Story ID:ybJevJis0 氏(79th take)
ピピピピ……ピピピピ……かしゃんッ!
「――ん―――ふああ…」
耳障りな目覚まし時計を止めて、今もなお布団の暖気を求めている身体を無理やり起こした。
一応時計の針を確認する……短針が向いている方向には数字の7。
―――うん、予定通りだ。指示された時間まではまだ6時間もある。
「ふわ……よく寝たのだわ…」
寝ぼけ眼をこすりながら、私はモーニングティーの準備をするべくキッチンへと向かった。
【美人で賢い真紅さんも時にはミスをする】
そう、今日は生放送の音楽番組「ミュージックスタビライザー」(通称Mスタ)に出演する日なのだ。
番組自体は夜の7時から始まるのだが、実際に出演者が集まるのは当日の午後1時。
リハーサルなどの時間を十分に取るために、出演者は番組開始の6時間前にはスタジオ入りしていなければならないのだが、もちろん、この聡明な私……真紅が集合時間に遅れるようなミスを犯すはずは無い。
集合時間の更に6時間前に余裕を持って起きられるように、目覚ましをセットしておいたのである。
「完璧主義の私だもの、これくらいは当然よね。
――ああ、朝はやっぱりストレートのホットに限るわ。紅茶の香り……最高ね…」
鼻の粘膜が刺激されて頭がはっきりとしてくる。
そしてリビングの窓に腰掛けて、朝日を眺めながら淹れたての紅茶を一口。
紅茶党の私の朝はこうして始まるのだ。
窓へと近づいていく。カーテンを開ければ、眩しいばかりの朝日が私を迎えてくれるだろう。
「さあ――今日も一日、頑張りましょう」
私は窓枠に腰を下ろして、カーテンに手をかけた。
カシャーッ!
「…………朝にしては………………随分と外が…………暗いのだわ……」
仮に天気が曇りだとしてもこれは……いくらなんでも暗すぎではないか?
第一、空では無数の星が瞬いて――――あら?星?
「………………ま……まさか……いえ、そんな馬鹿な…………」
カタカタと震えが止まらない手でリモコンを取り、(左手に持っている紅茶は、手の震えで既に中身の半分以上が床にこぼれてしまった) テレビのスイッチを入れる。
ピッ
『――こんばんは!ミュージックスタビライザーの時間です!
最初に曲を披露してくれるのは実力派ロックバンド、ローゼンメイデンの皆さんで――――あれ?
メインボーカルを務めている真紅さんの姿が見えませんが……』
『…真紅は……たぶん寝坊しt「わしっ」………んー、んー……』
『馬鹿!薔薇水晶何言ってるですか…!え、ええっとですね、真紅はその…』
『あの、その…………ス、スタジオのみんなを驚かすためにこの後登場する予定なのよ…』
『そ、そうなのよぉ…あの子ったら普通に登場してもつまらないからって言って、
それでぇ………ほら、蒼星石も何か言いなさいよぉ……!』
『ええ!?ぼ、僕!?そんな、いきなり振られても……えと、あの、その、
し、真紅は…………あ、後で来るのでそれまでみんなでトークとか………』
――そういえば―――さっきからずっとドアを叩くような音が聞こえている気が――――
ドンドンッ、ドンドンッ
「シンクー、タノムカラドアヲアケテホシイカシラー。モウバングミガハジマッチャッテルカシラー」
――――ゆっくりと、優雅にすら見える動作で、
既にその中身のほとんどが床へと移動してしまっているティーカップをテーブルに置く。
私は叫んだ。
「ちょwwwwww夜7時wwwwwwwwwww人生オワタノダワ\(^o^)/」
そしてそのまま、私の意識は急速に闇の中へと失われていった――――
“Shinku's mistake”closed.
最終更新:2006年09月17日 02:44