Music ピコピコ 氏
夏、まぶしい太陽に焼けた砂が素肌に一夏の思い出を作る季節。
そう1年で一番海が似合う季節である。
人気ロックバンド、ローゼンメイデンも余暇を楽しみに海へと来ていた。
「クルージングは気持ちいいわねぇ~~」
「最高ですぅ~」
「潮風が気持ちいいのよぉ~~」
「ビールが飲みたくなるね」
「あれ、真紅はどこかしらぁ?」
「……船に酔うから……翠星石と堤防で釣りしてる」
澄んだ海面を飛翔してゆくトビウオの群れ、ボートに寄り添うイルカ達。
遠く水平線の彼方から沸き立つ入道雲、波のしぶきを受けてデッキでは水銀燈と蒼星石はクーラーから冷えたビールを出して乾杯している。
雛苺と金糸雀は写真を取り合っている。
その横で薔薇水晶はトビウオの群れに手を振っていた。
「……あれ?……銀ちゃ~ん、銀ちゃ~ん」
海面を見ていた薔薇水晶は珍しく大声で水銀燈を呼ぶ。
「どうしたのぉ?」
「どうしたのかしらぁ?」
「…あ、あのね……大きいのが跳ねた…」
「なぁに?お魚ぁ?」
「……解らない……バッシャァ~~ンって跳ねた…」
「イルカかな?それともクジラでもいたのかな?」
薔薇水晶が指差す方向にみんなの目が注目したとき、それはもう一度海面から大きな水しぶきと共に飛び上がった。
(NGワード UMA)
「うわぁ~、何だろあれ?凄く大きいね」
「ほえぇ~~、大きな鯉なのぉ~」
「バッカねぇ~、鯉が海に居るわけないでしょぉ~あれはフナよぉ」
「なッ、何を言ってるかしらぁ~~!?あれは間違いなく」
鯉もさることながらフナも淡水魚である。
そんなことよりもあの姿を見ても魚であるはずがない。
金糸雀は雛苺と水銀燈の会話が信じられなかった。
「ばらしーはちゃんと見たかしら、貴女は2回見てるかしら~、
だから何に見えたか言って欲しいかしらぁぁ~~」
興奮した金糸雀に対して薔薇水晶は指をくわえてボソッと言った。
「……カニ……」
薔薇水晶の言葉を聞いた金糸雀は絶句した。
そしてそのまま船は港に帰ると堤防で釣りをしていた真紅と翠星石は自慢気にバケツに入ったヒトデとカニを持って表れた。
「今夜はご馳走だわ」
「ヒトデは翠星石が釣ったですよぉ~」
「ねぇ、翠星石、ヒトデって食べれるの~?食べたらヤバイんじゃない?」
そんな会話すら耳に入らない様子の金糸雀はホテルへと帰ると
早速いつもの日記を出した。
7月29日 (晴れ)
私は確かに見た。
あれは間違いなく古代の海洋水棲生物だ。
姿かたちからしてプレシオサウルスに違いない。
明日はもう一度船をチャーターして海域全体を調査したいと思う。
そこまで日記を書いていると薔薇水晶がカニに指を挟まれて号泣する声が聞こえてきた。
それに金糸雀はハァ~ッとため息を付きながら絆創膏をもって部屋を出た。
最終更新:2008年04月05日 13:26