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Story  青玉 ◆cEc2P5uewI 氏(14th take)

「LIE」
Lyrics 青玉 ◆cEc2P5uewI 氏(14th take)
ここはRozen Maidenの事務所"ROZEN RECORDZ"の3階、四角く並んだ長机4つと、それを囲むように並べられたパイプ椅子16脚とホワイトボードがあるだけの会議室で水銀燈が作詞していた。
たまたま立ち寄った蒼星石は水銀燈の書いている詞を読み、ため息混じりに口をはさんだ。
「詩は綺麗だけど……やっぱり暗いの書いてるね……
たまにはハッピーエンドにしなよ」
「うるさいわねぇ。もとからそのつもりよぉ」
煙たそうに言いながら鉛筆を走らせる水銀燈。
ものの5分で書き終えられた詞の最後はしっかりハッピーエンドにまとまった。

「LIE」
 Lyrics:水銀燈

   I'm a liar

   真実(ほんとう)のことが言えなくて 自分にまで嘘吐(つ)いた
   きらきら輝く星空に 胸が苦しくなってくる

   I'm a liar

   真実の言葉消え失せた おかしな心につまづいた
   ふらふら彷徨(さまよ)う言葉たち

   I'm a liar

   誰かの言葉が降ってくる 私の海に降ってくる
   さらさら流れる言葉たち 何も見えないふりしてる

   そう 私は嘘を吐く
   指の間からこぼれてる
   真実の心を隠すため
   嘘で塗り固めた偽りの城

   I'm a liar

   だけどあなたは気づいたの 重ねた嘘の綻(ほころ)びに
   がらがら崩れる嘘の城 あなたの言葉が突き刺さる

   I'm a liar

   あなたが私を許すはず ないよねなんて思ったら
   あなたは私を抱きしめた


   I'm just a liar

   「許さない」と言ってくれたから
   私はあなたの耳元で
   最後に真実の嘘を吐く
   「私はあなたを許さない」

「やっぱり水銀燈はすごいね……最後の4行でしっかりまとめちゃうなんて」
本当にうまくまとまっている。前半の暗さがきっちりしまった。
「甘く見ないでほしいわぁ」
水銀燈のセンスに感嘆のため息をつき、蒼星石はさっそく曲をつけ始める。
Rozen Maidenはほとんど詞→曲の順で曲を作っていく。
「……ここはドドミミかなぁ」
「おばかさぁん……違うわよぉ、ソソラシでしょぉ」
「あ……うん。 そっちのほうが良さそうだね」
「当たり前じゃなぁい」
作詞についても作曲についても、水銀燈は蒼星石の一枚も二枚も上手(うわて)だった。
結局蒼星石はほとんど見ているだけという状態だった。
蒼星石はまたため息をつく。
「本当に君には感服させられるよ」
蒼星石ががくっと肩を落とすと水銀燈はクスリと笑い、優しい顔をして言った。
「フフ、そんなに気を落とすことじゃないと私は思うわぁ」
「えっ──」
水銀燈の意外な言葉に、思わず聞き返してしまった。
「あなたは私があなたの持ってないものを持ってるって言ったでしょ? でもね、
 あなたは 私 の 持 っ て な い も のを 持 っ て るわぁ」
「!」
そう言われて蒼星石は目を見開いた。
「僕が……?」
水銀燈は悪戯っぽく微笑むと、続けた。
「そう。あなたはたしかにあまり目立とうとしないし、歌や楽器もお世辞にもうまいとは言えないでしょぉ?」
ずけずけと言われると結構傷つく。

「でもねぇ」
「う……うん」

「それでもRozen Maidenにはあなたが必要なの」

さっきまで自分をバカにしていた水銀燈が急に真剣な顔をして、Rozen Maidenが自分を必要としてくれていると言う。
「なっ……なんで? 作詞も作曲も歌も楽器もうまくない僕がいったいなぜ?」
「あなたは誰より一生懸命だもの」
「!」
「それに思いやりを持ってる」
「うん……」
「時間には正確だし几帳面で毎日チューニングしてるじゃなぁい」
驚いた。自己中心的だと思っていた水銀燈が、実は周りにもきちんと目を配っていたんだ。
「フフ、毎日プラグジャックの端子を掃除してるベーシストなんて聞いたこともないわぁ」
本当に楽しそうに話し続ける水銀燈。
「……やっぱり……」
「え?」
「やっぱり君には敵わないよ、水銀燈」
「せっかく褒めてるのになんで私を褒めるのよぉ」
「ホントにそう思ったんだよ、ホントに君にはいつまで経っても敵わないなぁ」
「クスッ、変な蒼星石」
「変で結構。
さあ、みんなのところに行こう。」
「えぇ」

こうしてまた、Rozen Maidenの活動は続いていくのであった。

おわり


最終更新:2006年04月06日 23:30