Story ID:WQDXpKh20 氏(220th take)
「・・・そう言えば、ギターのヘッドの調整をしないといけなかったのだわ」
下見のため、ライブ会場のスタジオへ向かう途中。
ふとメロディを作ろうと考えてたはずが、話が脱線してこの思考に行き着いた。
とりあえず作曲メモ用の手帳及び筆記具を取り出す。
「・・・」
別に彼女は物事を忘れやすいタイプと言う訳ではない。
けど普通の行為。人間「思い出すきっかけ」があると凄まじい記憶力を発揮できるものである。
逆に、こういう些細な事は人間の記憶力に関係なく忘れ去られてしまうものである。
・・・書く前に、ペンを止めた。
「別にいらないのだわ、よく考えたら」
*
「・・・思い出せないのだわ」
スタジオにて。
「うーん・・・誰かに相談する事があったとか?」
「いや、その線は5分前に考えたのだわ」
よりにもよってスタジオ一番乗り。
一人で考えても思い浮かばず。
5分後に「2人目」が来たので2人で考えるも、進展せず。
しかも今日は下見、楽器に触る訳でもないので「思い出すきっかけ」がない。
「仕方ないから先にやる事やっとく?」
「そうするのだわ」
「裏道通ったし、楽してズルして一足早く到着かしらー!」
「思い出したのだわ」
「いきなり!?」
金糸雀への突っ込みよりも圧倒的に突っ込みの優先順位が上回った。
「・・・え?え?」
状況が把握できていない金糸雀。
「え!?何でまた唐突に・・・」
「金糸雀のお陰なのだわ」
「?????」
そうせいせきはこんらんした!
むしろ、まともな理由が帰ってくるとは思わずに質問したので面食らってしまったようだ。
「・・・え、えっへん!」
とりあえず、最初のセリフが盛大に滑った事なんて忘れて金糸雀が威勢よくポーズを取った。
真紅の思考回路
かしら→頭→ヘッド
後日、金糸雀以上に「楽してズルして」をやってしまった事にちょっと罪悪感を覚えたとか。
最終更新:2007年07月28日 12:47