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蒼眼の戦士-3


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605 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/08/22(月) 23:49:08 [ RywHyer2 ]


蒼眼の戦士-3


 「なんだ今の爆発は!」
「倉庫のほうだ、B班は調査に向かえ!」
アレンが引き起こした粉塵爆発のすぐ後、宿屋のほうでボスの命令で町を見張っている数名の幹部が急にあわただしくなり始めた。
偵察部隊はすぐに倉庫に周りを囲み、そして何が起こったのかを調査し始めた。しかし、この場所に彼らが来た時点で厄災はすでに起こっていた。偵察部隊にきていた数名が断末魔の叫びと共に肉片と血液の塊と化すまでに数秒と掛からなかった。
何が起こったのかもわからないまま数名はその場に倒れ、深紅の血で雪を染め上げた。
「…蒼典なる弓引き、厄災を招く魔性の焔。」
それはアレンだった、火傷一つ負っていないその体は見たことも無い大剣を担いでいる。一般の戦士が担ぐような大剣を片手で振り回し、そして軽々と操り、生命の魂を冒涜しもてあそんだ。
「…アレンさん。」
後ろのほうで怯えながらもアレンが繰り広げるその惨殺シーンを目に焼き付ける、一体何が起こり何が始まっているのかさえミトにはわからなかった。
「この野郎!」
一人の団員が大きな斧を振りかぶるとアレン目掛けて振り下ろす、だがアレンはすんなりとその斧をかわし、避けざまにその男の体を半分に切り裂いた。内臓は飛び散りアレンの着ている服を鮮血に染め上げていく。その光景はまさしく地獄そのものだったと今では思える。

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606 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/08/22(月) 23:49:34 [ RywHyer2 ]
「”そうだ、ソレこそが私の力だ。”」「やめろ…私の体で何をしているんだ!」
「”お前が望んだものだ。”」「望んではいない、私はこんな形を望んではいない!」
「”全ては災厄、これこそが摂理”」「ふざけるな、こんなの…こんなの!」
「”では、貴様が望むものはなんだ”」「何も望まない、私は!」
周りから見れば一人で沸けも分らない事を叫びながら大剣を振り回し、その命という命を抹消し始める。これがアレンの中に住み着いていたナニかだったのだろう。殺人に対して何も違和感をもたず、実体するはずのない力でそれをことごとくこなしていく。まさに殺人マシン。
「”私の力とお前の力が混ざればこんな事だって出来るのだぞ?”」「「やめろ…何をするつもりだ!」
一旦周りのものを全てなぎ払うかのように振り回し、そして一度体制を治してその大剣を構える。アレンの周りに空気が集まり、バタバタと長いコートを揺さぶり始める。そして大剣の重量に身を任せ大きく振りかぶった。
「”見るがいい、私の力を!”」「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
それは瞬間の出来事だった。アレンの持つ大剣から突然今まで見たことも無いような綺麗な竜が姿を現し、ソレはその場に居た人という人に全て絡みつき、そしてその命を凍結させた。アレンの魔法と誰か分らない人格の力によって魔法の竜を召還したのである。
「”砕け散るがイイ!”」「やめろぉぉ!!」
アレンは大きく頭の上に大剣を振りかぶり、そしてその剣を片手で勢い良く地面へと振り下ろす。叩きつけられた剣からは大きな地割れが引き起こされ、凍結された命はその地割れの中に引きづり混まれる様に落ちてゆく、そして氷が割れる音が耳に残り地割れはその穴を閉じてゆく。
「…ば…化け物!」
リーダー格の男が恐怖を骨の髄まで染み渡らせると狂気を上げてその場から立ち去ろうとした。だがアレンはそうさせようとはさせなかった。
「っひ!」
男は急に立ち止まる、いや、正確には立ち止まったのではなく動けなくなったのだ。足元を見るとなにやらぐちゃぐちゃとしたものが渦を巻いて足に絡み付いている。その奇妙なものは次第に形を成して男に襲い掛かる。その何かは男に巻きつくと、男は石化した。
「…アレン…さん。」
先ほどから何も言葉を発しなかったミトが周りの風景を一度見渡して立ち上がった。そしてアレンはミトの言葉に反応し振り返る。その目は青かった。
「…ミト…。」
アレンもまた何もいえなかった、確かにこれは自分の体でやったもの。命という命を冒涜し、全てをなぎ払った証。そしてその刃は遠くのほうへと投げ捨てた。
「私は…私は…。」
「…アレンさん。」
ミトは怯えきっていた、この光景にしてアレンの服にこびり付いている無数の血液。そしてにこりと笑った表情のアレンに怯えた。
「ははは…私は…ははは…ははははははは!」
「アレンさん、しっかりしてください!」
アレンの人格が壊れ始めたのを察したのか、ミトは自分の弓を手に取り精神を集中させて弦を引く。そして魔力増強スイッチを入れると弓に一本の光の矢が姿を現した。
「浄化せよ!」
ミトはその張り切った弦を離す、すると光の矢がアレン目掛けて飛んで行き、アレンの体を貫いた。
「”ぐ…おんな…何をした!”」「あ…あぁぁ…。」
ミトはすぐさまその場を跳躍し、数本の矢を取り出すとアレンの上空で多段の矢を放つ、それはアレンには当たらずに近くの地面に突き刺さる。その矢は十字架の形を縁取り、そして光が十字架の模様を作り出す。
「”がぁぁぁぁぁぁ!”」「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
アレンの体は仰け反り、そして次第に意識を遠のいていく。光は力を増し輝きを増幅させ強まっていく。
「咎人よ、その忌まわしき体を浄化し、汝のあるべき場所へと帰れ!」
その力はエクソシスト、古よりむかしから伝わる浄化技法のひとつ。光は最大限に力を増してブリッジヘッド全体を包み込み始めた。その光は神聖都市アウグスタからも確認が出来るほどの輝きだった。
「アレンさん、負けないで!」
浄化の儀式を執り行っているさなか、振り続ける雪は止まる事を知らずに二人の間に降り注いでいる。そしてアレンは気を失った。ソレと同時に光も力を弱め、次第に消えていった。


 蒼眼の戦士-3
 END


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最終更新:2008年07月08日 02:39