Story ID:FIiPgjYX0 氏(148th take)
金糸雀が差し出してきたのは大量の便箋。十数枚はありそうだ。
それらを水銀燈はまとめて受け取った。
宛名の文字はどれもいびつで、簡単に言ってしまえば綺麗な字ではない。
恐らく一生懸命綺麗な字を書こうとして逆に力が入り過ぎてしまったのだろう。
まあ、一目で男が書いたであろうことは分かる。
「見事に男ばっかですぅ。相変わらず水銀燈は同性の人気がないです」
「あらぁ、それだけ異性を惹き付ける魅力があるってことでしょぉ?」
横から首を突っ込んできた翠星石に、水銀燈は色っぽく微笑んだ。
「まったく……その顔と身体と声に何人の男が騙されたか知れたもんじゃないですぅ」
翠星石は溜め息を吐く。ローゼンメイデンの中でも男性の人気は断トツで水銀燈に集中している。彼女の言葉通り、騙されている男は少なくはないだろう。
「金糸雀、それは何です?」
大きなダンボール箱を抱えている金糸雀を見て、翠星石は声をかけた。
「これも水銀燈宛てなのかしらー。多分ファンからの送り物かしらー」
「もしかして、食べ物か何かかもしれねぇです! 水銀燈、早く開けてみるですよ!」
「はいはい。分かったわよぉ」
ダンボール箱を開けて、水銀燈たちは中身を確認していく。
「……これ、蝋燭なのかしらー」
「縄が出てきたです」
「これは……鞭?」
出てくるのは翠星石が期待したような食べ物ではなく、何だか怪しげなグッズばかりだ。
「今度はアイマスクが出てきたかしらー」
「こっちはエロいボンテージ衣装です」
「ち、ちょっと! 何だっていうのよぉ!」
外野の金糸雀と翠星石は面白半分で楽しんでいるが、当事者の水銀燈は訳の分からないグッズに不気味さを感じていた。
「あ、手紙が出てきたかしらー」
「貸しなさい! 一体どういうつもりでこんな――」
水銀燈は金糸雀から手紙を奪い取った。手紙にはただ一文、
『僕を貴女の奴隷にして下さい』
とだけ書かれていた。
「な……何よこれぇぇ!?」
その後しばらく、何を勘違いしたのか薔薇水晶が送られてきたグッズを持って「私を銀ちゃんの奴隷にして……」と言い続けていたらしい。
終わり
最終更新:2007年03月15日 00:39