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2007年5月24日(木) 15:30

「みんな聞いてー! ライヴツアーの詳しい日程が決まったかしらー!」

 っと、紹介が遅れたかしら!
 我こそは今を時めくロックバンド"RozenMaiden"のマネージャー兼ストリングスの金糸雀かしら!
 日々、愛するRozen Maidenのために奔走してるかしら!
 みっちゃんの玉子焼きは世界一かしら! けど水銀燈と真紅はちょっと苦手かしら!
 ってワケで今日もはりきってあちこち駆け回るかしら! それがカナの生き甲斐かしら!
 自分が心から惚れ込んだバンドだもの、これくらいの労力はへのカッパ! かしら!

「──というわけで話は以上かしら! 何か質問はあるかしら?」
「フッ……おばかさぁん(爪を研ぎながら)」
「なっ……何かしら!」
「やれやれですぅ(バカにして)」
「……はぁ(プラグを磨きながら)」
「こくこく……(紅茶をたしなむ)」
「もぐもぐ……(苺をつまむ)」
「……("Oh,no"のジェスチャー)」
「もう! 何なのよ!」
「よくごらんなさぁい、14日が仙台なのになんで16日が福岡なのぉ?」
「へ!? あ……うぅぅ……間違えたかしら、16日は横浜だったかしらー」
「違うですぅ! 16日は新潟ですぅ! ったく、ほんっっっっとーーーーーーにどうしようもねぇバカナリアですぅ!」
「これでは当日会場が確保できているかどうかさえ疑問だわ。金糸雀、今すぐ確認の電話を入れてらっしゃい」
「……うぅ、分かったかしらー」

「え? 16日? 伺っておりませんが……」
「あわわ……ではこれから入れていただけませんでしょうか……」
「あのねー金糸雀さん? こういうのは最低でも一ヶ月前からアポ取ってもらわないと困るんですよ。だいたい……くどくど」
「ぐすっ……ごめんなさいぃー」

「はぁ……どうしてカナはこんなダメな子なのかしら……」
 これまでは許される範囲だったが、最近のドジっ娘ぶりは見るに耐えないものがある。
「こんなことでは策士の名が廃るかしら……どうにかして解決策を導き出さなければずっとバカにされ続けるかしら!」

策士・金糸雀の挑戦が今、始まる!

「腹が減ってはグリコーゲン不足で脳が正常に働かないかしら! まずは腹ごしらえかしら!」

「みっちゃん、帰ってるかしら?」
ぴんぽーん
 しんと静まり返る部屋。どうやら部屋の主は不在のようだ。
「まだ帰ってないのかしら?」
 彼女に用意してもらった合鍵を使い、部屋の中へと歩みを進める。
 きっと帰りは遅くなるだろうから部屋で待つことにしたのだ。
 ベッドに腰掛け、中空を見つめる。
 部屋は、金糸雀に可愛い服を着せて写真を撮ったり頬擦りしたりすることが生きがいの彼女らしく、ぬいぐるみなどの小道具で溢れかえっている。
 8畳の部屋はフォトスタジオのようになっており、壁紙の一部が真っ白な化粧板に張りかえられていたり、椅子やテーブルがお洒落だったりする。
「……ふぅ……」
 黄色い鳥を模したぬいぐるみに手を伸ばし、膝に乗せていじくりながら今日の失態を思い出すと、自然とため息が漏れた。
「ねぇピチカート、どうすれば治せるのかしら?」
 ピチカートから返事はない。
「はぁ……」
 ピチカートを腕に抱いたままベッドに横たわると、自然と涙が溢れてきた。
「ぐすっ……みっちゃん……早く帰ってきて……」

ガチャ
 すっかり窓の外も暗くなった頃、不在だった部屋の主が帰ってきた。
「あれ、電気が点いてる……もしかしてカナが……!?」
 主が期待に胸を躍らせながらドアをブチ抜kいや開けると……
「くー……くー……」
 泣き疲れて静かな寝息を立てる金糸雀が。
「カナ……」
 部屋に再び訪れる静寂。
「……」
 みっちゃんは金糸雀を起こさないように静かに手早く三脚を用意して新しいフィルムをセットしシャッターをブチ抜kいや押す。
「(最高よカナ! 最優秀主演女優賞モノの寝顔よ! しかもぬいぐるみを抱きながらなんて反則だわあぁ!)」
 静かに眠り続ける金糸雀。
 静かに萌え続けるみっちゃん。
「……ぅ……ん……」
 金糸雀は目を開けた。
「……みっちゃん……?」
「カナ──────────────────────────!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ぎゅー、すりすりすりすりすりすりすり……
 みっちゃんは金糸雀に抱きつき、頬擦りを始める。
「いっひゃん、いひゃいかひやー」
「あらら……ごめんねー」
 摩擦熱で頬が熱い。火傷しそうなほどだ。
「みっちゃん、聞いてほしいことがあるかしら。実は……」
 金糸雀は今日のことをみっちゃんに伝えた。
「私もその場にいたかtt……いえ、そうね……じゃあこれからはこまめにメモを取るようにするっていうのはどうかな?」
「さすがみっちゃん! じゃあ早速メモを取るかしら! えーと、『こまめにメモを取る』っと……」
「……カナ……」
「え?」
「カナ! カナ、カナ、カナー!」
「ちょっ……ちょっとみっちゃん!?」
「カナはえらいわ! 言われたことちゃんとできるじゃない! カナはできる子よ!」
「そ……そうかしら? ……?」
「ええ! だってメモ帳に『こまめにメモを取る』って書くなんて……こんなことカナにしかできないわ!」
「そう、なのね? カナはできる子なのね、みっちゃん!」
「うん、カナはできる子よ!」
「みっちゃん、そういえばおなかすいたかしら!」
「じゃあ今日は砂糖2割増しで行くわよー!」

 ツッコミ不在の漫才は終着を迎えることなく続いた……。

            おわり


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最終更新:2006年12月06日 17:10