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Story  ID:SmPv7i7D0 氏(211st take)

「お腹が空いたですぅ~、なにか食べるですよぉ」
「私はいらないわぁ~」
「あら、水銀燈、どうしたの? 体の調子でも悪いの?」
「別にぃ~、ちょっと暑くて食欲がないだけよぉ~」
「それはダメだよ水銀燈。何か食べないとライブで倒れちゃうよ」
「そうなの~、何でも食べてパワーをつけるの~」
「そう言ってもねぇ~、食欲がないからぁ~」
「じゃ、なにかサッパリした物を食べたらいいですぅ」
「……銀ちゃん…カツ丼…食べる?」
「あっ、そうかしら~、いいものがあったかしらぁ~」

そう言うと金糸雀はスタジオの隅に置いてある冷蔵庫をパカッと開けると、冷蔵スペースからカチカチに凍った黄色い物体を得意気に出した。

「これなら栄養もバッチリ満点かしらぁぁ~」

手にしてるのは凍ったバナナであった。
冷蔵庫から出された冷凍バナナは白い冷気を薄っすらと出している。
これなら夏バテ気味の水銀燈も口にしやすい。

「うふふ、これならいいわぁ~、冷たくてアイスみたぁ~い」

当初は凍ったバナナの皮をはがすのに手間取り、ブツブツと文句を言っていた水銀燈だったのだが、口にするとひんやりした感触と舌の上で広がるバナナの甘みにすっかりご満悦と言った笑みを浮かべた。

「ペロッ 凍っているからぁ~、噛むよりナメたほうがいいわねぇ~ペロペロ」
「所で、夏のツアーで演奏する曲目は決まったのかい?」
「ペロッ、プログラムはぁ~真紅と金糸雀が決めてるはずよぉ~、ペロッ」

小さな指でバナナを掴み、口に含み表面を舌でなぞるように舐めていく。

「夏らしくノリのいい曲を選んだのだわ」
「激しい曲が多いから水銀燈に頑張ってもらうかしら~」
「いいわよぉ~チュパチュパ、私もぉ激しい曲ってだぁ~い好きよぉ~ペロ、チュパッ」

喋る際に口から出したバナナから唾液が1本ツ~っと細い橋をかける。
それがプッと音もなく途切れると、水銀燈はピンクがかった舌をペロッと少しだけ出して、バナナの先に舌をはわす。

「……銀ちゃん…」

それを凝視している薔薇水晶はゴクリと息を飲むと、思わず誰にも聞こえないほどの小さな声で水銀燈の名を呼んだ。

「激しい曲なら翠星石もパワーを付けないといけねぇのですぅ」
「そうだね、野外ライブなら熱中症とかにも注意が必要だね」
「ペロッ、うふふ、じゃぁ翠星石もバナナ食べたらどぉ~?ペロッチュパッ、冷たくて美味しいわよぉ~チュッチュッ うふふハムッ、ムッムッ」

口に含んでいたため、凍っていたバナナは硬さを元に戻し始めていた。
その柔らかくなった部分に白い歯を立てるとニコッと笑いながら食べる。
まだ芯が凍っているバナナを口の中で転がす音が唾液混じりの粘着質にも似た音となってとなりに座っている薔薇水晶の耳に届く。

「……むっ……むむぅぅぅーーーーッ………」
「キャッ、どうしたのぉ~ばらしー??」
「うわぁ、大変だよ、ばらしーが鼻血を出してるよ!」
「た、倒れやがったですぅーー!」
「大変、金糸雀、はやく医者を呼んできて頂戴!」
「わ、解ったかしらぁ~~」

この日、薔薇水晶は大量の鼻血を出して病院に担ぎ込まれた。
治療にあたった医師の話では「極度に興奮したため」とのコメントであった。
何に興奮したのか?それは薔薇水晶以外だれも解らなかったが、夏のツアーに心を躍らせたのではないか?との意見で一致したのであった。




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最終更新:2007年07月09日 01:39