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仲良し姉弟


1

623 名前: ユキサキ 投稿日: 2005/08/23(火) 13:30:16 [ E1YpefgM ]
初めまして、いつも楽しみにしております。
読んでいる内に自分も書きたくなってしまったので投下させて頂きます。

道なき道を冒険者と見られる二人組みが駆け抜けていく。
槍を振り回し先陣を切って進む女の、肩の辺りで切りそろえた金色の髪が軽やかに揺れる。人目を引くような端正な顔立ちだが、その赤く禍々しい瞳だけが異質に光っている。肉感的な体つきを強調するような露出度の高い鎧を身につけ敵をなぎ倒していく。その戦いぶりは戦乙女といっても過言ではない。
その後ろから続く男のほうもやはり調った目鼻立ちをしており、一目で彼らが血縁関係にあることが判る。邪魔にならないようにとび色の髪をバンダナで押さえ、無駄な筋肉のない細身の体躯を動きやすさを重視した軽装の鎧で覆っている。彼は弓を構え女が討ち漏らしたモンスターを的確に射抜いていく。
やがて目的の場所が見えてくると彼女はいっそう足を速めた。

かつては柵だった木の残骸を踏みしめると乾いた音がして砕け散った。

  [ダイナスティへようこそ]
かすれた看板の文字に反して出迎えてくれる人はいない。
10年前魔物の軍勢に蹂躙されたこの村にまともな建造物はのこっていない。かつては引退した冒険者たちが作った村として有名であったが、今では人の記憶に埋もれてしまっている。建物は例外なく焼け焦げ、倒壊している。かつて道だったものは雑草が生い茂り先へ進むことをかたくなに拒んでいるようだった。

しかし、全く意に介すことなくシェリィは歩を進めた。
 「姉さーん、待ってよ~」
遠くで弟が叫ぶ声が聞こえるが無視して奥へと進む。腕や太もものやわらかい肉が草とすれ血がにじみ無意識に奥歯を噛んだ。
しばらく進んでいると開けた場所に出る。
 大きな木の下に苔むした白い石。そっと屈み、文字の部分を親指で擦る。ぱらぱらと乾いた音がして記された名前が明らかになる。
 「久しぶりね、父さん、母さん」
やがて追いついた弟が隣に腰を下ろす。
 「ほらロゼも挨拶挨拶(´∀`)」
 「ったく、人に荷物も足せて自分はさっさと歩いて行っちゃうんだから、姉ちゃん。はいつも自分勝手でもごもご・・・」
すばやい動きでロゼの背後に回りこむと口をふさいだ。
 「元気イッパイみたいだから一人で掃除しなさいな」
 「うっ、きったねぇぞ!」
言葉とどうじに繰り出された弟の一撃を難なくかわしさらにダミーを設置する。
 「ふふふ、甘いな。百年はやい」
 「くっ・・・」
 「さて、あっちにもよらなきゃいけないからさっさと掃除するか」
弟を締め上げた直後とは思えない軽快なフットワークで足元の草を抜き始める。ロゼもしぶしぶ手伝いだした。持ってきたバケツに近くの池から水を汲み、布を浸して手際よく苔を落としていく。
 西からさす陽光が元の姿を取り戻した墓を赤く染める。半径1メートルにわたって草が抜き取られあたりには掘り返した土のにおいがほのかに漂う。兄弟は木陰に座り込みおのおのの水筒に口をつけていた。
 「毎年のことながら重労働だな(´,_ゝ`)フッ」
 「うん(ほとんど掃除してないくせに)」
 「さて、いこっか」
おもむろにシェリィが立ち上がる。つられるようにして重い腰をロゼが上げる。槍を一振りすると駆け出した。

2

625 名前: ユキサキ 投稿日: 2005/08/23(火) 13:46:53 [ E1YpefgM ]
 >>623

古都ブルンネンシュティグ
太陽が西へと沈んでも、街の中は活気が溢れている。
軒を連ねた露店からはランプのかすかな明かりが漏れており、集まってきた虫がぶつかる度にこつんと軽い音を立てる。
 「とりあえずこれだけあればいっか?」
 「ちょっと多くないか?」
 「久しぶりだし、奮発しちゃった~。やっぱ多すぎたか」
声を立てて笑う少女の両手にはバリカスから入手したケーキやらクッキーやらキャンディーがあふれ出ている。
 「半分持ってくれ」
 「いや、いい」
 「・・・」
無言でこぶしを振り上げる姉に恐れをなして、しぶしぶキャンディーとクッキーの包みを持つ。
明らかに半分以上持たされているが、口に出したところで一発食らうだけなので黙っていることにした。

 古都に溢れる人を避けながら朽ちかけた王宮の憶へと進んでいく。少し開けた場所に粗末な小屋が建っている。
崩れかけた塀に文字が書いてある。かろうじて読み取れるのは[孤児院]というところだけだった。
ほぼ全壊した門をくぐると目に入った、掃き掃除をしているガタイのいい男にめがけてシェリィは突撃した。
 「オサーン、元気してたぁ?」
 「ぐハッ、シェリィ、か・・・いきなりぶつかられると腰に響くんだが・・・」
 「やりすぎ?」
 「相変わらず下品だな・・・それと、オサーンじゃなくて院長と呼べ。子供たちが真似する」
 「・・・院長がソウ育てたんだろ?(´,_ゝ`)フッ」
 「おいロゼ、・・・なんとかならないのか?」
 「(´,_ゝ`)フッ俺に言うな」
 「ああコレお土産ね」
菓子の包みにこっそりと白封筒を入れて渡す。封筒に気づいた院長は決まりの悪そうな顔をするが甘んじて受け取る。
 「いつも、悪いな」
 「いいって。ここでそだててもらったんだからさ」
院長の目が遠くをいる。
 「もう、2年か・・・お前たちが出て行って」
 「アー・・・そんなにたったっけか」
 「姉ちゃんぼけすぎ」
どごぉっ
 荷物を院長に預け両手が自由になったシェリィのボウストライキングがロゼにヒットした。
もっていた菓子類がばらばらと落ちる。
 「ひ・・・ひでぇ」
 「ボンクラじゃないだけ感謝しろ」
 「ハハハ、お前らは相変わらずだな」
 「「(´,_ゝ`)フッ」」
 「さて立ち話もなんだ、お茶でも飲まないか?」
 「少しやすませてもらおうかな」
なれた足取りでシェリィとロゼは中へと入っていった。

3

671 名前: ユキサキ 投稿日: 2005/08/25(木) 20:28:33 [ E1YpefgM ]
 >>623
 >>625

 小ぢんまりとした部屋に、シナモンと紅茶の香りがほのかに漂う。
勝手知ったるなんとやらで、ロゼがいろいろと準備させられたのだ。
シェリィは出先では猫をかぶりそこそこの仕事をするが身内だけになると、
とたんに人をこき使いだす。
どうしてばれないのだろうか、と不思議に思いながらロゼは機能性のみを重視したカップに口をつけた。
 「それで、最近はどうだ?」
紅茶をひとしきり堪能した後、院長が口を開いた。
 「んー、ソルティーケーブあたりをうろうろしてるかなぁ」
 「だねー、あ、之お土産の石塩です」
 「おお、助かるよ」
ロゼはかばんから相当な量の包みを出して、勝手に調味料の棚に押し込んだ。
 「そういえば、シェリィお前擦り傷作っているぞ」
 「ああ?之か・・・今日墓参りに行く途中に葉っぱでな」
 「どれ、見せてみろ」
 「良いよ、こんなのたいしたことな・・・」
すべてを言い終わる前に癒しの光がシェリィを包み込む。院長は昔、
ビショップだったという。
両親の死後ここに引き取られたのも院長となき両親が友人関係にあったからだ。
村が魔物に襲われ壊滅したとき、生き残った二人を育ててくれた。
 「ありがとう、お礼は体で払うから」
ちらりと胸の辺りの鎧をずらし、ウインクする。
気がつかない振りをして院長は席へと戻った。
 「そういえば、ロゼは怪我をしていないな」
 「ん?ああ、姉ちゃんは突っ走るから」
 「なるほどな」
ちょっと納得しないでよ、と怒ったようなそぶりを見せるが
目許はしっかり笑っている。
 「あーあ、戻って来たいな」
ひとしきり笑った後シェリィはポツリともらした。
 「いつでも戻って来い」
 「うん、そうする」
ロゼは眉根を寄せながら微笑を作った。
 そういいながら戻る気がないのは見て取れた。この孤児院が
シェリィたちの援助がないと厳しいのを彼女らもわかっている。
だからこそ断言できる、絶対に戻ってきたりなどはしない。
横柄に見える態度や軽い口調で誤解されやすいが心の優しい子達なのだ。
 「それじゃ、そろそろかえるわ」
 「院長、また」
 「おう」
ロゼは立ち上がると二人分の食器を洗って、先に部屋を出た姉を追いかけた。

4

725 名前: ユキサキ 投稿日: 2005/09/03(土) 22:12:27 [ R86PkENQ ]

 >>623 >>625 >>671


ドドドドドドドド

騒々しい足音に続いての衝撃がシェリィの腰の辺りに直撃し、
ふらついた彼女をロゼが受け止める形になった。
ぶつかった本体といえば悪びれた様子は毛頭もない。

 「ぁあん、おねぇさま~!お久しぶりですぅ。いらしてるんだったら一声
かけてくださればいいのにぃ~」
栗色長い髪をツインテールにした、なかなかかわいい顔立ちの少女が場違いなくらいの
甘ったるい声を出しながらシェリィの体に巻きついてくる。
 「ぁあ・・・メルローズ(´д`)」
痛む腰をさすりながらもシェリィは何とか口を開く。
 「んふ?なんですの?」
 「・・・乳つかんでる」
 「あら?うふふふ」


ちょっとだけ続きを書いてみました。


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最終更新:2008年07月08日 00:15