Story ID:BQNEWtNU0 氏(4th take)
それは、あるライヴ中での出来事。
~~~~~♪~~~~───
「痛ッ!!」
突然、リズムパートの要とも言えるベースの音が途切れた。
合わせて、曲が中断される。
しん…と静まりかえる会場。続いて僅かにどよめく観衆。
気分良く弾いていたソロを中断され、水銀燈はジト目で蒼星石を見た。
左手の人差し指から、血が滲んでいる。
「あらあらぁ…だめねぇ、本番中にトラブっちゃうなんて。ほぉんと、ダメな子」
マイクを手に、いつもの調子で言う水銀燈。
トラブルをMCの一部にしてしまうあたり、トラブル慣れしているということか。
その嘲笑うかのような物言いに、一部のファンから「銀様ァー!」「踏んでー!!」「むしろ苛めてー!」などという声が飛ぶ。
…一部間違っている気がするが、気にしてはいけない。
当の蒼星石は突然のトラブルに慌てた様子だったが、旨いこと場を繋いでくれている水銀燈を見て落ち着きを取り戻したようだ。
「ちち、血が出てるですよ!大丈夫ですか!」
これまたドラムセットのマイクの前で言うのは翠星石。
キャーという悲鳴に混じって「蒼様!」「痛そう…」「俺が傷を舐めてやるーッ!」「蒼様は私のだからダメーっ!!」などという言葉がまたも飛んだ。
中性的な外見のせいか、男性よりも女性に人気がある蒼星石。
少々困った顔をしながら客席に右手を振り──ぬるりとした感触に、左手に視線を向けた。
「ばばば薔薇水晶!?何やってるの!?」
つい挙げてしまった声はばっちりマイクに拾われていた。
薔薇水晶が蒼星石の左人差し指を咥えている。
少々大人向けな表現もできそうな舌使いで傷口を舐めているようだ。
「……消毒。傷口は、舐めれば治る」
狙っているのか天然なのか、ちゅぽんと音を立てて蒼星石の指を抜いた薔薇水晶は、水銀燈のマイクを手に取ってしれりと言う。
「俺に舐めさせろーッ!」
「ばか変態H-ッ!」
罵声が飛ぶがやはり気にした様子も無く、言った観客は観客でにやけた顔を隠すことすらしない。
言葉ではこう言っているが、このメンバーの結束力は皆知っている。
こういうのも「イベントのうち」なのだ。
彼女たちのライヴは、ちょっと倒錯的な雰囲気の中、それに負けない聴き応えのある曲によって行われるという。
最終更新:2006年04月06日 23:36