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Story  ID:pc6ETGi50 氏(201st take)

(Climax BGM)
Music  ID:ZE0E4KCn0 氏(201st take)
収録を終えたローゼンメイデンのメンバーの顔には軽やかな笑みが浮かんでいた。
それは忙しい中で、久しぶりに取れたオフのためである。

「ようやく明日から2日間のオフだね、真紅は何か予定とかあるのかい?」
「私は沖縄に行ってのんびりするわ、まぁ、そこで今度の新曲の詞も考えるのだけれど、そう言う蒼星石と翠星石はどうするの?」
「翠星石と蒼星石は一緒に北海道グルメツアーに行ってくるですぅ」

余暇の過ごし方で話が盛り上がっている最中、薔薇水晶はチラッと水銀燈を見る。

「……銀ちゃん……あ、あの、一緒に……お買い物を…」
「水銀燈は何か予定とか入ってるですかぁ?」
「私はぁ~、乳酸菌普及委員会の会合よぉ~、もう忙しいんだからぁ~、
 所で、ばらしー今なにか言ってなかったぁ?」
「……う、うぅん…何でもないよ………あっ、あの~ひ、ひな…」
「雛苺、明日からの予約は取れたかしら~」
「うわぁ~い、予約取れたの~、ばんざ~いなのぉ~」
「うふふ、嬉しそうねぇ~、金糸雀と何処か行くのぉ~?」
「カナと雛苺は温泉に行くかしらぁ、雛苺と一緒に美味しい温泉卵を食べるかしら~、
 所でばらしー何か言いかけたかしらぁ?」
「……ううん、何でもないよ……温泉…楽しんできてね……」
「ありがとうなの~、お土産たくさん買ってくるの~」
「そうね、楽しみに待ってるわ、それじゃ、また休み明けね、バイバイ」
「それじゃぁねぇ~~、またねぇ~」
「みんなお疲れ様、それじゃ、また。さぁ、翠星石、新幹線に遅れるよ」
「あっ、もうこんな時間だったですかぁ、じゃ、また休み明けに会うですぅ」

手を振りながらそれぞれ楽屋から出て行く。

「…ば、ばいばい…」

そんな笑顔に向かって最後まで手を振り、見送る薔薇水晶は一人だけポツンと楽屋に取り残されていた。
みんなが居なくなった楽屋はとたんに広く感じられる。
その楽屋で薔薇水晶はバックに荷物を入れると、テーブルに散らかったゴミを片付けながらポツリと呟いた。

「……べ、別に…寂しくなんか…ないもん……」

次の日、いつもより遅く目覚めた薔薇水晶は一人で買い物に出かける。
週末も重なったその日のショッピングモールは恋人達や仲のいい友人同士の笑顔と会話で溢れている。
そんな中で薔薇水晶は1軒の花屋で足を止めた。

「……とげとげ……

薔薇水晶が見つめる先にあるのは小さなサボテン。
それは珍しい種類のサボテンではなく、ごく普通のサボテンであった。
指先でサボテンのトゲをつんつんとつついてみる。

「……あなたも一人ぼっち……私と一緒だね…」

物言わぬ小さなサボテンにどこか親近感を得た薔薇水晶はレジで支払いを済ませると、小さく可愛いリボンのラッピングに包まれたサボテンを大事に抱えて帰った。

「……ここが…いいかな?」

窓際にそっと置くと、コップに水を入れてサボテンにあげる。
しばらくいろんな角度からサボテンを眺めて過ごしてみる。
そして何か名前を付けてみようと考えるが、出てくる名前はのメンバーの名前ばかり。
不意に寂しさを感じた薔薇水晶は携帯を手にする。

「もしもしぃ~、あ、ばらしーなのぉ?どうしたのぉ?」
「…銀ちゃん……いま何してるの?」
「今は乳酸菌普及委員会で忙しいのよぉ~、
 もうねぇ、ピルクルとビックルのどちらが偉いかでモメてる最中よぉ~、
 忙しいから切るわよぉ~」

「もしもし、ばらしー?どうしたの?」
「…真紅、いま…何してるの?」
「ハブとマングースの戦いを見てるわ、ちょっとマングースが危ないから電話をきるわよ」

「もしもし、あっ、ばらしーかしら~、どうしたかしらぁ?」
「…金糸雀…何してるの?」
「雛苺がのぼせて大変かしら~、鼻時を出してるから後で連絡するかしらぁ」

「もしもし、やぁ、ばらしーかい?どうしたんだい?」
「…蒼星石、いま…何してるの?」
「もうね、翠星石が食べすぎで病院に運ばれたところなんだ、だから後でまた連絡するよ」

携帯を置いた薔薇水晶はサボテンに向かって「おやすみなさい」と言ってから電気を消してベッドに入った。

そしてオフ最終日、その日も薔薇水晶は遅く目覚めると、近くの本屋でサボテンの育て方などが書かれている本を購入し、あてもなくブラブラと散歩をしてから帰ったのは太陽の代わりに月が顔を出した頃であった。

「……あれぇ…?」

カギを掛け忘れたのか、キーを回さずともドアが開く。
真っ暗な部屋に灯りを灯そうと、手探りで電気のスイッチを探していると不意に誰かに手を捕まれて引っ張られる。

「…む…むむむぅぅぅぅ…!!!」

突然のことで声が出ない、そして恐怖に涙を浮かべた薔薇水晶の意識が遠のき始めた時、パッと部屋の明かりがつく。

パ~~ン、パンッ、パンッ

いきなり明るくなったため目を閉じた薔薇水晶の耳に何かが破裂する音が聞こえた。
恐る恐る目を開ける薔薇水晶。


「ばっらしー、おめでとぉ~~」
「ばらしー、これプレゼントだわ」

そこには真紅、水銀燈、翠星石、蒼星石、雛苺、金糸雀が笑顔でクラッカーを鳴らし、手にはプレゼント、そしてテーブルには美味しそうな料理が並んでいた。

「……な…な…」

驚きと今の状況がつかめない薔薇水晶はキョロキョロと周りの笑顔を見渡すだけ。
そんな薔薇水晶に水銀燈が笑いながら言う。

「ばらしーがぁ、ローゼンメイデンに入って今日で1周年よぉ~、
 その記念のパーティーって感じぃ~うふふふ」
「そうですぅ、サプライズパーティーなのですよぉ~」

それを聞いた薔薇水晶は先ほどの恐怖とは違った涙が溢れてくる。

「……み、みんな…うぅ…うう、うぇぇぇ~~~~ん、うえぇ~~ん」
「ほらほら、泣かないでぇ~、美味しい食べ物もあるのよ~」
「プレゼントもあるの~、みんなで選んだのよぉ~」
「さぁ、ばらしー、そこに座って」
「今夜はばらしーが主役だわ」
「……うぇぇ~~ん…」

顔はこれ以上ないほどの笑顔、だけれど涙が溢れて止まらない。
今夜の薔薇水晶は決して一人ぼっちではなかった。
大好きな仲間と騒いだ後、薔薇水晶は昨日買ってきたサボテンにオヤスミの挨拶をして電気を消す。
暗くなった部屋で薔薇水晶の軽やかな寝息が聞こえる。
その窓際に置かれたサボテンには小さな可愛い白い花が咲いていた。




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最終更新:2007年08月04日 20:43