Story  ID:SHwtGD7c0 氏(122nd take)
大型スピーカーの上に登って力の限り叫ぶボーカリスト真紅
パワフルすぎる歌声がライブハウス内に木霊する
 ・・・あの高さから落ちたら間違いなく何かしら怪我をするであろう
いや、下手すりゃ死んでしまうだろう
しかし彼女はそんな事を気にする様子も無く、まるで取り付かれたように
目ん玉をひん剥いて咽喉を鳴らしている
その遥か後方下部でベースを弾く蒼星石はコーラスの雛苺と殴り合っていた
マイクスタンドを振り回す雛苺と容赦なくベースを叩きつける蒼星石
二人とも目がマジだ、全く笑っていない
その横では水銀燈が客席にダイブしている
彼女は客の髪の毛を引っ張っては顔にパンチを喰らわしている
全く、パンクと言うのはこういう事を言うのだろう
気が付いたら薔薇水晶がキックペダルもスティックも使わずにドラムを叩いている
翠星石はその直ぐ横でクラッシュシンバルだけをヒットしていた
挙句の果てに彼女はスティックを天に掲げ、ホール中を走り回っていた
私のローゼンメイデンのイメージと言うのは
なんと言うかもっと『大人しい』というモノだった
激しい曲を汗一つかかずにクールに演奏するバンドだと思っていたが

客をステージ上げて代わりにベース弾かせたり
弦の3本切れたギターで音程のずれた音色を奏でたり
ボーカルと客が『曲中に』本気プロレスをしたりする様な
バンドだとは到底思っていなかった

しかし、私はこの一夜のライブでどれ程彼女達に魅了されたか
どれ程驚かされた事か
この一夜で、たったこの一夜で私は彼女達の大ファンになった。

2007年○月×日




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年01月07日 22:41