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~槍弓三代~

軽快に足を踏み鳴らしつつ、右手には愛用の小槍抱え、
縦横無尽に敵陣を駆け巡り、残像を残す跡にはただ亡骸が転がるのみ。
生まれつき手先足先が器用にて、攻めるも守るもまるで踊るよう。
戦場の銀幕のスターダムに、見惚れし者は皆死んだという。
「あたしゃ若い頃には、このステップでブイブイ言わせてたもんさね、
そんじょそこらの男なんぞ触れるのさえ許さなかったからねぇ。
生きるか死ぬかの戦場なんだ、そのくらいの華が無くちゃあ、ねぇ…。」
これが、私の祖母である。

さあさ、取り出したるは我が右手、何にも無いところからあらあら不思議、
キラキラ光る矢が飛び出した。世にも珍しい魔法矢でござい。
さてこの槍、雷神様の化身にて、ここに願を掛け、地に突き立てお空を仰ぎますると、
お集まりの皆みな様、どうぞお空をご照覧あれ、あれやこれやと黒い雲、
雷神様も腹抱えてご機嫌にてございます。稲光が一つ、二つ、三つと、
雷太鼓の乱れ打ちでござい。
「芸ってのはね、おんなじものをやるんだったら、下手糞になっちゃあ
いけないんだよ。見る人が安心していられるから、それに報いてやるのが、
まことの芸人ってもんさね。」
私の母である。

私は今年で76歳になる。
祖母のように、美しく踊れるでもなく、
母のように華々しく芸ができるというわけでもない。
ただ、無骨に、粗忽に、槍で身を守り、弓で敵を殴るのみ。
祖母のように美しい体などない、母のように注目を浴びれるでもない。
敵の無数の刀・弓の傷が、私の体を筋骨隆々の烈女に仕立て上げた。
こんな私でも、あなたがたの娘と名乗ってもいいですか?
「誰よりも前に行って、敵にぶっ叩かれてくるんだ。そうすればお前は生きる。
大丈夫だ、………私は、死なないから!!」


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最終更新:2009年06月03日 20:43