Story ID:rkY++9PF0 氏(174th take)
「じゃ、レコーディング開始かしらッ」
ここは某スタジオ、今日は真紅と薔薇水晶の歌入れ収録。
各パートはそのままだが、今回は珍しく薔薇水晶がコーラスとして参加するようである。
「いい、ばらしー。私が歌ったあとに囁くように歌って頂戴」
「……うん」
「解ってるの?囁くようによ?いい行くわよ」
「…うん」
「じゃ、始めるのだわッ!」
今回の収録曲はある映画のエンディングで使われるバラード。
恋人に先立たれた女性が力強く立ち直る感動のシーンで使われる曲である。
よってこの曲のコーラスは雛苺の元気がよい声ではなく、薔薇水晶の小さな囁くような歌を使うことにした。
大空に羽ばたく鳥のように~♪ 愛を乗せた翼をはためかせよう~~♪
きっと人生は辛い思いが多いけど~~♪
「うん、いいかんじかしら~、やっぱり真紅は歌がうまいかしら~、
そろそろばらしーの歌が入るころかしら~」
…私は…負けない♪笑顔を胸に~明日へとぉぉぉ~~ほいほいほいッ♪
「ちょ~~っとストップかしらぁぁぁ!!」
「ストップよ、ストップだわッ!!」
収録ブースの外でイヤホン越しに聴いていた金糸雀は目を丸くさせながらブースの中に駆け込んできた。
そこには真紅も同じく目をパチリと開いて薔薇水晶を見ている。
「ばらしー、今へんな言葉を入れなかったかしらぁぁ?」
「ばらしー、明日へとぉぉ~~って伸ばすだけなのよ」
「……うん…解った…」
「じゃ、もう一度いくかしらぁ~」
大空に羽ばたく鳥のように~♪ 愛を乗せた翼をはためかせよう~~♪
きっと人生は辛い思いが多いけど~~♪
…私は…負けない♪笑顔を胸に~明日へとぉぉぉ~うぅぅぅ~~ハッ♪
「ストップかしらぁぁーーッ!!」
「ばらしー、そんな気合の入った声はいらないのだわ」
「……うん…解ったじょ…」
「本当に解ったの? じゃもう一度いくわよ」
大空に羽ばたく鳥のように~♪ 愛を乗せた翼をはためかせよう~~♪
きっと人生は辛い思いが多いけど~~♪
…私は…負けない♪笑顔を胸に~明日へとぉぉぉ…おォォォ~~オッ!!
「ストップかぁぁぁしらぁぁぁ~~」
「お願い、ばらしー。この曲は静かなバラードよ、そんな唸るような声はいらないのだわ」
「…うん……解り申した……」
「本当に解ったの?どうしても最後に入れたいのなら、らららぁぁ~♪みたいなハミングを入れて頂戴」
「…サミング…?……洗剤…柔軟仕上げ…殺菌効果……?」
「サミングじゃないわ、ハ ミ ン グよ、鼻歌だわ!いい、解ってるの?」
「…うん……らぁらぁらぁ~♪……」
「そうよ、それならいいわよ、じゃ、もう一度いくのだわ」
大空に羽ばたく鳥のように~♪ 愛を乗せた翼をはためかせよう~~♪
きっと人生は辛い思いが多いけど~~♪
…私は…負けない♪笑顔を胸に~明日へとぉ~ららっチャチャ~ヘイッ♪
真紅………orz
金糸雀……orz
こうしてこの部分だけで取り直しは数十回にもおよび、時間にして約5時間を費やした。
最終更新:2007年05月07日 23:19