Story ID:0FS6pW3W0 氏(76th take)
…もう戻れない あの日の君の笑顔は 今も僕の心に焼き付いてい…る…と、
……ふぅ……続きが思いつかないなぁ………
何か…いいフレーズぅ………うぅ……zzz………
ぅぅ…なんか…くすぐったいなぁ……ほっぺが……突かれてる?……んふふ……
いたっ!…今度は痛い…僕の耳を引っ張る何かが
「って、うわあ!!」
「やっと起きたですかぁ」
「なんだ…翠星石か…」
そこにいたのは翠星石だった。詩を書きながら寝かけたらしい。
「なんだじゃねえです!詩は出来上がったですかぁ?」
「ああ…ごめん、まだ途中だ」
「全く、どいつもこいつも作業が進んでねえです」
「そういう君はどうなの?」
「え?……まあ…そんなことより、翠星石も詩を書くの手伝ってやるですぅ」
そう言って僕の隣に座った翠星石。上手くスルー出来てないよ、翠星石。
きっと彼女も作業に煮詰まって僕の所に来たんだろう。
「また、こんな真面目腐った詩を書いてるですかぁ」
「いいじゃないか」
「もっと乙女ちっくなのは書けんですかぁ」
「だって…ていうか手伝いに来てくれたんじゃないの?」
「だから翠星石が乙女ちっくに書き直してやるですぅ」
「えっ?………」
「だから書き直してやるですぅ、とりあえず、その紙とペンをよこせですぅ」
「うわあっ!」
あーあ…こうなっちゃったらきっと僕の詩はほとんど原形を残さず戻ってくるであろう。
さよなら…僕の言霊……
でも、こんなことはよくあることなんだけど……たいがい翠星石と僕との合作になってる詩は、ほぼこのパターンだ。聴いてくれてる皆には言えないな……
やることなくなっちゃったし、僕もみんなの所へ行こう。
「ちょっと休んでくるね」
「行ってこいですぅ…」
夢中にかいてるなあ、今度はどんな風になるんだろう……
なんて、考えてると真紅が自慢のくんくんGuitarを鳴らしていた。
そう、僕達は今スタジオに篭ってニューアルバムの制作に取り組んでいる。
僕達専用のスタジオで様々なスタッフと共に作品を創り上げる。
しかし、先程のように作業は順調に進むものではなく、たいがい予定より遅れることがほとんど。
マネージャーの金糸雀にも毎回怒られるし……
「あら、蒼星石」
「真紅は作曲中?」
「ええ、と言っても鳴らしているだけなのだわ(笑)」
「はは(笑)僕もそんなもんさ、翠星石に紙とペンを奪われたよ」
「あら、また翠星石は自分の作業を放ったらかしにしているの?」
「みんな、似たようなもんさ(笑)」
「頑張りましょう(笑)」
僕もBassを持ってきて鳴らしてみる。
真紅とジャムってみることに。僕がベースラインを作ると、真紅が簡単なリフで絡んでくる。
そして、のってくると真紅は様々な動きを見せてくる。僕も負けじと動かす。
ただ、楽しんでるだけだけど、ここから曲が生まれることだってある。
この相手が水銀燈だと、段々早弾き対決になっちゃうんだよなぁ。
ちょっとしたフレーズでもいいから、何か降りてこないかな………
15分程、真紅との遊びを終えた僕は皆が集まっている方へ向かう。
そういえば水銀燈と雛苺は取材に行ってるんだっけ。あの二人の組み合わせなんて、なかなか珍しいなあ…
「あ……」
「…蒼星石?どうしたかしらー?」
僕の目の前には、コンビニで買ったらしいオムライスを美味しそうに頬張っている金糸雀の姿があった。
「…どうしたって……取材には行ってないの?」
「へ?」
「へ?って…水銀燈と雛苺の雑誌の取材でしょ?」
「あぁ……二人とも頑張ってるんじゃないかしら…もぐもぐ」
「いやいや、マネージャーが一緒に行かなくていいの?」
「行くなと言われたかしら…もぐ…」
「え?誰に?……」
「……もう思い出させないで欲しいかしら!」
…一体何があったんだ?……
「あ……蒼星石……詩は出来た…?」
薔薇水晶がトコトコ歩いてきた。
「あ、あぁ……まだなんだ、翠星石が僕の詩を乙女ちっくに書き直すって…仕事を奪われたよ(笑)」
「じゃあ……トランプしよう……」
「は?」
薔薇水晶の手には、しっかりトランプケースが握られていた。
「あ、カナも仲間に入れてかしらー」
オムライスを食べ終え、すっかり本調子の金糸雀。いやいや、みんな仕事しようよ……
「じゃあ……7ならべから……」
って、もう始まってるし……
「う~ん……」
結局、付き合う僕。
誰だ?ハートの5を止めてるのは……4~1が全部揃ってるのに……
しょうがない…これを……あっ!
「……ありがと…蒼星石…」
薔薇水晶の手札が残り一枚になってしまった……
「はい、かしら」
「ぱ、パス…」
「…上がり……」
そう言ってハートの5を出した薔薇水晶
やっぱりか…………
結局、僕が負けた……
フッ……所詮勝負なんてこんなものさ………
「蒼星石ーっ!」
もの思いにふけていると、紙を持って翠星石がやってきた。君が詩を書いていた事を忘れてた……なんて言えない。
「あっ!翠星石、詩は書けたの?」
「もちろん!最高傑作が出来たですぅ………ってお前ら人が仕事してる時に何遊んでやがるですかぁ!」
テーブルに散らかったトランプを見て怒鳴る翠星石。もともとは、君が僕の仕事を奪ったんだよ。
「いや…これは…」
「どんな詞が出来たか見せるかしらー」
「ふっふっふ……見てみやがれですっ!」
そう言って紙を僕らの前に突き出した。それを、3人で覗き込む。
こ…これは…………………
『愛のLOVEトマーホク~ADRENALINE Mix~』 作詞 蒼星石
あなたと二人 毎日がEVERYDAY
この道をムーンウォーク
輝きに満ちた あの頃を思い出させる
私の心は ハピネス ハピネス ハピネス
ロンリネス ロンリネス ロンリネス
僕の居場所を認めてくれた
でも My Darlin' もう ADRENALIN'
あなたの笑顔が私の胸をズッキュン!ドッキュン!
受け止めて 愛のLOVEトマホーク
あなたと二人 毎日が博多DONTAKU
あの道で三点倒立
輝きに満ちたあの頃を思い出させる
私の心は職人気質
僕の居場所を認めてくれた
でも My Darlin' もう 梅林
あなたの笑顔が私の胸をズッキュン!ドッキュン!
受け止めて 愛のLOVEトマホーク
僕っ娘は嫌い?
受け止めて 愛のLOVEトマホーク!
「却下」
「なんでですかぁ!?」
「こんなの今回のコンセプトに全く合ってないし、僕の詞じゃないじゃないか。」
「じゃないじゃないと言われても……」
「意味不明な所ばっかだよ。タイトルもトマホークじゃなくてトマーホクになってるし……」
「他にも突っ込み所満載かしらー」
「とにかく却下だよ」
そうそう、僕はバンドのリーダーだったんだ。はっきり断っていいんだよ。すっかり忘れてた…
「私が…曲…付けてあげようと…思ったのに……」
「いや、いらないって」
「ちっ…書き直し損ですぅ」
「ていうか、最初から手伝う気無かったでしょ?」
「………さ、そんなことより翠星石にもトランプやらせてくれですぅ」
だから、全然上手くスルー出来てないよ。翠星石(笑)
後日談
いつも君と二人 この道を歩いていた
舞い散る枯れ葉が 輝きに満ちたあの頃を思い出させる
独りだった僕の隣に いつの間にか君がいた
戸惑いながら… 確かめながら…
僕の居場所を認めてくれた
でも 今は……もう戻れない
あの日の君の笑顔は 今も僕の心に焼き付いている いつまでも
今は僕一人 この道を歩いている
敷きつめた枯れ葉が 早くなった足音の 切なさを気付かせる
誰よりも愛しい いつの間にか君がいない
もう一度だけ… 抱きしめさせて…
僕の声は君には届かない
そう あの頃の二人にはもう戻れない
あの日の君の笑顔は 今も僕の心に焼き付いている
いつまでも… 忘れない…
あの頃の二人には もう戻れない…
もう一度だけ…抱きしめたい…
あの時、僕の詩が消されなくて良かったよ
翠星石が別の紙にあの変な詞を書いてくれていて助かった…
薔薇水晶に曲をつけてもらって、金糸雀にもバイオリンを入れてもらって、本当にいい曲になったなぁ
でも、改めて詞を見て思った。……本当に僕は男みたいな詞を書くなぁ……気をつけよう
関係無いけど、最近、眠りが浅いみたいなんだ。今も眠い……
どこか身体の調子悪いのかなぁ
今度、検査にでも行ってみよう
最終更新:2006年09月13日 13:41