Story  ID:5ocKKxht0 氏(213th take)
野外ライブを計画していたローゼンメイデンだったが、台風の接近のため中止を余儀なくされた。
思わぬ形で休暇を得た彼女達であったが、天候は最悪。
よってしかたなく自宅でヒマな時間を潰していた。

「ふぅ~、凄い雨と風ですぅ~、傘なんかブッ壊れたですぅ」

横殴りの雨で翠星石はビショ濡れのままキッチンへと急いだ。
タオルで髪を拭きながら買ってきたコロッケを皿に盛る。

「蒼星石ぃ~、ご飯を買ってきたですぅ、台風が上陸する前に食べるですよぉ~」
「うん、解ったよ、翠星石」

パソコンのモニターから目を離すと蒼星石は姉の声に答え、イスを引くと、キッチンへと急いだ。

「台風はどうなったですかぁ?」
「うん、あと3時間もすれば直撃しそうだよ」
「そうですかぁ~、今夜は早く寝ることにするですぅ~」
「…そ、そうだね」

いつもより早めの食事を終え、お風呂に入る頃には暴風と化した雨が窓ガラスを叩いていく。
時折、吹きつける風の塊が獣の咆哮のごとく聞こえてくる。

「こ、怖いですぅ~」

テレビ画面では台風中継をしているアナウンサーが今にも風に倒されそうになっている。
しかも増水した河川の氾濫によって彼女達の住む街の一角が濁った水に翻弄されていた。

「蒼星石、見るですぅ、ライブ会場が水浸しになってるですぅ~」

テレビカメラが映し出した映像の中に本来なら今夜、まさにこの時間に激しくも楽しいライブをしていたであろうステージが映し出されていた。

「自然の力は凄いですぅ~~」

台風情報を食い入るように見つめる翠星石の後ろを蒼星石はレインジャケットを着て通り過ぎようとしていた。

「ど、どうしたですぅ蒼星石、そんな格好なんかしてぇ?」
「うん、ちょっと用事があって外に出るんだ」
「外は台風ですぅ、大嵐ですよぉ~危ないですぅ」
「うん…でも僕にはやらなくちゃいけない仕事があるんだ」
「どんな仕事ですぅ?」
「…そ、それは言えないよ」
「言えないってどういう事ですかぁ蒼星石?」
「ごめん、とにかく外に行くよ」
「ダメですぅ、どうしてもと言うなら訳を言うですぅ!」
「そ、それは…うpしなきゃいけないんだ…
「うpぅ…?何ですかそれは?」
「翠星石、君には解らないかもしれない…でも僕には大切な使命なんだ」
「な、何です、使命って何のことですかぁ蒼星石ぃ?」
「…じ、実況の使命なんだよ翠星石…」
「なに訳の解らないことを言ってるですかぁ、こんな台風の時に外に出たらケガするですぅ、そうなったら真紅や、水銀燈も心配するですよぉ」
「ゴメン、それは解ってる、でも今こうしている最中にも僕のうpを待ってる人たちが沢山いるんだ、解ってよ翠星石」
「解るわけねぇのですぅ! だいたいうpって何なのですかぁ?」
「ゴメン…翠星石、僕…行くよ」
「だ、ダメですぅ蒼星石、どうしても行くならこの翠星石を倒してから行くですよぉッ!!」
「…ゴメン翠星石、僕はみんなを悲しませたくないんだ」

そう言うと立ちはだかる翠星石を押しのけて飛び出していく。

「そ、蒼星石ぃぃぃぃ~~~~ッ」

翠星石の声も虚しく暴風の音に掻き消された。
そして外に出た蒼星石は…………

「うはwwwwテラ暴風wwwww死ぬwwwww」

その後、蒼星石がうpした画像は後々まで語られる神画像となった。




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最終更新:2007年07月15日 23:19