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Story  ID:/snI95hAO 氏(138th take)
口にシャープペンシルを加えて
背中を椅子にもたれさせる。
目の前に広がった紙の山から目を反らすかのように
只、只、何も映らないように目を瞑った。
          【縁の下の力持ち】 
私は雪華綺晶。ローゼンメイデンのプロモーションビデオを作成している。
決して、目立つこと無い存在。
目を瞑ると、もう一人の自分に出会った。

『きらきー…?大丈夫?』

心配してくれて有り難う…ばらしー…
私の中に私がいる。いわゆる二重人格のような私達。その片割れ-…もしくは本体
ローゼンメイデンのキーボード担当。
薔薇水晶。
彼女が眼帯を逆に付けることで私達は入れ替わる。
-…もっとも、ばらしーがオフの時だけど
だから、私はよく仕事が溜まる。
昨日から徹夜なのでそろそろ仮眠を捕らないと……

『きらきー…無理しないで…』

しかしいつもとは違う状況だ。
仮眠なんて取れない。
アイデアが思い浮かばないーー…スランプだ。

『アイデアが無いのなら……私と銀ちゃんの濡れ場増やして……』

はいはい…貴女は脳内苺混乱でも見てなさい。
あれは百合だからきっと気に入る…
黙々と作業を続けても、その手は止まる一方だった。

-…何時の間にか寝ていたようだ
重い頭をあげ、少し寒さに身震いす…
-あれ?

よく見ると服がはだけている

-…ちょっと待て

隣を見ると銀髪の麗人-…ちなみに全裸
ちょっとばらしー!起きて!!

『ぅうん…やー……』

起きろ起きろ起きろ!

『むきー…』

…何で水銀燈が此処にいるの…?

『ぁあ…昼間からプロレスして…』

嘘付け貴様。
とりあえず、先ほどの銀髪の麗人ー…水銀燈に毛布を着せる。
もう…本当、脳内苺混乱でも見てなさい苺といえば雛苺さん……うにゅー…うにゅー…じゅるり

「何の想像してんのよぅ」

げし…と蹴られる。どうして私の心が解るんだ…凄い…水銀燈

「あら…いつのまにか寝てたみたぁい」

溜め息混じりに、起き上がる。

『銀ちゃんテラモエス……www』

はいはい、もういいから…。
頭の中で薔薇水晶と会話しながら、作業を続けた。
水銀燈に気を使ってー…

水銀燈は着替え終わっただろうか。
直視したら薔薇水晶に怒られてしまう。

『銀ちゃんは……私の嫁…』

浮気厳禁ですか。まぁ良いか…さて。仕事仕事

「きらきー…?お仕事してるのぉ…?」

ぎゅっと抱き締められる。

「はい……水銀燈。」

一つ紙を取られる。雑っぽいコンテ付きの、失敗作

「これじゃあ駄目なのぉ?結構良いと思うけどぉ…」

着替えた黒い服にまとわりつく埃を払いながら、水銀燈は不思議そうに言う。

「何か……しっくりこなくて…。」

俯きながら、また紙を紙飛行機にして投げ飛ばす。

「ふぅん……スランプみたいねぇ」

そっかそっかぁと水銀燈は呟く。
しばらくしたあと、水銀燈が口を開いた

「リクエストとかぁ…聞いてくれるぅ?」

恥ずかしげに、呟く水銀燈。
喰われたいか、喰われたいのか貴女は、私とばらしーとでサンドイッチにするぞ。と、色々試行錯誤すろ。

「私とぉ…ばらしーの、そのぉ…ツーショットを増やして欲しいのぉ…」
「『どんとこい!!』」

しばしの、沈黙。

「今、ばらしーの声が……」
「気のせいです。気のせい。やっときますから。」

とりあえず水銀燈を部屋から追い出し、溜め息をついた。

先ほどの水銀燈からのリクエストを紙にメモをする。
そしてまた紙飛行機を飛ばし、溜め息をついた。

「ー…こんにちは、雪華綺晶。」

聞き覚えのある声
髪の短い、しっかりした紳士のような人物。
きらめくオッドアイ。

「ー…こんにちは、蒼星石」

にこりと微笑んでみせる。

「調子悪そうだね。大丈夫?」

やはり顔に疲労が出てしまっているか…
他に人の気配がする。
甘い匂い。蒼星石が作っているココアの匂いではない。

後ろにいた物をひっつかまえる。

「……捕まえた」

ピンク色のリボンを付けた女性。

「捕まっちゃったの~。」

きゃははと無邪気に笑いながら私の顔に飛びつく。

「…息が出来ません…雛苺」

きらきー登りぃと笑いながら、登られる…痛い痛い痛い。

「あんまり雪華綺晶に迷惑かけちゃだめだよ。雛苺」

蒼星石が促して、雛苺を降ろしてくれた
私は、ずっと頭を抑えながら涙目でいた。

とりあえず雛苺が持ってきていたうにゅーを差し出す。
甘いにおいはコレかと、私は確信した。

「……2人とも、…私に用事があるの?」

私が言葉を出すと、2人は思い出したように私の使っていたパソコンに向かいだす

用件ぐらい覚えてくれ……

「見て、雪華綺晶。」

蒼星石が指差す画面には一つの掲示板のスレッド。

「これは………?」

そろそろ瞼が落ちかける目を必死に開く

『早く薔薇乙女のPV出ないだろうか…』

そんな書き込みが私の目を開かせる
その下に続くのは願望、訴え
いわゆるリクエストなる物達が続いている。

その願望が、訴えが、苛立ちが、私の何かを立ち上がらせようとする

「雪華綺晶。凄いよね…君はROZENMAIDENをここまで支えてくれた…」
「きらきー偉い偉いなのー!」

励ましてくれる、蒼星石と雛苺の声。
みんなの声。

私の何かが立ち上がった。

しばらくして、蒼星石と雛苺は雑談をして帰って行く。

「上手くいったみたいねぇ……」

銀髪の麗女が、蒼星石と雛苺を見送りながら笑った。

手が止まらない。頭の回転も止まらない。印刷機までもが延々と働き続けた。
聞こえるのは、機械音のみ


「できたー……」

女性は、崩れ落ちるように眠る。
その表情は、幸せそうに
一足遅く印刷機は働くのをやめた。
響くのは、彼女の寝息

Illust ID:fio5uAZmO 氏(143rd take)

数日後。ROZEN MAIDEN のアルバムが発売された。
ジャケットはファンの目にめったにつかない、白い女性の寝顔
裏は、彼女とROZENMAIDEN が仲良く眠る写真だった。

【縁の下の力持ち】END




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最終更新:2007年02月27日 22:11
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