Story  酔いman 氏
連日のハードスケジュールのため、レコーディングの合間にソファーでうたた寝する蒼星石は幼い頃の夢を見た。

「わたちは大きくなったら歌手になりゅのだわ」
「ちんくはムリよぉ、歌手はわたちがなるのよぉ」
「ちゅいぎんとうの方がムリにゃのだわ」
「絶対ちんくはムリよぉ、だってブチャイクだもん」
「わたちはブチャイクじゃないわ!!」
「ちんくも、ちゅいぎんとうもケンカは止めるでちゅ~、いまから砂場であしょぶでしゅよぉ~」
「砂場、わたち行くぅ~」
「わたちも行く~」
「ほらぁ、そーせーせきも砂場に――――――」

いつも一緒にいた真紅、水銀燈、そして双子の姉である翠星石と夕暮れまで笑いながら遊んでいる、そんな懐かしい夢から目覚めた蒼星石の耳の3人の会話が飛び込んできた。
それは、数日前にインタビューを受けた雑誌に掲載された写真を見ての会話だった。

「見て、私の写真。どう?ミスユニバースなみと思わない?」
「真紅はムリよぉ、私こそぉミスユニバースにピッタリよぉ」
「水銀燈のほうがムリだわ」
「絶対、真紅はムリよぉ、だって胸が貧弱だぁかぁらぁ~フフフ」
「私の胸は貧弱じゃないわ!!」
「真紅も水銀燈もケンカは止めるですぅ~、今から美味しいランチを食べに行くですよぉ~」
「そうねぇ、朝から何も食べてないから、私は行くわぁ~」
「しかたないわね、私も行くわ」

時は流れど、大して変わらない3人を見て蒼星石はクスッと笑った。
スタジオの出口で振り返り、蒼星石に手招きする3人。
その表情と仕草は幼い子供の頃のまま何も変わっていなかった。

「ほら、蒼星石もランチ行くわよぉ~」
「うん、僕も行くよ」

ソファから立ち上がる蒼星石は3人の後を溢れんばかりの笑顔で付いていく。
そんな蒼星石もあの頃と何も変わっていなかった。




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最終更新:2007年01月11日 22:45