Music ピコピコ 氏
オーストラリア、グレートバリアリーフ。
そこは世界最大規模のサンゴ群で覆われた美しい海岸線。
超人気ロックバンド、ローゼンメイデンは数少ない休暇を
メンバーと共に冬の日本を飛び出して、この楽園に来ていた。
「綺麗な海ですぅ、最高ですぅ~、なんだか大物が釣れる予感がする
ですよッ!!」
「また釣りに行くのぉ、翠星石?」
「そーですよッ、翠星石は80キロくらいのGT(ジャイアント・トレバリー)
を仕留めるのですぅ~、水銀燈も一緒に行くですかぁ?」
「まぁ、私はコアラやカンガルーなんて興味ないからぁ、一緒にいっても
イイわよぉ~。でも私はGTなんて訳の解らない魚にも興味ないわ」
「だったらサメでも釣るですかぁ?」
「私が狙うのは一つ、ウ・ナ・ギよぉ~♡」
釣りの用意をしながら翠星石と水銀燈は他のメンバーにも声を掛けるが
帰ってくる答えは決まったように 「イヤっ!!」 の一言であった。
真紅はとにかく乗り物に弱い、雛苺と蒼星石、薔薇水晶はコアラを見に行くらしい。
金糸雀にいたってはオーストラリアの自然に触れたいと言い残して
カメラなど撮影機材を車に積み込み朝早くから出かけていた。
「オーストラリアはUFOやUMAの目撃報告がたくさんあるかしらぁ~、
カナは絶対にヨーウィかタスマニアタイガーを探し出してやるかしら~!!」
決意を口に出した金糸雀はハンドルをオーストラリアの原生林が広がる山に向けて
ハンドルを切るとアクセルを踏み込んだ。
その頃、翠星石と水銀燈は小さなボートを借りると、波静かなリーフ内で釣り糸を垂れている。
飽きないほどに小魚が糸を引っ張る程度で翠星石が期待しているような大物の姿は見れない。
水銀燈は南半球の太陽に心地よさを感じ、わざわざ日本から大量に持ち込んだヤクルトを飲みながら約20mほど離れた場所に浮かぶ翠星石のボートを見ていた。
松形弘樹を心の師匠としている翠星石は頻繁に竿を振っている。
「翠星石は釣りになると頑張るわねぇ~、普段もあれくらい頑張って
くれたら助かるのにぃ~……えっ?……なぁにアレ?」
翠星石のボートの下、黒く長い影がこちら向かって泳いでくる。
「なぁに?ウナギぃ?それとも海ヘビなのぉ?」
水銀燈は手に持つヤクルトの存在すら忘れて海面下をこちらに向かってくる
影を凝視している。そしてその謎の影は水銀燈の目の前まで接近してくる。
「きゃあぁぁぁぁぁ~qあsうぇdfrftgygふじこlp;@」
(NGワードUMAだが、これは……)
水面下から姿を現した謎の生物に水銀燈は悲鳴を出して気を失い、
次に目を覚ますと心配そうに顔を覗き込んでいる翠星石の顔が見えた。
そしてホテルに帰ると水銀燈は狂ったように大ウナギを目撃したことを
言ってまわる。
「ほんとうなのよぉ~、ねぇ信じてぇ~。本当に大ウナギが私を見て
ニコッて笑ったんだからぁ~」
「翠星石はそんなの見てねぇですよぉ~」
「ほぇ~、水銀燈は何かヤバイ薬でもキメたの~」
「僕が思うにたぶん夢でも見たんじゃないかな?」
「そうね、夢なのだわ」
「きっと夢かしらぁ……と、ところで話があるから後でカナの部屋に
きてほしいかしら」
UMAだ!!きっと水銀燈はUMAを見たに違いない。
そう思った金糸雀は水銀燈から目撃した謎の生物について聞いた感想を
日記にしるした。
水銀燈が目撃したのは間違いなくシーサーペント(大海蛇)とされる
海洋未確認大型生物のたぐいだろう。
私は山でヨーウィ、タスマニアタイガーの痕跡を探しにいくのを優先させたのが
失敗であった。すなおに翠星石と水銀燈の誘いをうけて私も釣りに行くべきだった。
そうすれば私もシーサーペントの姿を目撃できたのに…。
早速あすは私もボートに乗り込み水銀燈が目撃した海域を調査したいと思う。
注・ヨーウィ(オーストラリア版ビックフッドの呼び名)
タスマニアタイガー(和名ではフクロオオカミと呼ばれるイヌ科の動物で
実際には20世紀初頭までは生息していたが今は絶滅した種とされている。
ただ現在も目撃報告がなされており一部の動物学者などはまだ生存している
可能性があると言われている。日本で言えばニホンオオカミやニホンカワウソ
みたいな感じかな?)
最終更新:2008年04月05日 13:25