいだYo」
「…ナニッ」

ローゼンが気がついてあたりを見渡すと、
いつも間にか黒い影が二人を取り囲んでいた。その数10は軽く超える。

「やれやれ…グレートだぜ、こいつぁ」
「関係者とはいえ、ここまで多人数とは予想外だったYo」

二人は本能的に、背中合わせになる。

緊迫した雰囲気のなか、槐は笑った。

「フフフ、この感覚、ひさしぶりだYo」
「イタリアマフィアの抗争に巻き込まれたときか?
お前がイタリア料理食いにわざわざ現地いったからだろうがッ」
「『イタリア料理を食べに行きたい』と言ったのはYouだYo。
そういえばジョルノ君元気かな?」
「さぁな、つうかお前なんで銃持ってんだよ。ここは日本だぜ」
「HAHAHA、コレはただのショックガンだYo。…三日間の記憶が飛ぶ程度のネ」
「そいつぁグレートなこった」
「Youもいるかい?」
「フン、俺は『星の白金』と呼ばれたこの拳で十分だぜ」
「おしゃべりはここまでだYo。カウント3で行くYo、3…」
「2…1…」

「「GO!!!!!!!!」」


続くわけがない


最終更新:2006年08月08日 23:38