Story ID:IGHjlzHh0 氏(9th take)
Illust 845 氏
それは少し昔のお話。
「ふぅ…あっついですう」
翠星石はTシャツの襟をつまんで胸元を広げて風を入れる。
「ちょっと温度下げようか。」
蒼星石はエアコンの設定を変えに壁に向かった。
ここは都内の貸しスタジオ。
彼女たちが普段放課後などに練習に使ういわばホームグラウンドだ。
ただし、今日は翠星石、蒼星石、真紅、それに金枝雀の4人のみ。
水銀燈は例によって遅刻、雛苺は学校の用事で遅れて合流することになっている。
それに「いつのまにかそこにいる」薔薇水晶は今日はまだ出現していない。
「お茶お茶…」
「ダメだよ翠星石。スタジオ内は飲食禁止だからお茶飲むなら外でね」
蒼星石は、バッグからペットボトルを取り出した翠星石を制止した。スタジオ内では飲食禁止だ。
「ちぇ…。蒼星石はお堅い野郎ですぅ」
翠星石は口を尖らせつつ外に出ようとした。
「ちょ、ちょっと翠星石!?」
そんなやり取りを聞き流しつつギターのチューニングをしていた真紅が、突然翠星石を呼び止めた。
「?。何です真紅」
「あなた…その、ブラは?」
「あ…」
翠星石の上半身は、汗が滲んでうっすらと胸のふくらみ―その先の方も―が透けかけている。
今日の彼女の上着は素肌の上に薄いグリーンのTシャツのみ。つまりいわゆるひとつのノーブラだった。
「翠星石。キミね…」
蒼星石もやや呆れたように我が妹を見る。
「え、えーとぉ、その、最近ブラしてると叩きにくいっていうか…シンバル鳴らしたりタム回すときになーんか引っかかる気がすると言うか…。」
決まり悪く弁解をする翠星石。
キラーン!
そんな音がした気がして3人が振り向くと、そこには妙に目を輝かせた金枝雀がいた。
「それはブラのサイズかカップが合ってないのかしらー!!!」
「ちょっと待つかしら!この頭脳派かつ服飾には(みっちゃんのせいで)かなりうるさいカナにまかせるのかしら!」
「わ、な、何するですか金枝雀。ちょTシャツに手入れてひぁ!?直に触ってダメですぅってむにむに!!?…ふぁ」
翠星石の背後に回ってTシャツの裾から手を入れ、入念に何やら丸くもやわらかな乙女の聖域っぽい場所をチェックする金枝雀。
「ふむふむ…翠星石は普段ブラのサイズとカップはいくつかしら?」飽くまでも真剣に質問する金枝雀。
「あ…い、今は83の…B…そんなにしたら、だ、ダメですぅ…」…声に普段にはない艶っぽさがあるのは気のせいだろうか?
呆然と見守る蒼星石と真紅。
「ダメダメかしら――――!!!」
「ひぇぇぇぇっ!!?」
ヴォーカルの真紅も呆気にとられる程の大声で叫び両手を振り上げる金枝雀。体の力が抜け思わず尻餅をつく翠星石。
「何やってるのかしらね…」
「さあね…」
「ちょぉぉぉっとまってるのかしら!」
自分のバッグを何やら凄い勢いでかき回し、金枝雀がひっ掴んできたのは――やはりブラジャー。
「そんなのも持ち歩いてるのかしらね…」「そうだね…」
もはや言葉もない蒼星石と真紅。
「いいかしら?そもそもきちんとサイズのあったブラをしてれば動きにくいなんてことはありえないのかしら」
人差し指を立て、ちっちっと左右に振り金枝雀が解説する。
「翠星石のサイズはどう見ても85か6のC。これを着けるかしら!」
ずいと翠星石の目の前にブラを突きつけ金枝雀が迫る。
「え、えーとぉ…」
ちらりと蒼星石に視線を送り(ちょっと黙って見てないで助けるですよ!助けろと思ってるのがわからないですか蒼星石!!)と念を送ってみたりもするがそんなものが分かる筈も無く、あいまいに笑うしかない蒼星石を恨みがましくみたりもする翠星石。
やがてあきらめてそのブラを手に取った。
翠星石は部屋の窓から見えない位置に移動し、それでも往生際悪くTシャツを着たままもぞもぞとブラを着けようとした。
「あ゙ー!まだるっこしいのかしら!ちょっと貸すのかしら!」
「え。あ。ちょっとそんな何脱がしてるですか!?」
「被せるんじゃなくて寄せて乗せるのかしら!」
「ちょ、あ、だからそんなにするなですぅ…」
「あら?なんかトップのサイズが変わったのかしら?」
「練習もしないで僕ら一体何してるんだろうね…」
「不本意だわ…」
「遅れてごめんなさいなのー!!」
勢いよくドアを開けて雛苺が入室。その向こうにはたまたま練習を終えて帰るところだった別のバンド(全員男)の一団。
Illust 845 氏
翠星石のあられもない姿は彼らの目に焼きついたとかつかなかったとか。いや焼きついたんだけど。
「もうお嫁にいけないですぅ―――!!!」
Illust 845 氏
「何やってるんだか…」
「不本意だわ…」
「86?ヒナも同じなのー!おそろいなのー!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
後日談。
「なあ真紅」
「何?ジュン」
「お前そんなにミルクティー好きだったっけ?」
「え?も、勿論よ。アッサムはミルクティーが基本なのだわ」
「それセイロンなんだけど…」
「…セイロンもミルクがよく合うものよ?」
「まあそうなんだけどさ。いくらなんでもカップ1杯の紅茶にコップ1杯のミルクは多くないか?」
「い。いいでしょう?ロイヤルミルクティーなんてミルクで紅茶を煮出したりするんだし!」
「どっちかっていうとそれは『ティーオレ始めました!ただし紅茶は別売りです!』みたいな?」
「うううううるさいわね!下僕が意見しないで頂戴!」
Illust 845 氏
そうしてバストのトップは変わらないのにアンダーは増えて愕然としたりしなかったり結局超愕然な真紅。
彼女たちが世界に羽ばたくほんの少し前の。
そんなお話。
「出番…なかったです…」
「ミルクなんかよりヤクルト飲みなさぁい…くすくす」
最終更新:2006年07月28日 17:58