Story ID:6jalZr2W0 氏(9th take)
○月×日
来月から始まるローゼンメイデン世界ツアーを目前にしたある日。
薔薇水晶は真紅と蒼星石を自分の部屋に呼んだ。
薔「・・・真紅、蒼星石。相談があるんだけど。」
蒼「うん?どうしたの?薔薇水晶。」
紅「あら、珍しいわね薔薇水晶。どうかしたの?」
薔「来月は銀ちゃんの誕生日。そのお祝いに私は歌を作ってあげたい。」
蒼「へぇ~そうなんだ。それはいい考えだね。」
紅「あら、素敵な話ね。私も一曲作ろうかしら・・・って冗談だからジト目で見ないで頂戴。」
薔「うん・・・。」
紅「どんな歌を作るの?貴女の水銀燈への想いから想像するに容易い事ではあるけれど。」
薔「うん。私の正直な気持ちを銀ちゃんに伝えられるような歌にしたい。」
蒼「そっか。それで僕達は何をすればいいの?」
薔「二人には私が作った曲を見て欲しい。それでおかしい部分があったら直してほしい。」
薔「それと・・・二人で一緒にギターを弾いて欲しい。」
紅「了解。曲が出来るのを今から楽しみにしているわ。」
蒼「僕も待ってるね。何かあったらちゃんと相談してね?」
薔「ありがとう・・・。」
持つべきものはいい姉妹だ。二人に深く感謝しながら薔薇水晶は曲作りに入った。
そしてライブの当日でもあり、水銀燈の誕生日。
偶然にも会場は前回のライブの最終日に感極まった水銀燈が泣き出してしまったあの会場。
何時に無く緊張した様子の薔薇水晶を心配している姉妹達。
銀「ちょっと薔薇水晶大丈夫ぅ?なんかあったのぉ?」
薔「・・・ううん、なんでもない。ちょっと緊張してるだけ・・・。」
翠「まぁなんかあったらこの翠星石がなんとかしてあげるですよ!」
雛「すいぎんとーう お誕生日おめでとうなのー!」
金「流石水銀燈かしらー!プレゼントだけでトラック一台埋まる勢いかしら!」
雛「うにゅーがあったら雛にもわけてほしいの!」
金「このプレゼント、いったいいくらになるかしらー!」
雛・金「「ヒナヒナヒナー!カナカナカナー!」」
銀「あ、ありがとうね。二人とも・・・」
いつもと変わらない二人に乾いた笑いを浮かべる水銀燈。
少し離れた所で
紅「全く本番直前だというのに騒々しいわね・・・」
蒼「まあいつもの事だよ。リラックスできるという事は大事だしね。」
薔「真紅、蒼星石・・・。今日はお願い。」
蒼「精一杯頑張るよ。それでいつ歌うんだい?」
薔「アンコールの後。最初に私がでてから銀ちゃんを呼んで歌をプレゼントする。」
蒼「その時に一緒にいけばいいんだね、了解したよ。」
紅「ええ、頑張りましょう。水銀燈の顔が見ものだわ。」
緊張していた薔薇水晶だが心配されていたミスも無く普段通りにライヴは進んだ。
そして本番後、観客が求めるアンコールの声を合図に三人は準備を始めた。
銀「さぁて、ラスト頑張りますかぁ。準備はどう?」
紅「何時でもいけるわ。」
蒼「僕も準備OKだよ。」
翠「も、もうちょっと時間かかりそうですぅー。」
雛「雛も雛もー!アンコールで着けようと思ってたリボンがないのー!」
銀「しょうがないわねぇ。それまで場を繋いでくるわぁ。」
蒼「あ、待って水銀燈。今日は僕と真紅と薔薇水晶でいくよ。」
銀「あら珍しいわねぇ。どうしたのぉ?」
紅「今日が誕生日の貴女は言うならば主役よ。主役は最後に登場するものだわ。」
蒼「うんうん。僕達でお客さんを暖めておくから水銀燈は頃合を見て出てきてね。」
銀「わかったわぁ。でも薔薇水晶・・・しゃべれるのぉ?」
薔「・・・銀ちゃんのためにも頑張る。ツッコミは任せて・・・」
銀「そ、そう。じゃあ私は社長待遇で行かせて貰うわぁ。頑張ってねぇ。」
水銀燈にバレないように隠して置いたギターをとりだしてステージに向かう3人。
薔「緊張する・・・。」
蒼「大丈夫。練習どおりやればいいんだよ。落ち着いて頑張ろう。」
紅「ええ、そうね。頑張りましょう」
ステージに立つ3人。
紅「皆、今日は来てくれて本当にありがとう。本当に感謝するわ。」
蒼「僕達がまたここに戻ってくる事ができたのは皆のおかげだよ。ありがとう。」
薔「・・・ありがとう。」
紅「さて、今日は貴方達も知っての通り水銀燈の誕生日だわ。」
蒼「うんうん。僕達も普段お世話になっているから皆でお祝いしてあげようと思うんだ。」
紅「そろそろくるはずね。水銀燈!ファンが待ってるわ。早くいらっしゃい!」
銀「皆ありがとぉ。こんな大きな会場でこんなに大勢に祝ってもらえるなんてうれしいわぁ。」
薔「・・・銀ちゃん。」
銀「なぁに?薔薇水晶?」
薔「・・・銀ちゃんの為に頑張って歌を作ったの。聞いて欲しい。」
銀「あら、珍しいわねぇ。貴女が歌を作るなんて。是非是非聞かせて欲しいわぁ。」
薔「・・・うん、わかった。真紅、蒼星石、お願い。」
紅「了解よ。」
蒼「うん、頑張ろう!」
真紅と蒼星石のギターが鳴り響く。
完全なタイミングで弾き始める二人。薔薇水晶にはそれがとても心強く感じられた。
真紅と蒼星石は私の為に頑張ってくれた。
今度は私がそれに答える番。私の思いを銀ちゃんに伝える番。
薔「・・・頑張ります。」
さあ、歌の始まりだ―。
薔「消え行く街灯り 灯される星光―」
姉妹達と出会った高校時代。私には友達もほとんどいなかった。
薔「貴女へのこの想い もう隠せない―」
ただただ単調な毎日が過ぎていくだけだったあの頃。
薔「あの春の夜、満開の桜木の下にいたって―」
そんな私に声をかけてくれた銀ちゃん。思えばそれが始まりだった―。
薔「あの夏の夜、二人静かな川辺にいた時も―」
銀ちゃんが友達になってくれて今まで灰色だった私の人生は薔薇の花が咲いたように鮮やかになっていった。
薔「あの秋の夜 光輝く白銀の月の下―」
時には相手を思う余りに心無い事を言ってしまった時もあった。
薔「あの冬の夜、冷たい風に晒されたって―」
時には大好きなのにすれ違ってしまった時もあった。
薔「姉妹という名の境界線を―」
周りからみたらおかしいと思われるだろう。
薔「眠れぬ少女はあの言葉を思い出した―。」
それでもいい。誰に何を言われても私は銀ちゃんが好きだった。
薔「何処に辿り着くかは解らないけれど―」
私に全てを与えてくれた銀ちゃん。
薔「失う事を恐れずに伝えたい―。」
私の全てを変えてくれた銀ちゃん。
薔「今貴女への想いが 愛に変わった事を―。」
今度は私の番だ・・・!
―数時間後。
あの後薔薇水晶は緊張の糸が切れたのか倒れこんでしまった。
大事をとってライブは中止。
ファンも薔薇水晶の体調を気遣ってか納得してくれたみたいだった。
薔「・・・。」
私がした事は正しかったのだろうか。
私は自分の気持ちを無理やり銀ちゃんに押し付けただけなのではないか。
そう考えると自責の念がこみ上げてくる。
トントン。
薔「・・・はい。」
銀「私よぉ。入っていい?」
薔「・・・う、うん。」
シュウマイをもった水銀燈が照れ臭そうにベットに腰掛ける。
薔「・・・銀ちゃん怒ってない?」」
銀「・・・え?別に怒ってなんかないわぁ。寧ろ嬉しかった位よぉ?」
薔「・・・嬉しかった?」
銀「当然よぉ。貴女の正直な気持ち、全部聞けたんですもの。」
銀「だから今度は私の気持ちを貴女に聞いて欲しいわぁ・・・」
薔「・・・え?」
銀「よーく聞いてね?一回しか言わないわよぉ?」
薔「・・・怖い。」
銀「ふふ、怖がらなくて平気。だって・・・」
銀「私も貴女の事が大好きだから・・・。」
ぎゅっと抱きしめられる感触と同時に頬に感じる暖かさ。
何が起きたか解らずにいる私をみて子供のように笑う銀ちゃん。
翠「あー!!!見たですよ見たですよ!」
蒼「ち、ちょっと翠星石!邪魔しちゃダメだって!」
翠「止めるなです蒼星石!この写真をフライデーに売れば・・・ヒッヒッヒ!」
蒼「自分の首も絞めてるからねそれ・・・。」
紅「相変わらず騒々しいわね・・・。」
雛・金「「ヒナヒナー!カナカナー!」」
銀「やけに外が騒がしいわねぇ・・・。」
薔「・・・銀ちゃん。」
銀「なぁにぃ?」
薔「・・・大好き。」
銀「ふふ、私もよぉ」
最終更新:2006年04月06日 23:39